最終話 そして、世界に新しい伝説が生まれた
そのトイレは一見すると、学校のトイレそのままだった。
手渡されたハンドルを取り付け、蓋を開ける。
重ねられた紙をよければ、そこには見覚えのある形の金色に輝くウンコが……
俺はゴクリとツバを飲み込むと、クイッとハンドルを回した。
しかし水は出てもウンコが居座って流れない。むしろ溢れそう。ヤバい! ヤバい!
俺はとっさにラバーカップを便器につっこんだ。そしてグッグッと押し込んだ。
「流れろ、流れてくれ……」
何度もそれを繰り返す。
「みんなを、助けたいんだ。流れてくれ、ウンコぉぉぉぉぉぉ」
願いを込めてラバーカップを引っこ抜く。
「流れろぉぉぉぉぉぉ!!」
すると
ずごぉぉぉっ
「流れた! ウンコが流れた!!」
ラバーカップを掲げた瞬間、シャワーのように水が降り注ぎ、そして俺も流された。
7ディエ後――街の復興が始まり、あちこちで賑やかな音がする。
「水回りの神の都ヒュドールを救いし、ウンコの勇者ユーダイとその仲間たちよ! 世界の水回りは守られた。諸君らの活躍を後世に残し、この都を救った伝説の勇者として、諸君らの黄金の像を、我が神殿に飾ろう!」
式典でリリーのお父さんはそう高らかに宣言する。集まった人たちの盛大な拍手が湧き上がり、俺は気恥ずかしさで真っ赤になった。
「感謝してんのよ。ユーダイが私たちの唇とお尻を守ったのよぉ」
レディオさんがバシンとウィンクを飛ばしてきた。
「マサラさん、あの激辛カレー食べても平気だったのが信じられない」
女神様らしく着飾ったリリィが、仁王立ちで胸を反らせるマサラさんを見上げる。マサラさん、実は間に合わなくて一口食べたそうだけど、「クッ……うまい!」って言ったそうだ。怖いよコノ人。
「私は無敵だ! アノ程度で私を殺せはしない!!」
マサラさんの高笑いに、リリーは「ハイハイ」と答えると、俺の腕をぎゅっと掴んだ。
「ねぇ、本当に帰っちゃうの?」
「うん。俺の親も心配してるだろうしさ、やっぱり帰らないと。それに……」
いつもより綺麗なリリーに見つめられて、俺の心臓がドクンと跳ねた。めっちゃ可愛い……そしていい匂い。
「……それに?」
「ウ、ウンコ鑑定スキルなんてさ、神様のスキルを、小学生の俺がもっているのもその……オソレオオイっていうの?」
言えない。ウンコスキルが辛いなんて言えない……でも……
「みんなと冒険できて楽しかった! 今日は帰るけど、また会える……よね?」
俺はポリポリと片手で後頭部を掻きながら、チラリとリリーを見た。
「私が15歳になったら、鏡の転移魔法が使えるようになるの。そうしたら、迎えに行ってあげる」
「今度はもっといろんな所見たいな。その時はまた、一緒に冒険できる?」
リリーがふわりと笑った。
「ユーダイが望めば!」
あぁ女神様の笑顔、可愛くて最高だ!!
おわり
俺の名前はユーダイ! UNKの力で世界を救え! みつなはるね @sadaakira
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