あとがき
この短編児童文学は本来もっと明るいテーマにするはずでした。本当は単に異世界転移して異世界から持ってきた物をネットで売って家計の役に立てて親孝行するという話だったのです。
しかしこの「失われた三十年」の間に家庭崩壊はもちろんの事、子ども食堂、シングルマザーやシングルファザー、ブラック企業、ヤングケアラーなどたとえ読者層が小学校高学年向きであっても悲惨な日本の現実を隠して……綺麗な世界を見せてもそれは「嘘っぽい」世界にしかならず少年少女の心には響かないだろうと思い全面改稿に至ったのです。
この物語に出てくるように先生も過労死または過労死寸前で働いております。それがもう学校という社会での現実です。だからもうなるべく現実世界と異世界を転移する物語を書く場合はもう現実をちゃんと見せよう。本気でそう思ったのです。
僕は皆さんが成人する頃にはもっと日本という国の社会が厳しい現実にさらされているだろうと思うし、そういった社会にしたのは大人の責任だと思います。だから大人としてこの場で謝りたいと思います。
「ごめんなさい」
そしてそんな筆者も「管理主義教育」世代でもあり「就職氷河期世代」という時代の被害者でもありそんな被害者が加害者の側に立ったり、負の連鎖が起きている現状です。しかもこういうことを言うと「いい年齢こいて中二病みたいなこと言ってるんじゃないよ」とまで言われそうです。だから僕たちは何も立ち上がれずに黙っていた。だから我々の世代の大半はダメな大人になってしまった。どうかこんな大人にならないでほしい。
どうか未来の大人達が変えてほしいと思ってこの作品を執筆しました。皆さんはこの作品を見てどう思っただろう。感想を聞かせてくれると嬉しいな。
あ、一応念のために言うけど全員が左を向けと言ってるのではないしそういう国も亡ぶからね。僕が言ってるのは多元的民主主義国家にならなければと言ってるわけ。
最後に……小学校中学年~高学年向けの児童文学にしてはちょっと難しい漢字をあえて使ってみた。大丈夫。ちゃんと漢字にふりがなをあとがき以外には付けてある。この本をきっかけに漢字の学習にもなってくれたら嬉しいな。
ヤングケアラーの僕の家に天邪鬼がやって来た らんた @lantan2024
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