第5話

「今日からはグループワークをやってみようと思います」

 グループで文学の派閥を一つ選び、発表するというものだった。

「グループワークの班割は決めてあるんだ」

瀬名 治

織田 智則

坂口 士郎

明石 一雄

 明石以外は顔見知りだった。

「俺は明石一雄。好きな作家は太宰治で……」

「太宰! なあ何の作品が好き?」

 瀬名は好きな作家が被ったのか嬉しそうにしている。

「『道化の華』とかが好きだけど」

「あ~~、良いよなぁ」

「おい、二人だけで進めないでくれ。俺の名前は織田智則、文豪とかは詳しくないけど、大学で色々学びたいと思ってる」

「俺は坂口士郎。小泉八雲とか好きだぜ」

「で、太宰が好きなお前、名前は?」

 そういえば瀬名は名前を名乗っていなかった。

「ああ、ごめん。僕は瀬名治。太宰作品では『人間失格』は勿論、『駆込み訴え』とかも好き」

「じゃあ、この4人でグループワークする訳だけど、何の派閥にする?」

「そんなの決まってるだろ! 無頼派だよ!」

「俺は良いぜ」

「じゃあ、それで」


 俺達4人はスナックるぱんに及川先生と共に来ていた。

「君達、無頼派と縁があるねぇ。これはもう、運命だね!」

「あなたが組ませたんでしょう」

「そうだけどさ、生徒名簿に君達の名前を見つけた時にピンと来たね。これは新たな無頼派を結成させるべきだってね」

 斯くして、俺達は「シン・ブライハ」を名乗ることになったのであった。

 明らかに、最近見た映画の影響を感じられるネーミングだ。


 ここから俺のキャンパスライフは本格的に始まったといっても過言ではない。


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