喉の奥に何かが詰まったような気持ち悪さがある作品ですが、内容はしっかりと作られており、特に主人公の葉月がなんだかんだと言っても行動力があって、動きも的確なのでどんどん読んでしまう。飲みやすい毒と表現されるような小説ですね!
逆に葉月や警官たちがしっかりと意図をもって動くことがなければこの作品はエンタメの範囲を逸脱するほど気持ち悪くなってしまうんじゃないかという怖いものみたさに期待させるような味もある。
次々と顕になる人の闇。終わったかと思えば、また次の闇が現れる。安心と絶望のバランスがうまく緊張と緩和を生み出していてとても感情を揺さぶられました!
ジャンルでいうと、サスペンスやイヤミスとも言えるけれど、一番似合うのはそれこそ「奇妙な味」という異端なジャンルになるのかなと。
かなり難易度が高いジャンルだと思いますけれども、それをうまく描かれていて引き込まれました。作者様の表現力や、構成力も恐ろしい。
謎自体も普通に考えてはまず解けないし、メタ的に考えると読者自らミスリードして謎からどんどん遠ざかる。
最後の終わり方も最高で最悪
次回作も期待しています!