愛に生きる者達の、血生臭い、体液臭い愛の形。

主人公と彩音の愛の思い出とか、微笑ましいグループ交際の思い出とか、綺麗な思い出も、そういうのが全部汚れていくような関係性の崩壊と思春期男子の生々しい性欲もキッチリ描かれたお話だと思いました。

確かに女性向け甘々みたいな女子への接待はないけど、生々しい男の身勝手な愛の話と割り切るなら女子でもいけると思います。性別は関係なく、こういうドロドロした肉欲交じりの行動原理で動く生臭い少年少女のキャラ達が受け入れられるかが評価の分かれ目かな。最後まで続きが気になる読ませる流れだし、各々のキャラクターの気持ち悪さもある心情も個人的には面白かったです。

私から見ても「結婚までセックスは嫌!」とか言い出す彩音よりか光誠君大好きで可愛くてHさせてくれる千草ちゃんのが可愛くて魅力的な感じはしました。まあ女の子の方がリスク高いし、物語的にも彩音との恋は理想の愛みたいな感じだから、彩音がキス以上の性的なものから遠ざかろうとするのもわかるんですけど(その葛藤は後に語られるし)、反射的にそう思いました。彼女は徹頭徹尾当て馬ポジションかなとも思うんですが、それでも彼女の気持ちも汲み取るオチだったのは良かったんじゃないかなとは。

ふわ~っとぼかされてるけど、「何度も交わした行為」とかそういう描写的にも、消去法的にもやっぱ真犯人って……ですよね?まあそら男共もどうしようもない奴らとはいえ(誰が一番悪いって言ったら犯人共だとは思う)、葛藤もあったらしいとはいえ、潔癖で理想が高い彩音自身が惨劇のトリガーを引いた構成でもあるんじゃないかなぁと思うと、私が結婚までそういうのは嫌!と言った彼女の言動にちょっと癪に障るものがあったのは自然な感想だったのかもなぁ。

誤解を招く言い方かもしれませんが、生々しくてムッとする部分も含めてキャラがよく立っている作品だと思いました。全員嫌いな部分も好きな部分もある感じ(でもエッチで健気淑女な千草ちゃんは全肯定してやりたいかも)

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