デスゲームのなんたるかを知り尽くしている。

 王道中の王道、デスゲーム小説に必要な構成や道具だてはあますところなく完璧にしあがっている。

 横綱相撲という言葉がこれほどピタリあてはまる作品も珍しいだろう。主人公の困惑ぶりから始まって波乱と混沌を十二分に予期させる進行から頭をひねらされる謎解きへとつながり、かと思えば登場人物一人一人の品格(!)にふさわしい事態が次から次へと巻き起こる。

 本作は、最上質の物語に必要な言葉と娯楽だけで組みたてられている。奇をてらったり姑息なごまかしで頁を稼いでいる部分は一切ない。

 デスゲーム小説とはなんですかと聞かれれば、私は迷わず本作を紹介する。

 必読本作。