少しぎこちなくも一生懸命に恋愛に向き合う若者たちの姿

 浅黄と千歳の関係は定番の幼馴染設定ですが、千歳の一途さと浅黄のツンデレ気質が可愛らしく描かれていて微笑ましいです。浅黄は千歳との距離を取りたがっていますが、内心では千歳のことを気にかけているのが伝わってきます。

 一方で、大学生らしい経験として合コンに参加する浅黄の心情も共感できます。大人の女性に憧れを抱きつつも、実際に関係を持つことへの戸惑いが率直に表現されていて、等身大の男子大学生像が描かれていると感じました。

 浅黄が合コン相手の女性の誘いを断るくだりは、彼の真面目さや純情さが表れていて好感が持てます。また、断った後で傘を返し忘れたと慌てる様子にも、彼のお人好しな性格が滲み出ていて微笑ましかったです。

 少しぎこちなくも一生懸命に恋愛に向き合う若者たちの姿が生き生きと描かれたチャーミングな青春小説だと思います。続きが気になるお話でした。

その他のおすすめレビュー

マジック使いさんの他のおすすめレビュー85