落ちたヨルガオ3

「ヘヘッ、似合うか?人類よ」

姉の残した服を着て得意げなヨルガオ。たしかに似合っている似合っているが。

「男用では無いのだけど……」

「なにを言っている。セーラー服を持っているとはただの人類にしてはやるではないか?これは宇宙生徒会でも高位の者しか似合わぬ礼服だぞ。だがはて」

自らの言葉に考え込むヨルガオ。

「まあ、よい。人類よ。デュランダルを知っているか?」

「知っていると思います?」

「であろうな。宇宙生徒会でもトレジャーの存在を知る者は少ない。宇宙生徒会長のヤツに対抗するためにどうしても欲しいのだが……。んん……。人類、やはり知っているのでは?おまえの掘っている洞穴があるだろう」

「暗黒炭鉱ですか?どうかしたんですか?」

「行くぞ!人類!」

ヨルガオが僕の手を取った。

「え?」

「なにを照れておる!急げ!いつ嗅ぎつかれるかわからぬ!」


外を出ると周りはグール委員ばかりだ!物陰に隠れ様子を伺う。

「ひどい……。なんでこんな」

「私を探すためであろうな。だが条約違反行為だぞ」

「ヨルガオを探すため……?」

「私を裏切り者にしたいらしい。そのせいで私は宇宙船から首だけで逃げる羽目になった」

なんという……。

「申し訳ないな、人類」

意外にもヨルガオは謝罪をした。

「私はな、この星系の支配者だ。人類、おまえは私のクラスの一員でもある」

クラス……?

「だから、せめておまえだけでも助けたい」

ヨルガオが顔を近づける。

「ヨルガオ……」

ヨルガオが牙を剥いた。

「せめておまえだけでも血族に……」

思わずビンタをした。

「痛い!なんで……」

「そういうことだと思ったよ」

「むむむ、私のチャームが効かんとは……。そもそも最初に……」

「ヨルガオ!僕を助けてくれるんでしょ!」

「人類!気安いぞ!」

「ダッカーだ」

「へ?」

「種族名で呼ぶな。宇宙吸血鬼」

「はい……。じゃない!わかったわかった。行くぞ人類」

ヨルガオを睨む。

「はい行きましょう。ダッカー」

こいつ凄まれると弱いな……。

「おい、危ない!」

グール委員!長々とコントをしていたため勘付かれた。ヨルガオがグール委員の腕を掴む。細腕だが力強いパワー。

「こいつは私が血を吸うんだ、つまみ食いするんじゃあない」


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