第5話
勇者
だが黒猫 勇者伸ばした手を払う
疾き黒猫 ひらりひらりと勇者の手を交わし
高らかに笑う だが勇者は手を伸ばしつづける
勇者
二人ともに池映る朝日の中に落つ
池から上がりし二人
勇者
君
黒猫 勇者の言霊に やむを得ず
勇者
黒猫に
喜びを与えられし黒猫
方今の黒猫
勇者の前を歩き
そして 月が昇る頃
全文事実とは何も間違っていない。けれど、吟遊詩人的に大切な、幻想性を大切にし、想像力を無理やり働かせる内容だ。
でも、恋歌として受け取った彼女は一頻り悶た後、吟遊詩人の手を取る。
「最高です!! 勇者様もシーフ様もなんて、なんて、この気持ちは」
「尊いではないでしょうか」
「そう! 尊い、本当に最高の英雄譚だわ! この英雄譚、もっと広めるべきよ」
彼女はそう言うと、吟遊詩人に「明日友人たちも連れてくるから!」と去っていく。
民に楽しみを無事に与えられた。その時、かれは初めて悟った。
これが、吟遊詩人として、彼に与えられた使命なのだと。
それ以降彼は、英雄譚を作り続けた。その名も『
この深英雄譚は瞬く間に広がり、女子たちや一部の男性からも支持を集め、吟遊詩人として勇者たちに貢献していた。
個人的には、
やはり、勇者
こんなにも好きを語るだけで、皆に喜ばれる日々。最高である。しかも、最高なのはそれだけではない。
ある日、吟遊詩人はなんと、とある魔法を開花させたのだ。
キッカケは勇者たちを広めるためにもネタ集めをしていた時。吟遊詩人は、現在パーティ出ない以上新鮮なものは手に入りにくい。行き詰まった彼は心の底から願ったのだ。
「ああ、勇者総攻めのネタ増やしたい、推しカプ眺める
そう言いながら、壁に手をついた彼は、次の瞬間にはなんと壁の中に侵入していたのだ。
驚きのあまり何をすべきかと悩み、色々研究し、修行をした。
結果、今彼は勇者たちの部屋に居た。
(わああ、いいね、お姉さんたちから香油貰って何するのかなあ?)
ひひひひっと声を殺して笑う、壁のシミ。そう、吟遊詩人は今ネタ集めのため、壁のシミになり、困惑する彼らを見ていた。
勇者になだめられるシーフ。なんて最高なんだ。
(これからも見守って、英雄譚を奏でるね勇者さま)
吟遊詩人は推したちを眺めながら、なんて奏でようかと楽しげに笑った。
おわれ
勇者♂に吟遊詩人なんていらないと追放されたので、これからは趣味全開の英雄譚を奏でます〜前世はナマモノ大好き腐女子 マイブームは勇者♂総攻めで生意気シーフわからせです〜 木曜日御前 @narehatedeath888
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