喰らいやがれ、二十年。

ネタばらし（※本編読了後にお読みください）

◆バーテンダーの正体

　悪魔です。尋（ひろ）登（と）のように「過去の選択を後悔している人間」を狙い、人生のやり直しを持ちかけています。

　誘惑された人間が「別の選択を選び直す」と「選ばれなかった方の世界」は消滅し、膨大なエネルギーに変換されます。今回の場合、尋（ひろ）登（と）の「二十年」分がそれに当たります。

　そうして沢山の人間から集めたエネルギーを使い、いつしか神の力に対抗しようと目論んでいます。同様の悪魔はまだ他にも沢山存在するようですが、協力関係にあるかどうかは不明です。

　ですが、そんな悪魔たちの働きすらも「増えすぎた世界」を整理する大いなる摂理の一部でしかないのかもしれません。

◆主人公の名前

　尋（ひろ）登（と）の名前は、旧約聖書の「ロト」から着想を得ました。滅びゆく故郷を振り返った妻が塩の柱に変えられてしまったという逸話の登場人物です。

　本編に出たソルティドッグの塩は、聖書とは逆に「誘惑に応じなかった人間」の成れの果てです。悪魔としては小粋なジョークのつもりらしいです。