王女、騎士、そして呪いのドラゴン。どれも王道的な異世界ファンタジーを想起させる存在であり、それゆえにそれらを設定に組み込み、興味を引く物語として成立させることは簡単なことではないと思います。この作品はそれがしっかりできている骨太なファンタジーであると感じました。
物語では存在を否定され、何も持たなかった王女が絶望の果てに力を手に入れ、復讐へ身を投じていく過程が丁寧に描かれています。その復讐の方法は少々残酷さもありますが、王女のこれまでの悲惨さを思えば、納得の「ざまあ」になっているかと思います。
そして、この作品の一番のポイントは、すでに多くの方から評価されている物語に続いていく前日譚であることにあると思います。この作品を面白く感じたなら、その先もまだまだ楽しめる。そんなワクワクした気持ちで読み進めていくことができるはずです。