第13話:スリクの考え
side:スリク
シオンの容態を確認した後、俺は自分の部屋に戻り、壁際においてあるベットに腰かけ息を大きく吐いた。一先ず目を覚まさないとかの大事にならなくてよかった。シオンが目を覚ますまで俺も気が気でなかったが、何よりひどかったのはアヤだった。
俺が目を覚ました時にはすでに1日時間が過ぎていて、アヤはその間俺とシオンの看病を飲まず食わずに近い状態で、行っていたらしい。『スピア・グリフォン』二匹を相手に一人は胸を手当てされていたとはいえ、切り裂かれた跡がある状態で気絶。もう一人は魔力欠乏症の状態で発見されれば気が気ではなかっただろう。なによりシオンに関しては、この世界の人間ではない以上、こちらの世界の魔法の知識がどこまで適応されているかも分からないこともある。もしかしたら、自分の体内の魔力を使い切った後自分で魔力を生成する能力が備わっていない可能性だって考えられたのだ。その場合は二度と目を覚まさない可能性だって考えられたのだ。取り乱さず冷静でいろという方が無理なのは分かっている。
「あ!お父さん目が覚めた。・・・よかった。」
そう言って、横たわっている俺に抱き着いてきた俺に抱き着いてきたアヤの目の下には隈ができていた。心配をかけて申し訳なかったという気持ちで、一先ず「すまなかった。」と言葉をかけ、シオンの面倒は俺が見るからと無理やりアヤを寝かせた。
その時、シオンを見ながら考え事をしていた。才能にあふれた子だ。そうは思っていたが、まさか『スピア・グリフォン』を倒してしまうほどの力を秘めているとは思っていなかった。これだけの力を持っていれば良くも悪くも人の目にはついてしまうだろう。俺やアヤのように。いや、もしかしたらもっとひどいかもしれない。その時のために正しい知識を教えてやっておく必要があるだろう。
だが、俺たちもいつまでも家にいてやることもできない。アヤはそもそも冒険者としての仕事があるし、俺だって王国騎士への指導もある。そんな時間を取ってやることもあまりできないだろう。アヤに「魔法学校に行かせたら?」と言われたときには、迷っていたが、こうなってしまったら仕方がないのだろう。魔法学校に行かせてちゃんとした教育を受けさせた方がいい。一先ず。無事目を覚ますことが先決だが・・・。
それから、シオンは看病のかいあって、さっき目を覚ましたというわけだ。ならば、今は状態が状態だから願書を書いてやることはできないが、体調が元に戻ったらすぐにあの年齢不詳野郎に手紙を書くとしよう。そう思いながら、俺は連日の看病の疲れを癒そうと目を閉じたのだった。
目を開けると異世界でした ~帰る場所がないのでこの世界で気ままに生きます~ 天塚春夏 @sarashigure
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