境界の向こう側にあるもの

確かにハッピーエンドではあるんだけど、それだけでは終わらせない深みを感じる作品でした。
閉じられた作り物の世界の中で、ずっと二人きりで過ごしていく。それは確かに百合と呼べるほどの強い愛なのだけれど、だからこそ強烈な呪いにもなり得るというか。
主人公の執着とか独占欲みたいなものも垣間見えますが、それを全て受け入れて私たちが納得してるならそれでいいじゃんと言い切ってみせる明佳の方にこそ、何か魔性の香りを感じました。
設定的には主人公の方が圧倒的に立場は強いのに、メンタル面では相手に頼り切っていたりと、そういう独特のパワーバランスも刺さりましたね。
雰囲気とか語り口自体は明るいのであまりそんな気がしないというだけで、めちゃくちゃ重い共依存にも近い関係性であり、だからこそ二人だけの世界で笑っている彼女たちがとても美しかったです。