落ちたヨルガオ4
僕たちは暗黒炭鉱に来ていた。住み慣れた世界が変わり果ててしまい、ここが最後の日常を残していた。
「ここにトレジャーがあるはずだ」
「トレジャーってなんなんだ?宝物?」
「剣の名前を冠した兵器、戦艦だ」
「戦艦?戦うの?」
「私は乗艦を追いやられて、宇宙に出る手段が無い。支配していたクラスも他人のゾンビが溢れている。もうきみだけなのだ。だから血を」
「それでどこにあるの?」
「うむ、きみの記憶によれば……」
宇宙吸血鬼、不気味な生き物だ。血を少し吸っただけで僕の記憶をも見たのだろうか?そんなふうに言わないでくれ。
「え?」
私たちは少し血を交換したことによって血族となったのだ。不気味か?
「思考が入ってくる?」
「宇宙吸血鬼は、思考を拡大し他者と共有する。それが血族だ。きみがもっと意思が弱ければグール委員のように意のままに操れるのだが」
「だからもっと血が吸いたいってわけ?」
「いや……」
まったくもってその通りです!こいつはなかなか手強いぞ。普通ならちょっと吸っただけでグールにできるはずだが……。思考が文字通りダダ漏れなんだけど……。
「そもそもなぜ、私の思考が読める!きみが一方的に私の一部になるはずなのに⁉︎」
「ええ……」
やはりやべえやつじゃん。
「はいはい、行くぞ行くぞ」
「こっちの道でしょ」
「私の考えを読むな!」
それはお互いさまでしょ。ヨルガオの記憶と僕の記憶を照らし合わせながら行き慣れた暗黒炭鉱を進んでいく。いつもの作業スペースに着くと僕が来たことに反応し投影型タッチスクリーンが起動する。いつもはこれで単眼作業ロボを動かしてミグダシウムの採掘をするのだが。
「裏コマンドだ」
ヨルガオの記憶を頼りにタッチスクリーンに裏コマンドを入力する。
「私は運が良いな。たまたま会った人類がここを知っているなんてな」
ヨルガオは沸いた疑問を押し潰す。都合が良すぎないか?
「おお、トレジャーだ!」
「これが戦艦?」
作業ロボを巨大化したようなロボが目の前に現れた。
「アームヘッド、デュランダル。
パチパチと拍手の音がした。
「委員長、見事です」
銀髪の学生服を着た少年が後ろにいた。学生服のグール委員を複数従えている。
「ヒルガオ!」
僕は叫んだ。
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