時よ、止まればいい。この瞬間が美しいのだから。

簡単に説明すると:「ファウストのSF版」。
地上から失われた想いを、科学という名の悪魔と契約して取り戻す。しかし死者を蘇らせることなど可能なのか? 取り返しがつかなくなる前に出来るのは――—。

ここからは感想です。
たった八千文字なのに、一本の短編映画を視聴したような内容でした。科学とオカルトを合体させた設定も面白く、良性の人間性を取り戻すエンディングは、まさにSFジャンルに相応しかったです。

表現と演出の仕方も上手いです。第一話で描かれた核爆発は最初、なんだろう?と思いましたが、後の説明によってキノコ曇だと明かされたときは、一気に現代へ戻されたかのようでした。

90年代の短編小説ですが、現代でも難無く通用する、色あせない作品です。

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