「リーデル。ごめんなさい」

「なんだ? いきなり殊勝だな」

「言葉使い……」

「おっと。どうしたの? いきなり」


 このまま放置していては、マルケス自身が人形化して復活する可能性もなくはない。

 後片付けとして、燃料を部屋と倉庫に撒き、さて火を点けようとしていた所で、ターヴィが頭を下げて謝ってきた。というか、その単語知ってたのか。


「持ち主を守るのがデ・マンドールの役目なのに、あっさり捕まっちゃって」

「ああ、まぁ仕方ないよ。僕らの故郷ソムリエ以外にも特別な能力を生み出す土地が在るなんて知らなかったしね」

「でも、やっぱりデ・マンドール失格よ。契約を解除されても文句は言えないわ」


 実際の所そんなに簡単に契約解除出来ないのだが、落ち込む彼女が見れただけで充分収穫はあった。


「まぁまぁ、これからは僕も気をつけるからさ」

「……具体的にどうするの?」

「そうだなあ。これから寝る時はターヴィを抱いて寝るよ」

「…………バカ」


 火の手が上がった。

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