此方と彼方とを隔てるもの

 襖のこちら側の『わたし』とその姉、そして襖の向こうの継母のお話。

 ホラーです。約1,000文字のなかにびっちり詰まった恐怖。
 心霊とかオカルトとかではなく、壊れてしまった人のお話……なのですけれど、いわゆる「ヒトコワ」的な創作実話系のそれとはまた違う味わいの物語。
 こういう静かで硬質な恐怖感、本当に好きです。

 作中で巻き起こる出来事の異常さとその恐ろしさはもとより、それを淡々と綴る主人公の視点がとても魅力的。
 もっと言えば、登場人物全員どこかしら普通でない部分があって、そこがとてもたまりません。

 終盤の主人公の心境、「どうしてそう感じたのか」という部分をいろいろ想像するのがもう本当に楽しい。
 恐怖とその説得力に加え、なにか解釈の余地のようなものまで与えてくれる、とても贅沢なホラー掌編でした。