不完全燃焼

結局、2人は3ヶ月ほどで別れた。

みずきは、自分のために時間はとってはくれないんだと認識したので、自分から別れたいと言った。

創は、了承した。

その次の日に、創からラインか来た。

[やっぱりみずきの事、愛してる]

(……)

[私も創の事好きだけど。会えないし、ラインの返事来ないし。その状態がつづくなら、付き合えない]

[…わかった]

(わかった?)

みずきは、ラインがもうワンターンあったら、別れるのをやめようかと思っていた。

(結局、何も変えてくれないんだ…)

でも、別れる時も、お互い気持ちがあったのは確かで、不完全燃焼で終わった。


その後も、何回か一緒に遊んだりもした。

創はみずきに、思わせ振りな態度をとっていた。

久しぶりに遊んだとき、別れ際、頭をポンポンとされた。

みずきは、もう別れたんだからと、少し身を引いた。

「嫌だった?」

「嫌じゃないけど…」

お互い見つめ合う。

別れているので、それ以上はなにもない。

でも、創はみずきの事がまだ好きで、みずきも、またそういう目で創を見つめていたのかもしれない。

みずきはずっと、モヤモヤが続いていた。

(やっぱり不完全燃焼だ…)


とある日、みずきは、男友達の真人に告白された。

創の事があったが、なんとなく付き合ってみることにした。

真人は、[おやすみ] とか、[今日は疲れた] とか、ほんの些細な内容だが、毎日ラインをくれた。

ライン1つ来るだけで、こんなに嬉しいもんなんだと、みずきは気付かされた。

真人と一緒にいるとバカみたいに楽しくて、素の自分でいさせてくれた。

真人は1人暮らしだったので、寂しければ泊まりにいけたし、真人はそれを全然嫌がらなかった。

毎日が、愛おしくて、ケンカも沢山あったけど、別れるという選択肢はお互い一度も考えなかったと思う。

こんなに人を好きになるものかのかと、つくづく実感した。

みずきは、真人とは2年前に結婚した。

結婚しても、毎日がすごく楽しかった。

自分の人生がなんて幸せなんだと思っていた。



みずきと創は大きく括れば同じ会社だが、創はデスクワークが主な仕事なので、みずきが事務に用事がなければ、会わない。


みずきはがパートの更新手続きで、事務室に行った時、創と目が合ったので、会釈をした。

「お先に失礼します」

会社の外に出て、車に乗ろうとしたら、ジャンバーを忘れている事に気がついた。


会社に戻ると、創と鉢合わせた。

「あれ?どうしたの?」

「ジャンバー忘れちゃった」

「昔も良くやってたよね」

創は笑った。

「変わらないわ。じゃお疲れ様〜」

「お疲れ様」

2人はすれ違って別れた。

7年という月日は長かった。





数歩、歩いた所で、みずきの後ろから、声がした。


「ねぇ!…みずき」


「…」


「 今度、ご飯いこう」


「…。…うん」


やはり2人は不完全燃焼だったのだ…



               

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年下彼氏 Nobuyuki @tutiyanobuyuki

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