番外編
19話でゼフ隊長が幼いアーネにテディベアを贈った時の小話。見た目詐欺なアーネが笑えます。
◆◆◆◆◆◆
クロード様に任された妹姫のアーネ様は、とても落ち着いた子供だった。
わずか六歳の子供が、住み慣れた城を離れ、たった一人の家族である兄とも離れ離れにさせられるなんて酷い話しだ。平気そうに見えて、きっと陰では泣いたりしているに違いない。
俺はフローベリアに唯一ある雑貨屋で、女の子が好きそうなぬいぐるみを注文した。ふわふわのぬいぐるみをいかつい男が注文するのは正直こっぱずかしい。だが、これで小さい姫さんの寂しさも少しは紛れるだろう。
しかし、俺の予想は大いに外れることとなる。
「ゼフたいちょー、ありがとうございます」
「コイツがいれば寂しくないだろう」
「?」
アーネ様がふわふわのテディベアを抱いて、こてんと首を傾げる。「あれ」と思った時、耳を疑うような言葉が聞こえてきた。
「さみしくないですよ。私はここで生きていくのです」
「…………ん?」
待て待て待て、六歳児が何を言っているんだっ!? というか本当に六歳か?
「だから私のことはぶかだと思ってください」
テディベアを抱きしめてニコニコと笑う姿は、まさしく子供らしくとても可愛いらしい。しかし、言っている事が大分おかしい。
あれから十一年。あの小さなお姫様は、辺境警備隊の中でも屈指の隊員へと成長を遂げた。それこそリアル熊を余裕で仕留めるくらいに。
クロード様、すみません……育て方を間違えました……。
竜と私の生きる道 すず @suzu0508
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます