落ちたヨルガオ2
「私の後を継ぎ、我が血族の頭種となれヨルガオ」
貫禄のある少年がヨルガオに話しかける。生首だけでなくちゃんと身体の生えたヨルガオは黒い色に金のボタンがついてある服を着ていた。これは夢だ。僕は生首ではなくそれに血を吸われた側だからだ。
「あの方は変わってしまわれた。宇宙の時間と空間に耐えられるように進化した我々だが、永遠に正しくあるようにはまだ足りなかったのだ」
アサガオは続ける。
「我々、宇宙生徒会は人類の発展の為、宇宙を開拓する。帝国や連邦の争いに構ったりする暇はないのだ。ましてあのような」
その言葉は遮られた。
「起きろ!人間!」
「アサガオ?」
「私はヨルガオだ!なにを寝ぼけている!……血が足りなかったか?グールになっていないようだが?」
寝起きになにやらとんでもないことを言っているようだが。
「僕にいったい何をした?」
「おまえと血を循環交換して血のしもべにしようとしたのだ。うまくいってないようだが」
「うわ……」
「うまくいけばああなるんだが」
アホ毛でアサガオが指差す。
「え?」
生気を無くした目で男が部屋の入り口に立っていた。
「まさか⁉︎」
「私じゃない!だったらわざわざ起こさないだろうが!逃げるぞ!見つかった!」
「見つかった?」
「ノロノロするな!グール委員が襲ってくるぞ!」
その瞬間だった。そのグール委員が生気の無い目でこちらをみて飛びかかった!
「うわあああ!」
だがグール委員に押し倒されることはなかった。ヨルガオの生首がグール委員の首元に噛みついた。
「他人の血族はあまり美味しくは無いのだが……」
みるみるうちにグール委員は萎れていきヨルガオはみずみずしくなっていく。グール委員が干物になって倒れるとヨルガオはこちらをみた。
「ふふふ、これで再生できるぞ!」
生首からさらに首が伸びて、胸や肩が再構成されていく!
「ちょっと待って、服は?服は再生するの?」
「するわけがなかろう!」
ハダカ!!!?肩から腕、手が生える。胸より下の再生はまともに見れなかった。
「ふははは!やったぞ!人類、完全再生だ!これが宇宙吸血鬼の再生能力だ!」
ハダカで勝ち誇るヨルガオ。
「あれ、ヨルガオって男?」
「そうだが?」
なにか損をした気分になった。
「なんだ、その顔は?行くぞ!」
「どこへ?」
「私は宇宙生徒会長になる!」
こうして僕らの冒険は始まったのだ。
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