第10話 ただいまギルド、行ってきますギルド
ダンジョンで短剣やスキルを使ってみて分かる……
体が痛い! 別に運動音痴って訳じゃあないが普段からの運動量が足りないせいで体に堪える!
ただ異世界の時と元の世界に居た時を比べると身体能力が良くなっているような気がする。異世界バフでもかかっているのだろうか。
ダンジョンに行った結果、運動が如何に大事なのかが分かった。
これからはダンジョン前にラジオ体操でもしておこう。
それにしてもセシル全然元気有り余っててすげぇなぁ。
なんか腕ブンブン回してるし、スキップしてるし。
無駄ごとを考えている間にバカでかコンビニに帰ってきた。
「シルーナさん戻りましたー」
「私も戻ってきた!」
「二人ともお疲れ様。初ダンジョンはどうだったかしら?」
「運動してなかったので体が痛いですが、まぁ楽しめました。スキルも無事使えましたし、最初にしては良くできたんじゃないかなと思います」
「私は短剣で初めて戦ったけどちゃんと戦えたから、今まで努力してきて良かったなーって思ったよ!」
「ふふっ、順調そうでなによりだわ。ところで魔核石の換金はしてきたの?」
「今からしに行くところです」
手元にある今から金になるイリュージョンをする魔核石をよく見ると全て違った色の混ざり方だった。
似たものでも千差万別だということを示しているのか。
もし同じ色彩の魔核石があったら四つ繋げたら消えるのかな。
「換金お願いします」
「おう、ちょっと待っとってー」
何かゆったりとしたけど渋い声だなぁ。
って怖っっっ! めっちゃ強面な人だ! 体格ごついなぁ。
「あ、今俺の事怖いと思ったでしょ。こんな見た目だからしょうがねぇとは思うけどな、俺ぁ優しいぜ? 自分で言うのもなんだがな!」
見た目はヤクザで怖いのかと思ったけど、雰囲気がほんわかしている……!
これが、ギャップ萌えというやつなのか……!
「ほい、これ換金した分な。シルーナから聞いたけど、セシルの隣のそちは異世界人なんだってな」
そち!? 二人称が、そち!?
またもギャップが……
「あ、そうですね。名前は天羽奏音って言います」
「俺はアルベールだ。アルベール・グロッソ、アルとでも呼んでくれ。多分今後もよく会うだろうからよろしくな、カノン」
「よろしくお願いします」
「敬語なんて要らないぜ? あんま気にしないで話しかけてくれるとありがてぇ」
「分かりm……分かった、アル」
「理解が早くて助かるわ、因みに何か聞きたいことはあるか? こう見えてギルド勤め長いから色々知ってんだ。元は俺もダンジョン潜ってたしなぁ」
「じゃあ一つ。さっきセシルから聞いたやつで、ダンジョンに潜ってるとスキルの発現があるって聞いたけど、本当?」
「ああ、本当だ。ただ個人差があってな。一人で沢山出てくるやつもいりゃあ、一つしか出ねぇやつもいる。俺は三つくらい出たぞ」
「なら俺も沢山発現する可能性はあるってことか」
「そうなるな。まぁ頑張れよ、応援してるからな」
そうアルベール、アルは「にっ」という音が聞こえるんじゃないかってくらいに白い歯を輝かせて笑った。
異世界ってアニメとかの影響で理不尽なこととか降ってくるイメージがあったり、チンピラに絡まれたりするのかと思ってたけど……
俺、環境に恵まれすぎてやしないかい。
異世界で、こんなに優しき、人達に、囲まれるのは、良きことだろう。
奏音、こんにちは異世界の短歌。季語ないけど、そこは気にしない。
「カノン、今からギルド寮と食堂にいこう!」
おお、どんな寮なんだろう。食堂と聞くと腹の虫が騒ぎ出しそうだ。
「分かった。それじゃあアルとシルーナさん今後ともよろしくお願いします!」
「おう! いつでも頼ってくれていいぜ。換金所に基本はいるからな」
「二人とも気を付けて、楽しんでらっしゃい」
俺とセシルはお互い新たな生活への道へ向かった、そう、アルシルの二人からの温かい言葉と共に。
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