07 転がるふたり
欠品していた商品が
録画を確認するまでもなかったが、
スマホの修理代は誰が払うんだろう…。
残業はいつもに
さらなる人材不足に
退社の際の
自分で
「お疲れ様です。」
いつもの装置の
暗闇の中で、真っ赤な人影が現れて
俺は
そんな
》けなど
という
そうでなくてもあれから
サプライズで
無断早退と
会社が守る理由はない。
「えーっと、丸井くんのお
「
一応会社では丸井名義なので、
俺が彼女をそう呼ぶのはおかしい。
「本当に、ごめん…なさい。」
丸井
突然、
この
俺は彼女の
「あのときは、本当に、
ずっと
そして俺が地元を離れたかった理由のひとつ。
人間不信の原因。
まぁ過ぎたことだし、お互い水に流そう。
と言いたくもなる
しかし
相手は満足しないだろうし、
いまさら怒ったところで
年を取って
むかしほど
向こう見ずな馬鹿でもない。たぶん。
「
スマホを盗まれ、
キッズスマホを持たされた。
俺の
「
「…居たような気がする。
リーダー格みたいな子だっけ?」
「
「へぇ…。」
本当にいまさらな話にそっけない本音が出た。
盗んだ犯人は誰だっていいし、
失くしたものも戻ってこないし、
過ぎた時間は戻らないし、
結果は変わらない。
積もり積もった雪の上では
雪だるまは大きくなるだけだ。
「でも私が、全面的に悪いんだし、
許して欲しいっていうのも違って…。」
じゃあなんで
「
心の中を読まれた気がした。
「これって…自己満足?」
言った
「ははっ。なんだそれ。」
「いや、だって…。」
俺に怒られないどころか笑われて不思議がる。
「で、いまはバンドマンなんだっけ?」
「いや、
そういえばそんな話を聞いたが忘れていた。
「ライブのスケジュールはないんだ。」
「そりゃまあ…、こんな土地で
弟の職場のパートやってるんだし。」
あの
という気持ちもまだシコリのように存在する。
もう20年近くも前のことだ。
「嫌なことならもう忘れた。忘れたい。
俺は他人に期待しないし、信じない。」
「ごめん…なさい。」
彼女は
足を
俺は
おまけに業務時間外。
「丸井くんのお
全く信用してないってわけもない。」
身内ならば、どちらかの失敗で
もう片方の信用を落とすことにもなる。
俺には
他人を動かすことしかできない。
「一緒に会社を手伝ってくれたら、
俺も助かる。」
誰にも期待や信用はしてないが、
そんな俺でも許すくらいはできる。
ミスのない人間なんて存在しない。
しかし丸井
素の表情で首をかしげた。
「えっ? なにそれ、…プロポーズ?」
「違うわ!」
変な重力でも生み出すのだろうか。
(了)
転がる男、転がる女 下之森茂 @UTF
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