この珈琲店にたどり着いたラッキボーイに、とびきりのメニューでおもてなし

ちょっと不思議な、ファンタジーっぽい作品。
おいしいコーヒーも飲みたい欲求も、もちろんもっている。
本当に求めていたのは心の安定、瞑想するような時間だ。
一杯四千円以上のコーヒーも飲んでみたくなる。 

コーヒーが好きな理由がわからないとしながら、悪魔という欲求を理性で制御している。
けれど、弱点によって欲求を抑えられなくなる悪魔を使った比喩の書き方が、いい味を出している。

コーヒーに限らず、お茶室でお茶をいただくのも、ただ飲むのではなく、何も考えず心落ち着けるひとときを味わうのが目的。
ちょっとゆっくりしていこうかな、という気持ちで入るのが喫茶店である。


飲み終えた後、店が消えるのは不思議。
ムジナの話を連想させる。
でも狸に化かされたにしては、美味しいコーヒーを飲んではくつろいだのは間違いないので、騙されてはいないのだ。

忙しない現代こそ、ゆっくりとくつろげる喫茶店・ポーズのような場所が必要だ。

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