主人公が転生したレイシェルはとあるマンガの登場人物で、オッドアイに、邪眼卿というあだ名を持つという、くっそ恥ずい厨二病設定を持ってました。
誰だ、こんな設定考えたのは! なんて言ったら、それはレイシェル自身。
実はレイシェルの前世はマンガの原作者で、この世界は、彼が原作を担当したマンガの中の世界でした。
しかし彼の前世である原作者ライフは、決して幸せなものではありませんでした。
というのも、作画担当とは仲が悪く、というか向こうが勝手にこちらを嫌っていたのです。
そしてあろうことか、マンガに出てくる悪役令嬢を、彼のデビュー作のヒロインと外見そっくりにしてしまったのです。そうしたら、彼が嫌がると知っていたから。
そんな悪役令嬢、名前はアリエステと言いますが、当然、マンガの中であるこの世界にいます。そして、どんな運命のイタズラか、レイシェルと出会ってしまうのです。
自ら手塩にかけて作って大事にしていたヒロイン。望まぬ形で悪役令嬢にさせてしまった推しキャラと、直に出会ったのです。
これはもう、なんとしても幸せにするしかありませんね。
実はアリエステ、なんとこの世界ではマンガのストーリーとはちょっと違う運命を歩んでいて、王太子とは相思相愛の仲だというじゃないですか。そうなると、その恋路を何としても応援しなければ。
……しかし、ちょっと待ってください。その思考はまあ理解できるのですが、読者としては王太子と結婚して幸せになるより、君が幸せにするのはダメなのかなって思っちゃうのですよ。
しかも、思わぬところで前世からの因縁が襲ってくるのです。しかも、ものすごい形で。
推しキャラを幸せは誰もが願うことですが、原作者でありながらそれができなかったレイシェル。
生まれ変わって直接彼女と会った今なら、前世の後悔を乗り越えることができるのでしょうか。
自分が原作を担当した漫画のキャラクターに転生した主人公。
話を作っていた頃は、作画を担当していた男とは仲が悪く、関係はギスギス。その影響は漫画にも現れていて、推しキャラである悪役令嬢が最終的に処刑されることに心を痛めていたのですが。
彼が転生したのは、その悪役令嬢アリエステと結婚するはずの男、レイシェル。しかしこのまま結婚したら、漫画通りアリエステは殺されてしまう? そんなことは許さーん! せっかく転生したのだから、結末を変えてやれー!
というわけで悪役令嬢の死を回避するためにレイシェルは動くわけですが。実は本作には、もう一人の転生者が。
それは漫画の作画を担当していた、大嫌いな仕事仲間。何とそいつはあろうことか、主人公の事を気に入らないというだけの理由で彼の推しキャラであるアリエステが処刑されるよう仕向けるのです。
ふざけるなー! お前の逆恨みで、人を不幸にするんじゃねー!
レイシェル、こんな最低野郎の企みなんて潰してしまえー!
真逆の結末を目指二人の転生者。
果たしてどっちの望む結末になるのでしょう?
創作をする側の人間の中には、書いていて「キャラが勝手に動いた」と思う瞬間がある、という話をご存じでしょうか。
本作の主人公はレイシェルという名の青年なのですが、彼は前世では漫画のシナリオを作るプロでした。彼が作った漫画作品はアニメ化もするほど大人気でした。なのに、本人は作品が未完成のまま夭折。気がついたら、自分が手掛けた作品の世界に転生しています。
自分で作った物語なのだから、展開は手に取るようにわかっている。お気に入りのキャラが悪役令嬢として破滅する設定になっているので、”こちら”の世界ではなんとかハッピーエンドにしてあげよう! と奮闘するのですが――
この世界ではキャラは生きています。原作者であるレイシェルの手を離れて、物語はあらぬ方向に進んでいきます。裏でいろいろな陰謀が張り巡らされている結果でもあるのですが、ヒロインのアリエステはそんなことには負けない。そして、レイシェルも。原作にはないシナリオ、でも本編に盛りたかった設定、自分が作ったキャラへの思い入れ――クリエイターとしてのいろんな思いを抱えながらも、最後はすべて綺麗に昇華する。そんな姿に共感し、感動しました。
原作を担当した漫画の世界に転生した主人公。しかも配役は中二病もりもりの邪眼卿レイシェル・ナイトだった。自分で考えたキャラだけに「この設定、恥ずかしっ」となっているわけですが、彼には愛してやまないキャラクターがいるのです。
それが漫画世界では悪役令嬢として登場するアリエステ令嬢。
実はこの子と脚本の上では結婚する予定になっているレイシェルなのですが、その結果、破滅が待っているわけで……。
だったらそんな未来は阻止してやる。願うは推しアリエステの幸せだ!!
彼女は王太子に恋してるようなので、だったらその恋、応援します!!
張り切って援護に回るレイシェルですが、なーんか雲行きが怪しくて。
前世の因縁も絡んできてあれよあれよと渦中に巻き込まれていくのでした。
さて。今作は悪役が救いようのない極悪人っぷりです。
この子嫌な子ぉ、と思ったあざとヒロインも登場したんですが、その子が霞む極悪人ですよ。そこまでやるー、うわあ……。
でも大丈夫。見事な「ざまあ」が用意してあります。
そしてハッピーエンドも。
凛としたカッコいいアリエステとそんな彼女を推す原作者でもあるレイシェル。この二人の関係は果たしてどうなっていくのか。
ハラハラがいっぱい、脇を固めるキャラも魅力的ですし、「おっ」と驚く伏線の回収も見事でした。あの設定が……!? すごいっ。
完結済ですので、一気読みもおすすめです。
原作を担当した少女マンガ『君の恋が叶いますように』の中で、公爵家の子息でありながら、両目の色が異なる「邪眼」を持つレイシェルに転生した主人公。
レイシェルの目的は、作画担当のカイによって、『君の恋が叶いますように』で処刑された悪役令嬢・アリエステの命を救うことだった。
そのために、アリエステとかかわらないように過ごし、彼女との婚約も破談にしたのだが……。
原作と異なる行動をとったためか、裕福なはずのアリエステは困窮。しかも、彼女の想い人は王太子のカルロイだという。
推しの恋を叶えるために、アリエステに助力することを決めるレイシェル。
アリエステの処刑エンドを覆し、彼女の幸せを見届けることができるのか……!?
青嵐様の作品は、いつもとってもヒロインが素敵なのです!(*´▽`*)
今作のヒロイン、アリエステも勝ち気で気高くて、でも思いやりにあふれていて……。
レイシェルはそんな彼女の恋を叶えてあげることができるのか!?
いや、むしろ……っ!
と、時にレイシェルの背中を叩いてやりたくなりますが(笑)、代わりにレイシェルの片腕のセイモンがいい仕事をしてくれています!(≧▽≦)
原作では破滅の道を辿った悪役令嬢と邪眼卿がどんな未来をつかみ取るのか……。
ぜひぜひ、読んで確かめてくださいませ~!(*´▽`*)