5-3
「なっ!? くそっ!!」
驚きつつも、先に排除すべき対象を判断できたのだろう、マルケスは斧を素早く持ち変え、ターヴィに向けて振り下ろした。その間数秒、でもそれで充分だ。
ガァン!!
斧が勢い良く地面に叩きつけられる。が、その時点で既に彼女は宙を舞っていた。
空中で全ての手指の第一関節が通常と逆に曲がり、皮一枚分を残して外れる。そうする事で指に開いた穴から、体内に仕込んである『第二の武器』が出せるようになるのだ。
そこから飛び出した十本の糸は、彼女の髪と同じ銀色の輝きを放ちながら、独立した意思を持っているかの様に周囲の敵に巻き付き、人形の方はそのまま輪切りにされる。
最後にマルケスだけが斧を振り下ろした姿勢のまま、指の一本も動かせない状態で拘束される。ガラガラと人形の残骸が床に落ちる音が響き、ターヴィが地面に降り立ったのはその後だった。
「劣化版はあんたの方だったわね。ご愁傷様」
「い、一体これは…!」
僕は僕でその間に噛み切った舌を付けなおし、問題無く動く事を確認してから言った。
「あー、うー、おー、うん大丈夫。ああ、喋らなくて良いですよ? 全部説明するんで。
その一、僕が触れるとターヴィが動くって言いましたが、もっと正確に言うと僕の体の何かが触れれば良いんです。賭けでしたが挑発に乗ってくれて助かりました。
その二、ターヴィが動けるのは僕の能力じゃなくて、あくまでもターヴィの能力【
その三、ターヴィの機能が停止中は僕も能力が使えないんですよ。まあ要するに、形勢が逆転したって事です。他に何か質問あります?」
「こ…の……ガキがぁ!! あっ! あ゛…ぁ……」
ゴキィッ!
「あ、ついでに言うと僕見た目は十二,三歳ぐらいですけど三十歳超えてるんですよね。この能力の影響で。ってもう聞こえてねぇか。じゃあな、ク・ソ・ガ・キ」
マルケス・サンジョベーゼ 死亡
能力名:【
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