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「タ…ス…ケテ」
それから各家を回って必要な物を集め、さて行こうかとした所でどこからか声が聞こえてきた。まだ誰か居たのか?
無視するわけにもいかず声の出所を追うと、そこに居たのは家の扉に立っている人形だった。
「コ…ロ…シテ」
「カ…エ…セ」
「クルシ…イ」
よく聞くとあちこちから同様の声が聞こえる。
正確な理屈は分からないけど、マルケスの支配が解かれたものの、体は人形のまま放置されてるって感じかな? とりあえず僕は肩に座っているターヴィに伺いを立てた。
「どうする?」
「一、二体ならともかく、全部で五十体ぐらいあるでしょ。面倒」
「…だ、そうです。まあ火の手が上がってるし、数日すれば誰か来るでしょ。その人に頼んでください。じゃ、そういう事で」
笑顔と手を上げて丁重にお断りをし、僕らは町の外へ歩き出す。
「変な力を宿す街って、僕らの故郷だけじゃなかったんだね。これからも行く先々で色々な街に巡り会うのかな?」
「その度に毎回危ない目に遭ってちゃ堪んないけどね」
「じゃあ、帰る?」
「ハッ! 冗談でしょ?」
「だよね~アハハ」
あちこちから聞こえてくる呻き声と燃え盛る音を背後に聞きながら、僕達は昇りかけの朝日を見て言った。
「「あ~あ、や~だ、や~だ」」
(🌾これにて一旦完結。ネタが下りてきたらまた書きます。)
紡がれた糸の先に爪を立てて レイノール斉藤 @raynord_saitou
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