TRPG2 (多分40分前後の台本)

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声劇・ボイドラ台本 『TRPG2』

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このシナリオについて


・配信などの台本としての使用については

 自由にしてください。


・私的利用の範囲外の利用はサイトの規約で

 禁止されてるので、禁止です。


・配信で使用する際、改変しようが何を

 行おうが、その配信者さんの責任で

 行うなら、全然おっけーです。なお、

 KAERUは本台本を使用した配信で

 起こる全ての争いの責任は負いません。


・複製はこのサイトの規約的にもダメです。


・質問などあったらKAERUまでお気軽に。


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キャラクター一覧

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ナレ:

戦士:

盗賊:

魔法使い:

僧侶:


※PC使ってる人は、[ctrl]+[F]とかで自分の

 役をページ内検索すると、色付いて見やすい

 かもしれないです。


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プロフィール

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ナレ(性別不問)

シナリオ進行。GMです。

中肉中背、面倒見の良い性格をしている。

その正体は……。


表現力は必要ない役だけど、演技力は必要かも。


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戦士♂

身長:176cm

好きな食べ物:肉料理全般。

嫌いな食べ物:野菜全般。

性格・背景:

ストイックで努力家。実は名家で資産家の息子。次男。

次男だから奔放に生きていると思われがちだが、優秀過ぎる兄に対してコンプレックスを感じており、反発している。

本当は頭がいいのに考える事を放棄し、馬鹿になりきっている。


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盗賊♂

身長:162cm

好きな食べ物:ジャンクフード全般、クリームシチュー。

嫌いな食べ物:特にない。

性格・背景:

社交的で女好き。母子家庭で育った彼は、母親を幸せにしたいと思っていた。

だが、男性に依存する母親に受け入れられず、母が他界した後は自分は誰も幸せにできないと自暴自棄に生きている。


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魔法使い♀

身長:160cm

好きな食べ物:カレー、サンドイッチ。

嫌いな食べ物:コロッケ。

性格・背景:

サバサバしているが、本当は可愛いものが大好き。

もともとは陸上選手を目指いしていたが、彼女が高校生のある時に歩道に突っ込んできた酔っ払い運転の車に轢かれてしまい、両足複雑骨折、じん帯損傷を起こしてしまい、陸上の未来を絶たれてしまう。

大学ではスポーツ医療を学んだが、スポーツに触れる事が嫌になり一般企業に就職する。


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僧侶♀

身長:152cm

好きな食べ物:パンケーキ、プリン。

嫌いな食べ物:苦いものや辛いもの全般。

性格・背景:

可愛くなければ生きている価値がない。という歪んだ信念を持っている。

幼い頃から父親に虐待されて育ってきた彼女は、「愛されたいという願望を満たすために親の前で常に可愛い子供として振る舞い、可愛い娘を演じてきた。

母親が父親にどれだけ殴られても泣きながら媚びた笑顔を見せる姿を見て、「自分も努力して可愛い娘にならなければ愛されないんだ」と解釈する。

そうして生きてきた彼女は、両親亡き今も愛される事を求めて生きている。


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↓↓↓本編ここから↓↓↓


ナレ:よし、みんな集まったな


魔法使い:このメンバーで集まったって事は、アレの続き?


盗賊:よっしゃ! 今度はカッコイイところみせるぜ!


僧侶:盗賊さんはセクハラしかしてなかったですもんね


盗賊:うぅ……それは言わないで……


戦士:まぁまぁ、俺は凄く楽しかったぞ


魔法使い:あんたも暴走してたと思うよ


戦士:……ごめんなさい


ナレ:(笑う)楽しみ方は色々だけど、私は皆とTRPGが出来て嬉しいよ


魔法使い:まぁ……悪くなかったけど


僧侶:そうですね


ナレ:次のマップは温泉のある街だ。戦闘は少ないかもしれないけど、銭湯はある


盗賊:世界一くだらねぇ事言ってる!!


戦士:温泉……まて!!


魔法使い:ど、どうしたの?


戦士:それは……


盗賊:それは?


戦士:混浴なのか!!??


盗賊:(気付いたように)はっ!!!


魔法使い:おい男共


僧侶:エッチです!


盗賊:あぁ!! 名言きたー!


ナレ:どうだろう、ルールブックには書いてないが、混浴という事にしとくか?


僧侶:絶対にダメです!!


戦士:ええ!?


魔法使い:……ここにいる男共って、昭和アニメのキャラクターみたいな性格してるよね……


僧侶:令和は無理でも、せめて平成からはじめましょ


盗賊:くっ


ナレ:まあまあ、とりあえず、皆のステータスから確認してみよう


戦士:あー、ステータス?


ナレ:そうそう、まずは戦士、君のスキルは?


戦士:えーっと、まずは六連撃、ダイスを6回ふって、それぞれ攻撃力の20%ダメージを与える事ができる。


ナレ:ふむ。まあ一撃一撃は弱いが、運の要素の強いダイスを6回ふれるから、安定して高い火力が出せるね。


戦士:あとは……挑発、圧縮防御と、危機一髪?


ナレ:挑発はその名の通り、相手のヘイトを集める事ができる。

ナレ:圧縮防御は範囲魔法のダメージを自分一人で引き受ける事ができる凄いスキルだね


ナレ:危機一髪は、体力が2以上の時、どんな攻撃を受けても必ず体力1を残して生き残るスキルだね


戦士:おお!!


魔法使い:それって戦士というか、ただのMな人なんじゃ……


盗賊:それな


戦士:おお! それは凄いな!


盗賊:……ほんとにな


ナレ:さて、次は僧侶のスキルを見てみようか


僧侶:えーっと私は、筋力の加護と、いくつかの回復魔法と、ノーコンの加護?


ナレ:筋力の加護は、攻撃の際、ダイスをふって奇数の場合、3倍の攻撃力ダメージを与える事ができるね


盗賊:戦士要らないな!


戦士:おお!!


魔法使い:いや、おお、じゃなくて……


ナレ:ノーコンの加護は、魔法効果が3倍になる。ただし魔法を使用する際、ダイスが偶数の場合は狙った相手に当たる。奇数の場合は敵に当たる。


盗賊:なにその運任せスキル


僧侶:使いにくいですね


ナレ:因みに、筋力の加護とノーコンの加護はパッシブスキルといって、常に発動するから、気をつけた方がいいよ?


僧侶:回復できる自信……ないです……


ナレ:続いて、魔法使いだ


魔法使い:はいはい、えーっと、範囲魔法各種と、特殊範囲魔法のブラッディメテオストライク。あれ? これだけ?


ナレ:そうだな。範囲魔法は使いどころに気をつけなきゃいけないから、上級者向けだな


魔法使い:この特殊範囲魔法っていうのは?


ナレ:特殊範囲魔法ブラッディメテオストライク。これはこの範囲魔法で巻き込んだ仲間のダメージが多いほど、敵に追加ダメージを与える事ができる。


盗賊:巻き込む前提なのかよ……


魔法使い:……


戦士:どうした?


魔法使い:楽しそうね!!


戦士:おお! よかったな!!


盗賊:ダメだこいつら……


僧侶:そうですね……


ナレ:あとは


盗賊:俺だよな! よーっし、俺のスキルはっと……


戦士:どうした?

盗賊:……えと、スキルは


戦士:だから、どうした

盗賊:……


ナレ:私が代わりに読み上げよう。まずはスキル、盗む。これはパッシブスキルの下着泥棒が発動するから、必ず下着を盗む事ができる。


盗賊:……


ナレ:続いて、完全なる鑑定。これは相手に触れただけで、その人物の胸のサイズを知ることが出来る。


僧侶:へえ…


魔法使い:そうなんだ


盗賊:空気が……重い……


戦士:いいなぁ


盗賊:え?


戦士:え?


ナレ:後は、罠探知。これは罠を確認出来るスキル。続いて、スキル、運命を盗む右手。


盗賊:運命を?


ナレ:ああ、これはちょっと特殊なスキルで、スキルを発動するとダイスの目を必ず偶数にする事ができる。つまり、ダイスの目から奇数の出目を盗むんだ。


盗賊:ふうん


ナレ:ダイスの目の最小値は1で奇数。最大値は6で偶数。つまり、最小にならないし、大きな数字になりやすいぞ。


盗賊:いや、俺のスキル戦闘とほとんど関係なくないか……


戦士:まあいいじゃないか。その分エッチなスキルがあるじゃないか


盗賊:嬉しくねえ!!


僧侶:ほんとですかね……オイシイとか思ってませんか?


盗賊:このパーティに信頼関係はねえのか!?


魔法使い:半信半疑よねえ


僧侶:ねー


ナレ:よし、スキルの確認も終わったし、そろそろ始めようか


ナレ:夕暮れ時。君たち一行は平原の道を進んでいた。そこにはモンスターの影もなく、目的の町までもう少しといったところだった


盗賊:そういえば、俺たち温泉で何するんだ?


魔法使い:確かに。温泉でボスを倒すとかそういうお話にはなりにくいよね


僧侶:ですね


戦士:いや、わからんだろ。温泉から瘴気みたいなものが出てて、原因のモンスターを倒してくださいみたいなミッションかもしれないだろ


僧侶:え?


魔法使い:……戦士……あんた……


戦士:ん? どうしたみんな


盗賊:い、いや、戦士もまともな事言えるんだなって思って……


戦士:あのなあ、お前ら俺をなんだと思ってるんだ


盗賊:脳筋


僧侶:エッチな人


魔法使い:すんごいバカ


戦士:お前ら……普通に罵詈雑言じゃないか……


ナレ:談笑する一行の眼前に、大きな町が見えてくる


戦士:談笑してたかな……


ナレ:町の入口には関所があり、衛兵が立っている


盗賊:衛兵さーん、こんにちわー


ナレ:(衛兵)おお、冒険者か。俺も昔はお前みたいな冒険者をやっていたんだがな


魔法使い:へえ、そうなんですか


ナレ:(衛兵)膝に矢を、受けてしまってな


僧侶:? そうなんですか?


戦士:膝に矢を受けると、衛兵になってしまうのか?


ナレ:(衛兵)……ま、まあそれは置いておこう。お前たちは、町に入りたいのか?


戦士:うむ。この街に温泉があると聞いてな


ナレ:(衛兵)だが断る!!


盗賊:なんでぇ!?


戦士:なぜだ!! 理由を教えてくれ!!


ナレ:(衛兵)ん? 理由か


戦士:そうだ。なぜ入れてくれないんだ


ナレ:(衛兵)理由を知りたいのか


盗賊:お、おう


ナレ:(衛兵)……それはな……


戦士:うむ


ナレ:(衛兵)特に理由はない!


盗賊:なんでだよ!!


ナレ:(衛兵)だが断る!!


盗賊:だからなんで!?


僧侶:盗賊さん、もうやめましょう。このひと話が通じない人です


魔法使い:そうね、別の入口をあたるか、別の人に話をするか……


ナレ:そこに、別の衛兵がやってきた


僧侶:あ、衛兵さん、あなたは日本語通じる衛兵さんですか?


魔法使い:さらっとひどい事いうよね、あんた


ナレ:(衛兵2)おお、お前たちは冒険者か


戦士:そうだ


ナレ:(衛兵2)俺も昔、お前たちみたいな冒険者だったんだがな


戦士:そうなのか


ナレ:(衛兵2)膝に矢を、受けてしまってな


戦士:膝に矢を受けると、衛兵になってしまうのか?


魔法使い:あー、戦士はもうしゃべらなくていいから、話が進まない


僧侶:そうですよ、戦士さんは黙っていてください。というか一生しゃべらなくていいです。


戦士:ひどい


僧侶:衛兵さん、私たち町に入りたいんです


ナレ:(衛兵2)なるほど、お前たちは町に入りたいのだな?


盗賊:はい、そうなんですよ、なかなか入れてもらえなくて困ってて


ナレ:(衛兵2)だが断る!!


盗賊:だからなんでぇ!?


ナレ:衛兵に止められ、町に入れない一行。そこに、見覚えのある老人の姿が見える


戦士:あれ? あの人って確か


僧侶:ああ、この間助けた村長さんですね


ナレ:(村長)おお、おお。これはこれは、お久しぶりですな。どうされました?


戦士:いやあ、町に入って混浴の温泉に入りたいのですが、中々いれてくれなくて


ナレ:(村長)ほう、温泉ですか


戦士:そうなんです。 混浴の温泉に入りたいのです


ナレ:(村長)混浴ではないですが、私の親戚の別荘に温泉がございますが、寄って行かれますか?


戦士:いやあ、こ、ん、よ、く、の、温泉を探しているのですが──


魔法使い:ストーーップ! 村長さん! そこに寄りたいです!


ナレ:(村長)おお、おお、わかりました、案内しましょう。衛兵さん、この方達の身分は私が保証しましょう。


戦士:混浴……


魔法使い:あんたは一生黙ってなさい!


戦士:ひどい


僧侶:村長さん、ありがとうございます。


ナレ:(村長)いえいえ、あなた方は私の村を救ってくれた英雄ですからな。私もこれから向かう別荘に数日泊る予定なのですよ。


僧侶:そうなんですか?


ナレ:(村長)ええ、村娘の一人が給仕代わりについてきておりましてな、彼女は先に別荘に着いていると思いますが、どうか仲良くしてやってください


ナレ:そう言って歩き出す村長。一行は彼のいう、混浴ではない温泉に向かうのだった


ナレ:村長の別荘に到着した一行。そこには、メイド服を着た村娘がいた


ナレ:(村娘)お待ちしておりました、村長


魔法使い:へえ、結構いいところね


戦士:混浴……


僧侶:本当ですね! お庭もあって、くつろげそうです!


戦士:混浴……


盗賊:ああ、今回は戦闘は無しで、本当にゆっくりできそうだな


戦士:混浴……


魔法使い:戦士!!うるさい!!


戦士:いや、だって!混浴!!


魔法使い:混浴の何がいいの!?


戦士:だって! お前の裸が見れるんだぞ!!


魔法使い:は??


僧侶:公衆の面前でそんな事いうなんて、えっちを超えて変態ですね


盗賊:戦士


戦士:なんだ盗賊


盗賊:そういうのはな、言ってはいけないんだ


戦士:だが! しかし!──


盗賊:胸に秘めておくものなんだ!! 決してかなわない夢かもしれない。でも! 胸の奥で願い続けるものなんだ!!


戦士:っ!! 盗賊!!


僧侶:盗賊さんはムッツリな変態さんですね……


魔法使い:混浴だなんて! そんなに不特定多数の裸が見たいの!?


戦士:え? いや、違うんだ魔法使い


魔法使い:……なに?


戦士:俺は! お前の裸が! 見たいんだ!


魔法使い:え?


戦士:お前の裸だけが!! 見たいんだ!!


魔法使い:ち、ちょ、何を言って……


戦士:だから、見せてくれないか、魔法使い


魔法使い:そ、そんな事言われても……


盗賊:なんでちょっとまんざらでもない反応なんだよ……


僧侶:全くです。そんなに好きでもない相手と、状況に流されて付き合っちゃう典型ですね


盗賊:そうなのか?


僧侶:そうなのです


盗賊:でも、付き合ってから好きになる事もあるだろ


僧侶:かもしれません。でも私は、お互いに好きだって事を確認した上で先に進みたいです


盗賊:意外と古いタイプなんだな?


僧侶:古い新しいじゃありません。向き合い方の問題です。だから、盗賊さんみたいな人が一番嫌いです


盗賊:だから、向き合い方が古いって言ってるんだよ。好きかどうかわからない内に付き合った経験は?


僧侶:ある訳ないじゃないですか


盗賊:じゃあ、それについて語るスタートラインにすら立ってねえよ。いや、語るのはいいけど、是非を押し付けるな


僧侶:なんですか、文句あるんですか?


盗賊:ああ、あるね


僧侶:言ってください


盗賊:嫌だ。僧侶ちゃんみたいな人間は、言っても受け入れない。じゃあ言うだけ無駄だ


僧侶:はあ?? なんですか? すごくイライラするんですけど


盗賊:せいぜいみんなに愛される人間でいろよ。愛されたいと思ってても、僧侶ちゃんの高い水準を満たさなきゃ誰も踏み込めないんだろ?


僧侶:愛される事と、お付き合いの基準は別です!


盗賊:一緒さ。それに、そんな基準設けてる内は相手の本質を見る事ができない。僧侶ちゃんにとって、俺がそうであるようにな


僧侶:は? 意味わかんないんですけど


戦士:なあ!! 頼む!! 魔法使い!! 見るだけ! 見るだけだから!!


魔法使い:え? いや……でも……そんな……


戦士:わかった!! 俺も脱ぐから!!


魔法使い:いや!! そういう問題じゃなくて!!


ナレ:(村長)あのぅ……


[全員一斉に]


盗賊:あ?(怒気を孕んで)

僧侶:はい?(怒気を孕んで)

戦士:む?(何も考えず)

魔法使い:え!?(羞恥を込めて)


[わずかな間、咳払いがあってもいい]


ナレ:(村長)とりあえず、皆さん温泉で温まってはどうかのぅ


ナレ:こうして、一行は温泉に向かうのだった。


[温泉、女湯にて]


魔法使い:ぷっはー! 温泉さいこーー! 体に染みるぅー!!


僧侶:おばさんみたいですよ、魔法使いさん


魔法使い:そんな細かい事はいいのいいの! 最高じゃん温泉


僧侶:はあ、気楽そうでいいですよね、魔法使いさんは


魔法使い:そう?


僧侶:そうです。さっきだって、戦士さんのセクハラ行為をどうして止めなかったんですか? 怒るべきです!


魔法使い:んー? ま、いいかなって思って


僧侶:まあいいかなじゃないんです! あんなの許せません!


魔法使い:僧侶ちゃんが許せないって事よね、当事者の私がいいって言ってるんだからいいじゃん


僧侶:ダメです!


魔法使い:でも、もしかしたら戦士なりの愛情表現かもしれないじゃん


僧侶:だとしても! 裸が見たいなんて、ただの体目当てじゃないですか!


魔法使い:へえ? じゃあ、何目当てならいいの?


僧侶:何目当てって?


魔法使い:何か目当てにしてっていうと印象悪いけど、要するに何に惹かれたかってことでしょ?


僧侶:はあ、まあ


魔法使い:じゃあ体に惹かれるのがダメなら、何に惹かれれば許せるの?


僧侶:性格とか!


魔法使い:性格目当てならいいの?


僧侶:そ、そうですけど


魔法使い:そっかー。でもさ、性格なんてさ、いくらでも簡単に変わっちゃうよね


僧侶:そうですか?


魔法使い:そうだと思うよ。体も、もちろん着飾ったりメイクしたり、整形したり、そうやって変えられるけどさ


僧侶:ですね


魔法使い:でも、基本的に産まれてからずっと付き合ってきたこの体を好きって言ってくれるなら、嬉しいかな


僧侶:そうかもですけど!


魔法使い:要するに、僧侶ちゃんが嫌なのは他の体も簡単に好きになっちゃう男が嫌って事でしょ?


僧侶:そう、かもですけど


魔法使い:じゃあ簡単に他の性格が好きになっちゃう人間が居たら、それも同類でしょ。

体とか性格とか、どこを好きになるかなんて難しく考えなくてもいいんじゃない?


僧侶:ダメです!


魔法使い:なんで?


僧侶:だって!


魔法使い:だって?


僧侶:えっちです!


魔法使い:あっそ


僧侶:魔法使いさん、なんか冷たいです


魔法使い:そう?


僧侶:そうです


[微妙な間]


魔法使い:あの……さ


僧侶:なんです?


魔法使い:私、戦士の事さ


僧侶:はい


魔法使い:悪くないなって、思うんだけど


僧侶:は!?


魔法使い:おかしいかな


僧侶:おかしいです!!


魔法使い:そんなに言わなくても……


僧侶:だって戦士さんですよ!?


魔法使い:そうなんだけどさ、なんか、似てるなーって


僧侶:全っ然似てないと思いますけど、どこがです?


魔法使い:あいつね、多分、どこかで自分の人生諦めてる感じする


僧侶:っていうことは、魔法使いさんも諦めてるんですか?


[微妙な間]


魔法使い:……私ね、子供の頃から走るのがすごく好きでさ。

風を感じたり、誰よりも速く、ただ速く走る事が本当に好きだった


僧侶:そうだったんですか、ちょっと意外です


魔法使い:そうでしょ?

これでも高校時代、県大会負けなしでさ。世界狙えるって言われてたんだよ?


僧侶:すごいじゃないですか!


魔法使い:なんだけどね、ある日、酔っ払い運転の車が歩道に突っ込んできてね。私、轢かれちゃったんだ


僧侶:え?


魔法使い:お医者さんはね、生活に支障はないって言ってた。でも、複雑骨折した左足は後遺症が残るってさ。

もう二度と、走れないんだぁ、ってその時理解した


僧侶:……


魔法使い:何が生活に支障がないだよ。支障があっても走れた方がよかった。

なんでよりにもよって私の一番大事なもの奪ってくのって。

ほんとに、悔しかった。

……リハビリ頑張ったけど、早歩きで限界。走ることは結局できないって言われたよ


僧侶:……そんなことがあったんですね


魔法使い:それからずっと絶望してた。

(笑いながら)ま! そんな事があったんだけどね


僧侶:戦士さんにも、そういう過去があると?


魔法使い:そうね、何かに絶望して諦めたって感じする


僧侶:そういえば、戦士さん学校の成績、ずっと学年5位以内らしいですよ


魔法使い:そうなの!?


僧侶:家柄がいいって聞いてますし、本当は勉強のできるお坊ちゃんなんでしょうけどね


魔法使い:へえ、あいつがねえ。

で?


僧侶:はい?


魔法使い:僧侶ちゃん、盗賊と喧嘩してたみたいだけど?


僧侶:それは……別に喧嘩ってほどじゃ……


魔法使い:でも、イライラしてたでしょ?


僧侶:それは……まあ……


魔法使い:ほらほらぁ、お姉さんに聞かせてみな?


僧侶:別に、なんでもないですよ


[温泉。男湯にて]


盗賊:ぷっはー! 温泉はいいなぁ! 生き返るぅー!


戦士:おっさんくさいぞ


盗賊:んなこたぁ気にすんな! はぁー、五臓六腑(ごぞうろっぷ)に染み渡るぅー


戦士:内臓に浸透するのか……恐るべし! 温泉!!


盗賊:相変わらずバカだなお前は


戦士:ん? (急に自嘲気味な顔をして)まあ、そうなんだ。バカなんだ。俺は


盗賊:あ? もしかしてさっきの魔法使いとのやり取りか?

戦士:ああ、そうなんだが。

その……相談があるんだ


盗賊:相談?


戦士:うむ。その、お前はモテるだろ


盗賊:なんだよいきなり。(少し嫌そうに)あーそんな事ないよ


戦士:いや、聞いた限りだと、お前のモテ方はとんでもないらしいじゃないか!


盗賊:ンな事言っても? 長続きしませんけど? んでもって今フリーですけど?


戦士:俺はモテないんだ!


盗賊:……お前の場合はモテてるけど鈍いんだよ……


戦士:そこでだ、俺、その、魔法使いの事が……ちょっと気になっていてだな……


盗賊:それで混浴で仲良くなりたかったっていうのか?


戦士:おぉ、さすが盗賊! 鋭いな!


盗賊:お前、バカだろ


戦士:……そうだ。どうしようもなくバカなんだ。だけど! 諦めたくないんだ!


盗賊:それで? 俺にアドバイスが欲しいって?


戦士:そうだ! 頼む!!


盗賊:ダメだ


戦士:なんでだ!


盗賊:俺とお前は違う。培った土壌も、生きてきた土台も。

だから、俺の成功体験をそのままやったってうまくいかない。

お前はお前のやり方を見つけろ


戦士:……そうか


盗賊:どうした?


戦士:……お前も、兄さんと同じ事を言うんだな


盗賊:へえ、お前の兄貴様はさぞおモテになったんだろうな


[微妙な間]


戦士:(ため息)モテるだけじゃない。完璧な人だった


盗賊:……へえ?


戦士:俺の兄は、世界に100人もいないとされる、驚異的サヴァン症候群というやつだったらしい。

その場合、自閉症スペクトラム障害の一つだから、普通はコミュニケーションを苦手としたり、一部生活において苦痛があるものらしいんだが、兄はそうじゃなかった


盗賊:その驚異的サヴァン症候群ってのは、どういうものなんだ?


戦士:色んなケースがあるが、一度見たものは完璧に記憶したり、それは本一冊の一言一句をすべて記憶するレベルだ


盗賊:へえ


戦士:絶対音感も兼ね備えてた。それに記憶だけじゃなくて、応用力も凄くてな。成績は常に学年トップだった


盗賊:すげえな


戦士:おまけに運動も得意で、顔も整ってる。あんなのは化け物だ、人間じゃないと思ったよ


盗賊:つまり、コミュ力ある全知全能なギフテッドだったと


戦士:ああ、それ自体は素晴らしい事だと思う。でもな、俺は……


盗賊:ここまで聞いたんだ、全部聞くぜ?


戦士:……ありがとう。

俺の家は名家だった。世界的に有名な企業を立ち上げた創設者の一族でもある。

しかも、本家でな。俺の兄は家族からも、他の一族からももてはやされた


盗賊:まあ、天才様だもんな


戦士:分家の人間も、文句なく兄の事は称賛した。でも、完璧な存在過ぎたんだ、兄さんは。

周りは捌け口を求めた。


盗賊:その捌け口が、戦士だったと


戦士:そうだ。いつも「あの優秀な兄に比べて、あの出来損ないは」ってな


盗賊:まあ、辛いわな


戦士:家族も俺を蔑んだ。兄と同じ食卓でメシを食うのが気に入らないという事でな。

小学2年生の夏から、俺は床に犬用のペットフードを与えられて、(笑いながら)中学になるまでずっとペットフードで育ったよ


盗賊:……ひでえな


戦士:それでも、俺も頑張ったんだ。成績は常に学年上位。でも、それをキープするためには、勉強以外を捨てるしかなかった。

そこまでしても兄には届かない。でも、俺は諦めなかった。


[一拍の間]


戦士:で、俺は兄さんに聞いたんだ。どうすれば、兄さんのようになれますかってな


盗賊:んで? 兄貴さんはなんて?


戦士:俺とお前は違う。俺と同じ事をしても、俺の劣化版になるだけだ、諦めろ。ってさ


盗賊:容赦ねえな


戦士:その時にな。ああ、これが天才と凡人の違いなんだなって思い知らされたんだ


盗賊:それを今、感じたって?


戦士:……ああ、俺はお前みたいになれない


盗賊:お前、やっぱバカなんだな


戦士:盗賊、俺は真面目なんだぞ


盗賊:わかってるし、正直お前を蔑んだ連中全員に腹がたってる。でも、お前にも腹がたってるよ、俺は


戦士:しかし、俺は──


盗賊:いいか! 俺はな! 最低な人間なんだ!


戦士:お、おう、そんな事はないと思うが──


盗賊:でも、お前なら多分、誰かを幸せにできる


戦士:……そうかな


盗賊:そうだよ。俺にはそれができなかった。でも、お前ならできる。

だから、焦るなよ。俺も協力してやるからさ


戦士:……ありがとう


ナレ:一方そのころ。村長たちはリビングにいた。

給仕をする村娘と、何やら重苦しい空気で話をしている


ナレ:(村長)ところで、よかったのか?


ナレ:(給仕)何がです?


ナレ:(村長)ほら……その、家族にあんなことがあったばかりじゃろ


ナレ:(給仕)父さんの事ですか。大丈夫です。


ナレ:(村長)いい奴だったんじゃがなぁ


ナレ:(給仕)……そうですね


ナレ:(村長)……しかし、冒険者の皆様は遅いのぅ。湯につかりすぎて倒れなければよいのじゃが


ナレ:(給仕)念のため、早めにベッドの用意もしておきます


ナレ:(村長)頼むぞ


ナレ:(給仕)では


[給仕が去った方を見ながら]


ナレ:(村長)ふう、あやつも早く立ち直ればいいんじゃがのう


[間]


ナレ:次回予告!


ナレ:苦難の末に温泉にたどり着いた一行に迫りくる魔の手!


ナレ:村長の命が狙われている!?


ナレ:なんとか守りきらなくては!


ナレ:そこに、狙われた村長を守る秘策を思いつく!


ナレ:一行は村長を守り切る事ができるのか!


ナレ:次回!


ナレ:「村長、死す」


盗賊:ギイー(扉の音)


僧侶:バタン(扉が閉まる音)


戦士:ネーークストTRPGヒィーント!


魔法使い:おっぱい

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「台本」【男2、女2、不問1】TRPG KA𝐄RU @_kaeru_

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