友達ってどうやって作ったらいいんだろう

二八 鯉市(にはち りいち)

いやホントに皆どうやって友達作ってるの?

 今年、すべての準備がうまくいったら、生まれ育った地元から引っ越そうと思っている。


 何せ一人暮らしが初めてだから、色々と不安は多い。

 そもそも360度杞憂に満ちた人生を送っているので、「一人暮らしの不安」なんてテーマで考え始めたら不安な事が十万個は浮かぶ性分だ。さすがにこれは数盛ったけど。


 さて、百万個ある不安の中でも大きいものの一つが、

「新しい土地で友達できるかな」

である。


 ――ところで「友達100人できた」って人、この世の中に居るの?


 とはいえ私にだって、今現在、地元に友達と呼べる人ならいる。

 紹介しよう、コイツらが俺の最高のマブだ。


 と、


 詰んだ。

 新しい土地でもう1回幼馴染作るのは無理だ。


 大人の皆ってどうやって新しい友達作ってるんだろう。


 ひとまず考えよう。

 もう幼馴染は作れないと思った方がいい。私がもう幼くない。シャベルの貸し借りでマジ泣きとかする年齢ではない。


 高校の友達も、同様の理由でもう作れない。

 私はもう高校をとっくに卒業している。


 かつてのスレた私は、「全く同じクラスに他人を30人詰め込んだって、友好関係なんか築けやしないぜ」などと思っていた。だが、ああやって毎日同じ環境に詰め込まれると、もうどうしたって絶対ソリがあわない人間だって居たが、同時に生涯の親友も得られるものなんだな。うーん今頃元気かな、マブダチ。


 ママ友だって無理だ。私がママじゃない。

 っていうかそれはもうむしろ怖い。


 『お母さんが花子を産んだ理由? ふふふ、それはね。ママ友が欲しかったからなのよ』

『えぇっ……!?』


 いやこれはもはや、ミステリーの終盤で明かされる驚きの展開の類ではなかろうか。



 ――趣味の友達。


 これだ。名案である。

 やはり古今東西趣味は強い。趣味から始まった友達は、話題も尽きないし、何よりお互いの趣味を分かりあっている。こんな強いメンツは居ないぜ。


 それでは紹介しよう、俺の趣味だ!


 読書。


 詰んだ。

 仮にどんな街に引っ越しても、「河原でフリースタイル読書の会~初見さんお気軽に~」が開かれているわけがない。いやなんかフリースタイル読書って楽しそうだな普通に参加したいわそれ。


 いや多趣味で名の通った二八さんの趣味は千手観音の手の数だけあると言われているんだ。次の趣味、カモン!


 野菜を茹でる。


 詰んだ。

 市役所の趣味のサークル募集のコーナーに「ほっこり☆週末野菜茹でクラブ」のポスターが貼ってあるだろうか。いやまあ日本中くまなく探したらありそうだけど。


 そこで「いや料理教室でいいんじゃないの?」と思ったあなたは二八さんをよく知らないだろう。いや私が明かしてないんだから知るわけないよねごめん。


 私は、この一年あまり「野菜を茹でる」ことにはハマっているが、「料理をする」ことは至極苦手なのである。

 何のために野菜を茹でるのか? それは、カップラーメンのトッピングを充実させるためといっても良いのだ。だから料理教室は多分行かない。


 しかしまあ大丈夫、二八さんの趣味はまだまだ尽きない。次の趣味、セイ、カモン!


・神社をぶらぶらする。

・手芸。

・風景や人形の写真を撮る。

・ピアノを弾く。

・スマホのガジェットをいじって遊ぶ。

・動画サイトで動画見る。

・一人カラオケ。


 あかんこれだわ。

 最後の「一人カラオケ」に至ってはもう友達作る趣味ではないんよ。

「いやあ一人って気楽だよね」の精神に基づく趣味なんよ。


 一体大人の皆はどうやって友達を作ってるんだろう。


 ひとまず、河原でフリースタイル読書会が開かれてる土地があったら教えてください。

 当方、長編ミステリーを肩に担いで赴こうと思います。


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友達ってどうやって作ったらいいんだろう 二八 鯉市(にはち りいち) @mentanpin-ippatutsumo

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