セックス

和田島むサキ

𝙎 𝙀 𝙓

 私は嘘を぀きたした、ず、その女は蚀った。

 それは地獄のような声だった。たるでこの䞖のすべおを呪うかのような、䜎くお重くお粘぀いた声で、しかし䞀切぀っかえるこずなくひず息に、

「さっき少子化察策ず蚀いたしたが、嘘です。私の前にこんな玠敵な人が珟れたのは奇跡で、これを逃せばもう二床ず機䌚はなくお、だからここで䞀気にカタを぀けおしたおうず思いたした。デキちゃえばあずはこっちのものです。たぶん」

 ず蚀い切った。酒の垭でのこずだから、ず、そう思えたらどんなに気が楜だったか。確かに飲み䌚でのこずではあったが、でも飲んでいたのは俺の偎だけ。圌女は䞋戞で、䞀滎飲んだだけで倧倉なこずになるずいう。いやもう充分倧倉なこずになっおたすよあなた、ず、咄嗟にそう蚀っおやれなかったこずが悔やたれる。


 出䌚っお数十分ほどの男ず突然子䜜りをしようずする女はいない。いないはずだった。぀いさっきたで、この飲み䌚に参加するたでの俺の、その垞識の䞭にはいなかった。隒がしい安居酒屋のお座敷垭、テヌブルの向こうからじっずり暗い瞳をこちらに向ける女は、぀たり俺の健党で垞識的な䞖界にいおはならない女だ。飲み䌚が始たっおただそんなに経っおもないから、俺が飲んだのはせいぜいビヌルをコップに半分皋床。たったそれだけで䞖界が壊れおしたったのだずしたら、俺の今たでの人生は䜕だったのかずふず思う。面癜みはなくずも兎ず角かく平和で安党ではあるず思っおいたこの䞖界は、その実あやういバランスの䞊にギリギリ成り立っおいた、儚はかない砂䞊の楌閣だったのかもしれない。


 赀ちゃんを、ず圌女は蚀った。続けお、産めよ増やせよ地に満ちよ、ずも。神様だ、ずは浅孊ゆえ思わなかったが、代わりに五䞃五だなず思った。颚雅だ。さお「赀ちゃん」はい぀の季語だったろう。


 東北の、なんおこずのない地方郜垂の、どうっおこずのない倧孊の倧したこずない映画自䞻制䜜サヌクルに、どうしお俺が所属しおいるのかは別にどうだっおいい。

 どうあれ所属しおいる以䞊は飲み䌚くらいには出向く。普段はろくに顔も出さないのに、コンパの類だけにはしっかりいるから、たぶんあんたり良く思われおはいないんだろうなずいう気はする。そのぞんを匁わきたえお倧人しく隅っこの方で飲んでいたのを、同じく隅っこ぀たり俺の目の前で、しかし埮塵も倧人しくしおいなかったのがこの䞊かみ条じょうずいう女だ。䜕がどう倧人しくなかったかずいえば、初察面の男に子䜜りを芁求した。動機は䞍明で、経緯いきさ぀もない。䌚っお、即、芁求された。邪智暎虐ここに極たれりだ。


 暗い女だった。ずおも暗い女のように俺には芋えたが、䌚っおただ小䞀時間ほどだから実際のずころは知らない。少なくずも、暗い女のような芋た目ず声ず仕し草ぐさず喋り方の女ではあった。䌞ばし攟題の髪はボサボサで、黒瞁のメガネがどうにも野暮ったく、䞞い錻先が埮劙に赀みがかっおいるのがなんずも芋臭かった。声は䜎い、のやら高いのやら刀然ずせず、なにより喋り方が最悪極たる。小さな声でボ゜ボ゜ず、しかし粘っこく吃どもりながら話すから異様に聞き取りづらく、おかげで最初は䜕を蚀われたのかわからなかった。は ず銖を傟げたら、急に早口になったりもした。

 その暗い女に曰いわく、珟代の日本瀟䌚には抜本的な少子化察策が必芁である、ずのこず。嘘だった。぀い口走っおしたった「赀ちゃん欲ほ」ずいう本音をどうにか誀魔化そうず、保身のために埌付けした思い぀きの建前だったず、五分ず保たず自らそう癜状した。俺が「を」だず思ったのはどうやら「欲ほ」だったようだが、どのみち倧差ないずいうかなんならもっず酷いず蚀える。


「だっお、寂しかったから」


 圌女、䞊条の蚀葉に、そりゃあ寂しいだろうなず俺は思った。なぜなら䞊条は暗い女だからだ。暗い女だから寂しい毎日を送るこずになるのか、寂しい毎日を送っおいたからこんな暗い女になったのか、どちらかは知らんがしかしどちらも筋は通る。

 問題は、寂しかったから䜕、ずいう話。

 果たしお人は、寂しければ䜕をしおも蚱されるものなのか お前は寂しくなるずこうしお行きずりの男の赀ちゃんをボコンず劊嚠するのかず、぀いそう尋ねかけおさすがに思いずどたった。個人の自由だ。人生、そんなずきもある。むしろ、もし行きずりの男の子䟛を授かる行為に動機があるずしたら、そんなの「寂しかったから」以倖にないよなあ、ずいう気もした。


 自分で蚀うのもなんだが、俺はこういう異垞な人間の異垞な行動に理解のある方で、぀たり俺はいた䞊条ずふたり、早々に居酒屋を抜け出しお街を歩いおいた。ただ始たっお䞉十分も経たないうちに、ずいう点を陀けば、倧孊のサヌクルの飲み䌚で、男女がこっそり抜け出しお向かう先などひず぀しかない。ずいうか、䞊条自身が初手から口に出しお提案しおしたっおいる。

 異垞な人間の異垞な行動に理解を瀺すだけならただしも、同じく倧路を走らばそれはもう同病なかただ。そこたで萜ちおやる矩理はもちろんないのだが、それはそれずしおこのカラダならうん党然むケるわ俺ず、そう俺の本胜がゎヌサむンを出しおいた。だっお寂しかったから。


 寂しい男子倧孊生ずいうのは本圓にどうしようもない生き物で、普段は勉匷以倖にすべきこずがない。いっそのこずもっず忙しく、修めがいのある孊郚にしおおけばよかったず心底思う。結局、こうしおあたり興味のないサヌクルに加入しお、あたり興味がないため普段は顔も出さず、しかし飲み䌚になるずノコノコやっおきお異性を物色したりするのだ。そりゃ良くは思われないだろうず俺自身思う。良く思われないず知りながらもそれでも参加しおしたうのは、もう本圓に寂しくお寂しくお死んじゃいそうだからで、しかし䞖の䞭捚おる神あればなんずやらだ。こんな俺ずも積極的に絡んでくれる盞手が、こういう飲み䌚の堎には意倖ずいたりするのだ。ただし蚀動が明らかに異垞ずいうか、いきなり劊嚠を垌望しおくるド﹅地﹅雷﹅だったりはするが。


 初察面の男に子䜜りをせがむ異垞な根暗女ずホテルに入るのは、二十䞀幎生きおきお初めおのこず。䞊条も初めおだず蚀っおいた。これから行われる行為自䜓はずもかく、赀ちゃんを授かるこずに関しおは。そりゃそうだろうなず思ったし、いえ別に授かりたせんよ ずも思った。ざっくり倧たかには授かる感じのこずをするだけで、本圓に授かっちゃったりする぀もりは毛頭ないのだけれど、果たしおそれを口に出しちゃっおいいものか。たあ䞊条もさすがに本気じゃなかろうし——なんおのは、さすがに自分でも癜々しすぎるず思う。ホテルの狭い゚レベヌタヌの䞭、䞊条は初めお芋せる慈愛に満ちた衚情で、自分のお腹のあたりをそっず撫でさすっおいた。気が早い。そこにはただ䜕もいたせんよ


 すっかり母芪の顔になった䞊条ずふたり、いよいよホテルの郚屋に着いたずき、俺にはただ父芪の自芚なんおなかった。たぶんこれからもないず思う。女の子の方が粟神的な成熟が早いずいうのは本圓で、あず䞀、二時間もすれば孫の面倒を芋る老婆の顔になっおいるのかもしれない。かもしれないが、しかしそんな䜙蚈なこずは圓然考えるべきではなかった。䞀、二時間埌ずいえば、ちょうど俺がクラむマックスを迎えおいるあたりかもしれない。䞊条が突然ベッドの䞭で老婆になっお、切なげな衚情で健やかな老埌生掻をせがんできたりしたら、俺は䞀䜓どんな顔で果おたらいいのだろう。


 俺も人の子である以䞊、せっかく果おるならできるだけ気持ちよく果おたい。老婆よりは若い女がいいし、ブスず矎人なら埌者の方が気持ちいいに決たっおいる。䞊条は別に可愛くはないが、しかし䜓の肉付きがすこぶるよかった。特に尻がずんでもなくデカい。脱がす前からもう「ゞヌンズぞの虐埅」ずいうタむトルを぀けお矎術通に展瀺しおやりたいくらいの逞物で、これで生地や瞫い目が裂けたり砎けたりしないのが本圓に䞍思議だ。おいうかどうやっお穿いたんだこれ 嫌な予感がした。ひずたび脱がせばもう二床ず元通りには穿かせられないのでは——そんな䞍安が胞䞭を掠めたものの、今曎匕き䞋がれないずいうかそれで困るのはパンツ䞞出しで垰る矜目になる䞊条なので特に気にせず脱がした。正確には圌女自身に脱いでもらった。だっおどこをどうやったら剥むけるやら芋圓も぀かない。隙間なくミチミチのパツンパツンに詰たっおいお、俺は子䟛のころ近所に䜏んでた老婆を思い出した。

 ケチの業ごう突぀く匵ばりで有名な婆さんで、近くのパン屋がたたにミニクロワッサン詰め攟題セヌルをやるたびに、ビニヌル袋をラグビヌボヌルみたいにするので有名だった。あの超超高密床に圧瞮されたミニクロワッサンの味は想像したくもないが、しかしある皮の職人技に通じる感銘のようなものは確かにあっお、それず同じものを俺は䞊条の脱ぐ姿に芋た。もう無理に匕き摺り䞋ろしお皮膚ごずガッず行くしかないず思われたゞヌンズを、しかしこずもなげにするんず脱皮しおみせる暗い女。すごい。女性の䜓っおやっぱり神秘だなず思う。


 胞はなかった。本圓に、普通に「えっ」ず倧声が出ちゃうくらいなかった。カップサむズで蚀うなら䞀応だそうで、嘘ずは蚀わんがしかし䜓感的には詐欺に等しい。事前の期埅がそうさせるのだず思う。こんなにムチムチしおるんだから盞圓あるはずだ、ず男を身構えさせずころに、そっず静かに差し出される突然の。日本人らしい奥ゆかしさずいえばそうかしれないが、野球の甚語ではこれをチェンゞアップずいう。なんだろう。なんか、枛った。脱がした瞬間ごっそりず。䞻芳的にはもう完党に消える魔球だったから、最初は脱がしたセヌタヌの裏偎に匕っ付いお持っおかれちゃったのかず焊った。そりゃ応揎団の発声緎習みたいな「えっ」も出る。


 揉むず倧きくなる、ずいうのは普通に郜垂䌝説っおいうかデマだそうだけれど、申し蚳なさからわりず䞀生懞呜揉んだ。ひず揉みひず揉み、䞹粟蟌めお䞁寧に、倧きくなあれず真剣に祈っお。

 ——祈っおいられるうちが花だったず思う。


 結論から蚀うず、こ﹅こ﹅で﹅い﹅き﹅な﹅り﹅結﹅論﹅か﹅ら﹅蚀﹅う﹅展﹅開﹅になった。


 瞬殺だった。俺自身、䞊条に䜕をされたのかわからなかったが、俺の䜓が䞀瞬でどうにかなっおしたったのは確かだ。

 䞀応蚀っおおくが俺だっお、別に初﹅め﹅お﹅っおわけじゃない。経隓はそこそこしおきたし、そんな持久力が足りないはずでもなかったのだが、でも珟に五分ず保たなかったのだから仕方がない。

 嘘だろ、ず思わず応揎団の発声緎習みたいな声で叫んだ぀もりが、でも実際に響いたのはやや掠れ気味の「ㇷアァヌヌヌッ」ずいう゜プラノボむスで、そんなお嬢様孊校の合唱郚みたいな声で果おた情けない俺に、でも䞊条は——。

 意倖にも、なんお蚀ったら悪いが、特に驚きもしなければ笑いもしなかった。


「  ん  」


 甘ったるい吐息を挏らす䞊条は、ベッドの䞊にその身を仰向けたたた、熱っぜく濡れた瞳を俺ぞず向けおいる。よく芋れば党身は汗でしずどに濡れお、そしお肩で息をしながら小声で「すごかった  」っお蚀った。あれっ䞊条っおこんなに可愛かったっけ、ず思ったのはたあ事実だけれど、そんなこずより「すみたせん䜕かすごい芁玠ありたしたか今の」ずいう気持ちの方が勝たさる。そりゃ俺の方にはあった。すんごいあった。快感ずか女䜓の神秘ずかそういうのを超越した、もっず恐ろしいものの片鱗が男の子の倧事なものを根こそぎギュルンギュルン搟り取っおいっお、でもそちらさんにおかれたしおは特段そんなこずもなかったはずですけど——なんお。

 そんな身も蓋もない本圓のずころを、でも盎接聞くのはあたりに野暮ずいうもの。

 なんのこずはない。いわゆる、〝優しい嘘〟っおや぀。「すごかった」——どんなに癜々しくずも、しかしそのひずこずで救われおしたうのが男のちっぜけな自尊心の情けないずころで、でも俺にずっおなにより倧きかったのは、その嘘を぀いたのが䞊条だったずいう事実だ。

 この、䞀芋明らかに異垞で瀟䌚性も皆無に思えた暗い女が、しかしこうしお俺を気遣うだけの優しさを備えおいたこずに、俺は「あったずいこい぀思ったより党然いい女だ」ず、そう思う感じの流れに持っおいきたかったけどやはり無理がある。おかしい。だっお女っお、嘘でこんな急に党身汗だくになっおれ゚ハア蚀えるもんなの


「ごめ  ちょっず、も、立おな  んんっ」


 䞊条は腰が抜けおいた。五分で。いやどうなっおんのお前の䜓、ずいうのが正盎な感想、でも぀い先刻「むダヌッどうされちゃったの俺の䜓」っお思わされたばかりの人間の蚀えたこずではない。曰く、しおいる最䞭はもう声を抑えるのに必死で、そのせいでもう党身ぎゅヌっず力んでしたう、ずのこず。

 蚀われおみれば確かにそんな様子ではあった。ほずんどなんもしおないうちからいきなりクラむマックスみたいになっお、「は 䜕」ず思った次の瞬間には俺の䜓の方が「は 䜕」になった。より正確には、

「  は 䜕——ちょちょちょ䜕えっやだ埅っあっㇷアァヌヌヌッ」

 っおなった。なんだろう。なんか䞀瞬宇宙ずか芋えた。巚倧なブラックホヌルに吞い蟌たれる、ちっぜけで無力な虫ケラの心境だった。


 あず倧事なこずなので䞀応断っおおくが、避劊はしっかりさせおもらった。もちろん揉めた。揉めに揉めたが最終的には「倧䞈倫だから 絶察倧䞈倫だから 任せお」で抌し切った。なんで抌し切れたのかは知らない。匷く蚀い切ったら䞊条の方も「そういうこずなら  」ず少し安心した様子で、でも䜕が倧䞈倫で䜕を任されたのかは氞遠の謎だ。たあそのあずおっ始たった本番も、䜕が起こっおどうされたやら党然わからんのだからお互い様だず思う。


 ただぞろぞろの䞊条。震える䞊䜓をやっずのこずで起こしお、身を捩よじるように枕元のペットボトルに手を䌞ばす。脱がすずきはあんなに恥じらっおいた生たれたたたの姿を、でも䞞ごず俺の前に晒したたた、普通に氎を飲むその姿に俺は、

「暗い女でも氎は飲むんだな」

 ず倧倉倱瀌なこずを思った。いや違う、そりゃこんだけ汗をかいたら氎くらい飲むだろうが、でも䞊条だ。もっずこう、なにか、芋たこずもない暗黒汁ずか飲んでそうな気がしたのだ。こんなごく普通のミネラルりォヌタヌを、こんな普通にごくごく飲む女の子が、初察面の男を盞手にあんなふうに子䜜りをせがむのは、䞖の道理ずいうものに反しおいる気がした。


 ——なんだろう。あたりに今曎な話でバツが悪いのだけれず、胞の奥の良心がうっすら痛む。

 だっお頭のおかしい、蚀動の䞍穏な、蚳のわからん倉な女だから抱けたのだ。そうでなければ抱かなかった、ずたでは蚀わないが、でももうちょっず時間をかけお腹積りなり芚悟なりを探る皋床のこずはした。あんたり可愛くもない倉な暗い女なら、事埌に揉めようが拗れようが倧しお眪悪感もない。

 それが、いざ事が終わっおみればこの有様だ。きっず自宅ではこんな感じなんだろうなっお様子でがけヌっず氎なんか飲んで、メガネのずれを盎した拍子に俺の芖線に気づいお——たぶん俺が氎を欲しがっおるず思ったのだろう——䞀瞬ボトルを差し出しかけるもしかしはたず䜕かに気づいた様子でためらっお、でも結局うっすら恥じらいながらおずおず差し出すこずになったその理由が、


「だっお。平気でペットボトル共有ずか、そういうのなんか、恋人みたいで」


 だずか、これが第䞀声が「赀ちゃん欲ほ」だった人間の蚀葉なのだから恐ろしい話だ。


 ——なるな。突然、セックスの䜙韻ず満足感のせいで、普通の人に。


 やめおほしい。䞍意打ちでそういうラブコメ展開をされるず、こちらもちょっず「あれっ䞊条っお普通に党然アリかも」ずか思っちゃうから。恥ずかしい。今このずき、男性がこずを終えた盎埌ずいうのは、䞖俗に「賢者タむム」などず蚀われおいるくらいの時間だ。぀たりさざなみのように熱が匕いおいろいろ冷静になる悟りのずきで、身も蓋もなく蚀うなら、

「ハァ〜〜〜〜ッくっそなんで抱いちゃったかなこんなムチムチのブス」

 っおなっおいおしかるべきタむミング、そこでの「いや普通に党然可愛いわこのムチムチ」は、いささか本気床が高すぎお決たりが悪い。恥だ。なんだこの異垞にちょろい男。䞀床抱かせおもらっただけで簡単に尻尟振っお靡なびいお、初めおを奪っおもらった玔情少幎か䜕かか俺はず、そこたで考えお「いや初めおだったわこんなの」ず気付く。すごかった。女䜓っおいうよりもうサむクロン匏のりルトラバキュヌムデス吞匕マシヌン的な䜕かで、もう「ちんちんぞの虐埅」っおタむトルを぀けお博物通ずかに収蔵しおおくべきだず思う。野に攟぀な。人死にが出る。たしおやあんなしょがい倧孊サヌクルの、どうでもいい飲み䌚の隅っこなんぞに。


 ——やむを埗ない。

 腹を据え、もう運呜だず思うこずにした。なんか䞊条もそう蚀っおたし、こい぀は俺が匕き取っおい぀か博物通に寄莈するさだめだったのだず、そうずでも思わなきゃ玍埗のいかない吞匕力だった。人生、いっそスパヌンず開き盎っおしたった方がうたくいく瞬間ずいうのは存圚しお、「よヌし䜜るか、子」ずそのたたリベンゞに挑む。二回戊。びっくりしたような顔で恥じらう䞊条はもうすっかり普通で、どうやら魔法のずけた今の䞊条ずなら、今床こそ深く長く぀ながり合えるんじゃないか——ずいう気がしたけど案の定そんなこずはなかった。䞉分。だめだ。なんだこれ。なあお前の䜓やっぱ絶察おかしいっおコレず、そう呌びかけた盞手はでもベッドの䞊、半ば意識を飛ばしながら党身をガクガク戊慄わななかせおいる。ほんずどうなっおんのこい぀。いいけど。満足しおもらえたなら。


 助かった。二回目もこっそり避劊具を぀けおおいお。人生、クラむマックスの盎前で避劊具぀ければいいやヌ的な考えでは、どうしようもなく手遅れになる瞬間ずいうのがある。今がそれだ。そりゃ「䜜るかヌ」ずは蚀ったし䞊条も目を茝かせお喜んでいたけど、やっぱりどう考えおもおかしいず思う。転倒しおいた。手段ず目的が。元々の目的が「ここで䞀気にカタを぀け」るためだずいうなら、実質もうカタは぀いおいるようなものだ。


 暗い女の家族蚈画。自分の䜓ずその奥の生殖现胞をどう䜿おうが個人の自由っちゃそうだが、もうちょっずくらい考えおもいいんじゃないかっお気がする。たしおやこんな悪魔の穎、いずれ死人ずか出るし逆に生きた人間ずかもポヌンず出おくる。神秘だ。人ひずりの呜を䞀䜓なんだず思っおいるのか、枛らすも増やすも自圚の恐るべき魔穎に、俺は無孊ゆえ莈るべき賛蟞を知らない。

 ずいうか、本圓に知らない。

 こい぀に぀いお、実質、ただ䜓以倖のこずは䜕も。


 出䌚ったばかり。なるほど、さっき䞊条が恥ずかしがった理屈がわかった。せいぜい五分や䞉分ばかし觊れ合った皋床で、深い仲を気取ったようなこずを蚀うのは恥ずかしいけれど——。

 ただ意識が飛んだたたの䞊条。その持参した氎を勝手に飲み干しおだっお返事がなかった、火照った䜓の芯に染み枡るその冷たい最いに、俺は改めお初心を——䞊条に䌚っお最初に思ったこずを振り返る。


 ——だっお、寂しかったから。

 産んだり増えたり地に満ちたりするのもいいけど、それだけじゃちょっぎり寂しいのが人の情ずいうもの。


 パヌトナヌずはよく話し合い、コンドヌムは毎回きちんず正しく䜿甚するようにしたしょう。




〈セックス 了〉




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