落ちたヨルガオ6

突如天井が割れ、生徒会旗艦“生徒会室”の艦橋に巨大な手が乱入した。

「バカな!ヨルガオの血族か⁉︎」

ヒルガオが叫んだ。

「馬鹿め、私は逃げろと言ったはずだ」

「だからおまえと逃げるんだよ」

コクピットが開き、ダッカーの顔を見てヨルガオは息を呑んだ。髪が銀色になりつつあるのだ。それを感じた僕は思わず、髪を触る。

「うげっ、どうなってんだ!」

「きみはヨルガオの血族になりつつあるようだ。いや、株分けか……?」

「あんたが?」

「そうだ、俺が今の生徒会長だ」

「そうか、ヨルガオはいただいていく。そしておまえの地位も!」

「ふふふ、楽しみにしているぞ!」

初めて宇宙生徒会長は笑顔をみせた。

「きみはなにをやっている!」

コクピットに飛び乗ったヨルガオが叱責する。

「きみがほんとうにしたいこと」

ヨルガオが苦虫を噛み潰したような顔をする。僕はヨルガオの血を少しだけ得た。それが全身に巡り、ヘブン人類の機械生命としての因子を目覚めさせた。それにデュランダルも応えた。その力で彼の心の底の願いを叶えてやるのだ。彼の心の一部は僕と混ざっている。デュランダルが宇宙に飛び立つ!

「ははは、たくさんいるぞ!」

ヨルガオが開き直り笑う。知っていると思うがドローンだ。人型戦艦を指揮系統にする自律アームヘッドだ。ハイパーヘッドは一機で複数のアームヘッドドローンを操る。まるで……。

「宇宙吸血鬼みたいだな!」

ならば!デュランダルが双剣を展開する!迫り来るドローン!

「数えるのも嫌になるな!」

「舌を噛むぞ!ヨルガオ!」

「すぐに再生するッ!」

デュランダルはかつてTYPE-Aと呼ばれたヘブン時代のアームヘッドだ。数万年前の骨董品だが……。

「速い!」

ドローンの水圧レーザーを軽くかわす!グール委員のようにとろいドローンの攻撃は伝説のアームヘッドに当たらない!ドローンの頭を足蹴に宇宙空間を飛ぶ!目指すのは指揮官のハイパーヘッドだ!

「ヒイイイ!」

ハイパーヘッドが悲鳴をあげる!宇宙戦闘でハイパーヘッド本体を狙う攻撃は想定外なのだ!その恐怖に釣られるかのようにドローンの動きが鈍る!

「今だ!」

ヨルガオの言葉でデュランダルが踵を返す!ダッカーはカメラが映す自分の星をちらりとみた。もうここに戻ることはない。





こうして二人の冒険者は宇宙の彼方に消えていった。やがていつか彼等が宇宙の生徒会長となったと歴史は記録している。





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宇宙生徒会動乱 みぐだしょ @yosidagumi2000

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