街へ戻って来た
街へと戻る景井在間。
物之怪と言う生物の存在から、将軍の身を護るべく、武之士たちは城下町で生活をしている。
八嶋城領土は三段階あり、下層は街民と下級の武之士が過ごす住民地域。
中層は隊長格が過ごす屋敷が本城を覆う様に屋敷が建てられている。
そして、領土の中心には、この領土を支配する八嶋将軍が居座っている。
「(なんとか街へと戻ってこれたな…五体満足で生き残れて、本当に良かったと思っている)」
街は活気に溢れている。
人々の交流を、景井在間は周囲を見回しながら楽しむ。
人の多さにうんざりする武之士も居るらしいが、彼は存在感が無いので、勧誘と言った事は滅多に無いから、この喧噪が心地良いと思っていた。
「(黒守隊長からの命令もないし、今日は一日、ゆっくりしようかな)」
景井在間は街を歩きながら考える。
そうして、行き付けの茶屋が近くにあるので、其処で一服しようかと思った。
「(なんだか行きつけの茶屋付近から声が聞こえてくるな、何かあったのだろうか)」
人だかりが出来ている。
景井在間は人に接触せず、地面を蹴って屋根の上に昇る。
上空から見ると、人々の中心には、男女の縺れと言うものが確認出来た。
「(どうやら見る限り暴漢たちが女性に声をかけているらしい、そしてその女性は拒否をしたために暴漢たちが騒ぎを起こしている様子だ)」
会話を聞いた景井在間は、屋根の上を歩きながら近づく。
「(何と言うか惨めなものだな。自分の思い通りに動かないからと言って無理やり動かそうとするなんて最低な行いだ)」
義憤が湧いて出た。
景井在間は、屋根の上から飛び降りて下へと落下する。
「(さすがにこの状況下を見逃すことはできないしせっかく茶屋で美味しい団子でも食べようと思っていたのにこのままじゃ台無しになってしまう)」
地面に着地すると共に、女性の前に立つ。
景井在間の颯爽とした登場に、しかし誰も気付いていない。
「(真ん中に立ったのに、暴漢も気付いていない、流石だな、暗躍術)」
暴漢が女性に向けて手を伸ばしていた。
殴ろうとしているのだろうか、即座に景井在間は、その暴漢の手首を掴んだ。
「!?何だお前、どこからやってきた!!」
ようやく、景井在間と言う存在を知覚した暴漢。
驚きながら声を荒げる暴漢に、景井在間はなにも言わない。
「(とりあえずは、この暴動を止めるか)」
騒動を納める為に、暴漢には静かになって貰うほかない。
「なんだ、テメエはッ!」
怒りの矛先を突如出現して来た男に向ける暴漢たち。
其処で、景井在間に拳を振り下ろしてきた。
陰キャで無口なモブは存在感が無さ過ぎて気付かれない。物之怪に狙われ易い体質を持つ主人公、物之怪の力を利用して戦うヒロインたちに狙われる。題名『もののけのもののふ』 三流木青二斎無一門 @itisyou
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