特殊風鈴
ぴろわんこ
第1話
特殊風鈴とは風の色によって、音を変える風鈴のことである。静かで安らぐ音色の時は自然も人の心も穏やかに流れている時である。そんな時は緑色を出したりしていた。
風が穏やかであっても荒々しい音色の時もあった。そんな時は毒々しい赤色だったりしていた。
私もその風鈴の力を借りて幾つかの芸術作品を作り、それなりに売れるようになった。足繁く私の作品を見に来てくれたり、買ってくれたりする客の一人にA子という女性がいた。
綺麗な人だしありがたいことではあったのだが、彼女が来ると灰色の風が流れ音色も沈んだものになった。
美人特有のさまざまな苦労を重ねてきたのだろうと推察された。しかしやや屈折した彼女相手にあまり交流する気は起きなかった。
ある日A子がB子という友人を連れて、作品展に来てくれた。私はB子に今まで聞いたことがないような、安らかな音色を感じた。色も穏やかで優しげな神秘的な色をしていた。私はすぐさまB子に話しかけた。
B子は戸惑いながらも話に応じてくれ、しばらく話をすると意気投合となった。そのまま交際し、結婚することとなった。
特殊風鈴によって得た最大のものは、数々の芸術作品ではなくB子だったのだろう。
特殊風鈴 ぴろわんこ @pirobigdog
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます