バレンタインの出来事 その②

注意 

 よく分かんない時系列の話です。きっとこんな未来もあったことでしょう。取り敢えず、本編にいるはずの名前付きネームドの人だけ書くのでそこのところよろしく頼む。それではどうぞ。






























◆Side 【激写】本命チョコの現場

◆Side これは修羅場と言う奴では?



 貴女は彼のために手作りチョコを作った。もちろんユニコーンの形の。彼はきっと甘いチョコよりか苦めの方が好きに違いないとそう思っていた。そしてできたこのチョコを渡そうとして、いつもの溜まり場に入ろうとしていた所だった。


よーし、後はこれを渡せば今日の予定は全部完了ーっと。さーて、いきますか。


ガチャ。


どーもこんにちはー。


 丁度彼女が扉を開けた先では、この家の主である蒼月と彼女の如月が居た。どうやら丁度チョコを渡している場面のようだ。



鏡、話があるんだけど、今時間大丈夫かしら。


ああ、丁度書類も終わったし大丈夫だよ。で、話って何かな?


 何時もなら堂々としていて頼もしく見える彼女の背中も、今日だけは乙女の姿をしていた。たしか、彼女はあまり料理をすることがなかった、ないはず。だって、生粋のお嬢様だから。この家の料理担当はあの3人組のローテなんだよね。


あのさ、今日ってバレンタインでしょ。だから、私も頑張って作ってみたの。だからこれ、受け取って!


 そうして手渡されたのは可愛らしいラッピングの施された小さな箱。


凛が作ったのこれ?こんなに包装も丁寧に、ありがとね。今開けてもみてもいい?


...うんいいよ。


 そうして彼は包装を丁寧に開き箱を開けた。そこにはいってたのは6つのまるで宝石のような色とりどりのチョコであった。


 1つはルビーのような深紅の艶めきをもつハートの形のチョコ。

 1つは瑠璃色で星の形をし、1つは三日月の形が2つ繋がっている藤色と苗色の輝きを見せるチョコ。

 1つはの若草色の目をもつ猫で、1つはチョコ本来の色の三角で、1つはホワイトチョコが雫型になっているものであった。


 鏡は思わず息をのんだ。彼の想像の上をゆく完成度のチョコであった。


いつの間にこんなものを。頑張ったね。


...うん。頑張った。


食べていい?


...うん。感想聞かせて。


うん、いい感じにテンパリング出来てるみたいだね。美味しいよ。



 彼の素直な感想と爽やかスマイルにやられている彼女。そこに畳み掛けるように彼は話しかける。



お返し何がいいかい?今言ってくれたら何でも用意するよ。


何でもって言ったわよね。


ああ、言ったとも。2段でも3段でも、お嬢様が望むがままに御用意させていただこうかと。


そう、じゃあ、はいこれ。印付けといたから、全部。


ふむ、りょーかい。楽しみに待ってて。存分に腕を振るわせて貰うよ。



 そんな会話があった所で冒頭の場面に戻る。



あ、どうもー(汗)凛ちゃんもおひさー。あ、これ、バレンタインの友チョコですー。どぞどぞ。



 凛には赤いリボンのついた黒い箱を鏡には青いリボンが巻かれている黒い箱を手渡した。



色々と今年は大変だったのでそのお礼ですー。あの、ところで、紫月君って今何処にいらっしゃいますかー?


権ちゃんもありがとね。はい。チョコ交換。


あ、わざわざどうもありがとね。そうだ、権三もホワイトデーのお返し何がいいとかある?


え、そうですね、可愛い感じのものでお願いします。


了解。彼はいつもの場所にいるから行ってくるといい。


あ、はい。ありがとうございます。それではごゆっくりー。



 そう彼女は言い残し、彼が居るはずの部屋へ向かうのであった。


 そうしていつもの部屋の前にきた彼女であったが、どうやら部屋の中から聞こえてくる声の数は3つあるようで???



はーいこれ、バレンタイン。中身はなんでしょうか?あてて。


急やな。普通にチョコを持ってくる奴ではないことは確かではある。...ヒント。


ヒントはーーーー食べ物ではないよー。


ほーら、早く当ててあげなって。見せてみろよ、探偵の意地を。


いや別に俺は探偵ではないんだが、ってか今日テンション大分高いぞ2人とも。


そうかしら?


いや?別にバレンタインって乙女たるもの気合いをいれてる行事の1つなんだが?これが普通よ。てか、そっちがテンション低いだけなのでは??


まあ、あんだけあのお転婆お嬢様に付き合わされてたらこうなるって。いや、あのお方まじで覚えたら完璧になるんだけど、覚えるまでが凄まじいからな。


で、今回は何日かかったの?


...20日。


おっ、20日か...それは、お疲れ様...


まあ、20日で大分仕上がったとは思うけど。で、食べ物じゃないんだっけ。うーん、それは消費アイテム?


しょーひあいてむー。


じゃあ、香とか?


うーん、8割正解。じゃあこれ。はい。


あー、蝋燭ね。でも、これ普通のじゃないよね?


そうよー。新しい調合レシピだからねー。


そうそう、この前見つけた新しい奴なんよねー。


あ、私もこれー。


 そうして彼女は彼にタッパーを渡した。


お、伝家の宝刀タッパー先生じゃん。好きだねータッパー。


だってね、そっちの方が保存しやすいじゃんか。


えーと、中に入ってるのが...ドライフルーツですか。


チョコがけにでもしようかと思ったけど、そういうのは、別に担当がいるからね。


 そんな会話が交わされていたところに彼女は入っていく。


 扉ドーン。


私が来たわよ!待ってたかしら!


待ってない。


そろそろだと思ってたよ♪


来たわね。


もー紫月君ったらひどーい。私泣いちゃう;;


まーた女泣かせて、そんな子に育てた覚えはありませんよ。


あーあ、泣いちゃった。


はぁー、こうなると思ったから待ってないんだよ...


 まあ、そんなことはさておき、今日はバレンタイン。超絶美少女のこの私が作って来たわよ。喜んで受け取りなさい。


ども、わーちゃんとラッピングされてるー。


もちろん♪ラッピングは大事なエッセンスだからねー。


えらいわー、いい子を友達にもったわねー。


当然よね。


開けるぞ。


 彼が丁寧に包装をほどく。中には普通のユニコーンをデフォルメしたクッキーとチョコであった。


...思ったより良くできてるな。


思ったよりって何よ、私が作ったんだからこのぐらい出来て当然よ。



 自信満々にこの女そうは言ってるがこの完成度になるまで練習を重ねていたことは彼女の家族しか知らないのである。



良くないわよ詠、女の子に向かって思ったよりなんて言葉使っちゃ。


さっきから何様で語ってんだよ、塩。


えー、べっつにー何様でもないですけどー。


まあ、そこそこのできじゃない。


ええ、あんたの蝋燭よりかはいいできだと思うけど。


うわぁ、バチバチ。じゃ、私、例の奴やっとくから先いくわ。


え、っちょ。ッチ、あいつこの空気察して逃げやがったな。


ねえ、紫月君。どっちの方がよかったか教えてほしいな♪


あのさ詠、この際だからはっきり優劣つけててほしいな。...こいつの目の前で。


あ"??今、この超絶可愛い美少女に向けて"こいつ"っていったよなぁ?


言ったわよ、聞こえなかったかしらぁ?


むっっきぃーーーーーー、紫月君、だんまりしてないで教えてほしいな??????


そうよ、さっさと答えなさい。



 2人の女性に答えを出すように無言の圧力をかけられている彼だが、いくら彼の脳を回そうとも最適解を導き出すことは出来なかった。そうして、彼の出した答えはというと...


おれはどっちにもそれぞれよさがあっていいとおもうぞー(棒)


ちょっと?????????


(無言の笑顔)


 こうして彼は彼の言動の選択の間違いにより、彼の相棒が助けに来るまでこのふたりの言い争い(痴話喧嘩)を聞かされ、叱られ、なだめさせられたのであった。


その後、彼は彼の相棒に最適解を尋ねたが、彼からもあれはそうするしかなかったと諦めの言葉を貰い、彼を悩ませるのであった。

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