第4話(最終話)夢の終わり

 チチチ、と小鳥の鳴く声と、カーテン越しに差し込んでくる朝日。

 私がベッドから身を起こして、うーんと伸びをしたところに、ちょうど目覚ましアラームが鳴りました。もうそこは木の香りのする部屋ではなく、私のいつもの部屋だったのです。


(や、やっと戻ってこれたぁ……)


 長い長い夢を見ていた気がしますが、スマホを見ても、日付は一日変わっただけでした。

 見ていた夢が長かったせいか、なかなか元の世界の仕事には慣れません。


(童話の世界は肉体労働で、アレはアレで大変だけど、久々に頭を使う仕事はまた別の疲れがあるなあ……)


 さて、仕事帰り、私はいつも通っている本屋さんに立ち寄りました。私はここで、よく最新の絵本をチェックして気になった本を集めるのが趣味だったのです。

 その本屋さんに平積みされていたのは、『新訳・シンデレラ』という本でした。

 立ち読みしてみると、普通のおとぎ話のシンデレラとは話の流れが違うようです。


『――シンデレラは義理の姉の一人と仲良くなり、王子様と結婚したときはその義姉もお城に招待しました。そしてみんなで仲良くティーパーティーをして、幸せに暮らしました』


 その絵本を読んだ大人は、「最近の絵本って最後はみんな仲良く、みたいな改変多いよな」という一言で本を閉じて店を出ていきました。

 しかし、私はしばらくその絵本を繰り返し読んで、やがてそれを買って帰ったのです。


 これはきっと、私の改変してしまった物語なのでしょう。その確信がありました。その絵本の流れは夢の中での私の行動で生まれたものだったからです。

 それ以来、私の本棚には、その不思議な絵本が大切にしまわれています。


〈了〉

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義姉転生~シンデレラの義理の姉になってしまいました~ 永久保セツナ @0922

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