絶滅種を救い出せ！　〜ぼくらの異世界冒険記〜

勉強も運動も苦手で友達もいない、いじめられっ子の遥斗（はると）。
でも彼は心優しい少年で、動物が大好き。

そんな遥斗が異世界に転移すると「テイマー」の能力を得る。
「テイマー」の能力を生かして絶滅危惧種を救っていく――だけでは終わらない！

救われた動物・生き物・種族たちは人化した姿で現代日本に現れ、遥斗の生活をいろどっていきます。
孤独だった少年が、持ち前の優しさで友人や家族、仲間を増やしていく物語。

ちゃんと主人公の一番欲しいもの（＝友達）が増えていくのが嬉しいです！
異世界転移して最強スキルを得て無双するより、本当は現実の学校で友達が欲しいんじゃないか？　という心の声を代弁したかの…続きを読む

本作が応募されている「カドカワ読書タイム短編児童小説コンテスト」の応募要項には、『求めているのは、「長編児童向けノベルの種」になる短編小説！』とあり、私自身これを読んだ際に「種ってなんだろう？」としばらく悩んだのですが、この作品を閲覧した際に「なるほど」と思いました。

想定読者は10～15歳で、それなりに「自分の好み」を主張する年齢です。
親が「教育上、良い」として与える作品には、反発を覚える時期とも言えます。

そう考えると、本作はもし書籍化した際の表紙を想定するに可愛いケモ耳女子や美人なエルフお姉さんと主人公の愛らしいイラストになると思いますので、子供が「自ら選んで」読む可能性が高いで…続きを読む

楽しく読める異世界転移ファンタジー！
クスッと笑ったりしながら、知らず知らずのうちに環境や戦争についても考えるきっかけになるストーリー。

強いものに勝手に怯え、自身と違うものを迫害し、人の欲は果てしなく資源を求めて戦争を起こす。そのことを物語を通じて子供たちが知ってくれたら……と子を持つひとりの母として思いました。そして、それについて自分なりに考えてくれたら……と。

短編とは思えないほど、たくさんのことを子供たちが学べ、想像力を養っていく力になる物語。

続きや長編となったお話をとても読んでみたいです。

本編は二章からですが、十分に楽しめる作品です。
内容も分かりやすい上、魅力的なキャラクターたちに引き込まれます。

絶滅種というタイトル通り、この作品は様々な動物が出てきます。
すでにヒロインがもふもふ。
性格も可愛らしく。
主人公とのやり取りもほのぼのしていて、それだけで癒されます。

もふもふ好きさんも、それ以外の方にも是非、読んでもらいたい作品です。

まず読み終えて一番最初に思ったのは「あれ？　続きはないの？」でした。これだけで大成功だと思います。

某巨匠漫画家さまのアニメリメイクが決定したり、考古学者が大冒険する映画シリーズの新作が発表されたりと、最近、また『古代の謎』系が流行りだしています。

流行廃りとは関係なく、これらの要素は常に子供達をワクワクさせるのです。

そして、しっかりと異世界とゲームの要素も組み込んであります。

子供達にとって、親しみを持ち馴染みやすい世界観との融合を無理なく見せる力量は流石、矢口さんといった感じです。

私も、冒険に出たくなりました。

チート能力・ケモミミ美少女・異世界転移・タイムスリップ・エルフに魔法！！！
みんな大好き☆王道要素が詰め込まれた本作。

けれども人間や世界の本質、そして絶滅種についても、物語にふわりと取り込んで、知らず考えさせられる内容になっています。

けれど基本は、軽妙で明るく楽しい語り口と展開。
ラブコメ要素のある娯楽作として楽しみながら、さくさくと読み進めることができます！

ただのお子様ランチで終わらない、苦かったり酸っぱかったりも描かれたこのお話を是非ご一読ください。

短編児童小説文学賞は、朝の読書用のものだと思っています。
児童書はきっと売れすじのはず！！
したがって、「絶滅種」とか「SDGs」とか、
学校で教えているキーワードが入っているこの話、うまいなあって思いました。

わたしはね、ミコが好き！
かわいい！　かわいすぎる！　しかもモフモフ！！
続きが読みたいな、と思えるお話でした。