【4-12】コナリイのお客様 下
【第4章 登場人物】
https://kakuyomu.jp/works/16817330657005975533/episodes/16818023213408306965
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銀髪美女と七三眼鏡はどのような関係なのか――レイス隊将校・下士官の関心はそこに凝縮されていた。
もう1回
彼女も再潜入する気満々だ。ティーカップの数を確認していた彼女は、あ!と、3人目の客人の存在を思い出す。
「あと、大きなオネエさんがいましたあぁ~」
この日、お茶の給仕を女児准将に頼まれたレクレナが、初めに応接室に入った折のことだ。
柔和な僧正、
ありがとう――僧正は柔和な笑みを浮かべ、美味しいわ――少女はニッと笑みを浮かべ、それぞれお礼を言ってくれた。感動を覚えたレクレナが勢いよく顔を上げると、建物の構造物のようなものが視界に入る。
――んん~~?こんなところに柱なんてあったかなぁ~~~??
お客様用ソファの後ろに大きな柱が立っていたのだ。はてさて、柱がまとう白い
――柱じゃない、人ですうぅ。
レクレナは、その大きなお客様に向けても、どーぞとお茶を手渡した。
天井に届きそうなほど大きな人物の両目が、蜂蜜頭をとらえたようだ。クワッと口が開き、そこから野太い声が響く。
「嬉しい!ありがとーーー♡」
オネエさんは、銀髪美女の護衛なのだそうだ。白い外套の合間、浅黒い丸太のような腕がぬっと動くと、紅茶を受け取ってくれた。
太い人差し指が持ち手に通らず、代わりに小指を用いては器用にティーカップを口にしている。大きな唇をおちょぼ口にして、さも美味しそうに紅茶をすすっていた。
応接室への再訪を前に、レクレナが、オネエさんの分のカップをのたのたと用意しはじめる。だが、レイス隊執務室の同僚たちは、相変わらず銀髪美女の話題に夢中であった。
彼等が盛り上がっていると、上階が騒がしくなった。応接室の扉が開いたようだ――どうやら、お客様方が御帰りらしい。
レイス隊の全員が中央階段へ向けて部屋を飛び出す。銀髪美女を一目視界にとらえよう、と。
だが、ゴウラ少尉だけは続かなかった。
「先任少尉殿は放っておこう」
カムハルたちは先輩に対して素っ気ない。先任少尉殿の頭のなかには、副長とソル嬢と筋肉しか詰まっていないのだから、と。
隊長と副長だけがイーストコノート大陸に戻り、自分は帯同できなかった――ゴウラ少尉の嘆きぶりと暑苦しさが、ぶり返すのを恐れたためともいえる。
【4-3】 ぐーたら参謀の新婚生活? 下
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「……まったく、不純なやつらだ」
ガランとした室内で1人――手持ち無沙汰となった先任少尉は、腕立て伏せをはじめる。
――俺は、
第1部【プレイバック?⑤】アシイン=ゴウラの小休止
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894256758/episodes/16817139557161287811
最近では、隊務はおろか日常生活においても、ゴウラは品行方正を心掛けている。大海の向こうに渡った彼女と再会する時も、恥ずべき点はないようにしておかねばならないからだ。
20、30、40……二つに割れた
だんだんと体が温まってきたゴウラの視界を、ふいに何かが覆い隠した。白い柱――否、白い壁のように大きなものが。
「いい上腕二頭筋ね……♡」
ゴウラすら押しかぶすほどの巨漢が、
「いい男、見いつけた♡」
「……!?」
巨漢の大きな顔が迫る。筋肉自慢の先任少尉をもってしても、鳶色の巨眼に捉えられては、身動きが出来ない。
取って喰われることを覚悟したゴウラ――そこへ室外から澄んだ声がかかる。
「アルスター、行きますよ」
「はあぁぁぁい♡」
内股気味の足をもって巨体をスキップさせながら、主人と思しき者の方へ向かっていく。戸口に立つのは、長い銀髪のポニーテールの……。
ところが、ゴウラは再び視界を封じられた――巨漢が急旋回してきたのだ。そして、丸太のような腕を繰り出してくる。
「ツバつけちゃう♡」
巨漢の白き民族衣装からのぞく太ましい指が、ゴウラの肩先を突っついた。
「またね、筋肉くん♡」
「……ッ!?」
その刹那、おちょぼ口から繰り出されたのは投げキッス――被弾したゴウラは、白目を剥いて昏倒した。
お客様一行が御帰りになったあと、第1発見者のレクレナが女児准将に報告した。先任参謀殿は、鳥肌が全身を駆け巡っていた、と。
【作者からのお願い】
この先も「航跡」は続いていきます。
直撃を被ったゴウラが心配な方、🔖や⭐️評価をお願いいたします
👉👉👉https://kakuyomu.jp/works/16817330657005975533
レオンたちの乗った船の推進力となりますので、何卒、よろしくお願い申し上げます🚢
【予 告】
次回、「銀髪の若者の自嘲――オーラム家とルイド教 上」
帝都・オーク大学構内、教員たちの個室並ぶ研究棟――その一室では、銀髪の若者が新聞をデスクに置いた。
紙上はブレギアの若き英雄の写真とそれを讃える記事で埋め尽くされている。
「レオン……」
若者は書棚の合間から窓外を見つめる。旧友の身を案じるようにして。
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