大文字伝子が行く124

クライングフリーマン

大文字伝子が行く124

 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 大文字伝子・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。

 大文字学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。

 一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」と呼ばれている。

 久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。

 愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。

 大文字綾子・・・伝子の母。ずっと、犬猿の仲だったが、仲直り?した。だが、伝子には相変わらず「くそババア」と呼ばれている。

 金森和子二曹・・・空自からのEITO出向。

 増田はるか三等海尉・・・海自からのEITO出向。

 馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。

 大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。

 田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。

 浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。

 新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。

 結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。

 安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。

 日向さやか(ひなたさやか)一佐・・空自からのEITO出向。

 飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。

 稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。

 愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。

 工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向。

 江南(えなみ)美由紀警部補・・・元警視庁警察犬チーム班長。EITOに就職。

 夏目警視正・・・警視庁副総監の直属。斉藤理事官(司令官)の代理。EITO準隊員。

 久保田嘉三管理官・・・警視庁管理官。久保田警部補の伯父。

 伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。

 葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。

 越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。

 高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。

 小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。

 下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。

 井関五郎・・・鑑識の井関の息子。EITOの爆発物処理担当。オスプレイに搭乗して、爆発物処理や看護を担当している。

 青山たかし・・・警視庁の警部補だったが、退職して、EITOに就職。EITOエレガントボーイの一員となる。EITO準隊員。

 橋爪警部補・・・丸髷署生活安全課刑事。EITOと連携を取って仕事をすることもある。

 愛宕寛治・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。階級は警部。みちるの夫。

 久保田警部補・・・あつこの夫。久保田管理官の甥。

 白藤署長・・・丸髷署署長。みちるの叔父。



 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

 ==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO精鋭部隊である。==


 午前11時。本庄病院。

 本郷弥生と増田が病室から出てくる。

 「アンバサダー。私・・・。」「許さん。」「まだ、何も言ってませんが。」「じゃあ、次の台詞は『辞めたい』じゃないんだな。」

 本郷は、言い淀んだ。「増田。本郷を殴れ。」「はあ?」「いいから平手打ちをしろ。命令だ。」「出来ません。本郷さんは・・・。」「出来ないだと?」

 伝子は、増田を平手打ちした。「やるんだ、増田。本郷さんじゃない、本郷隊員だ!」

 「はい。」増田は、本郷に「本郷隊員、ごめん!」と言いながら、平手打ちをした。

 「増田。お前は、私の大事な部下だ。本郷もだ。本郷は自衛隊の階級では増田より上だ。でも、EITOでは、お前より下だ。私は年功序列で見る。そして、実力主義だ。本郷隼人はな。ホバーバイクの改良プランを出した。大蔵さんが早くから見込んでいたんだ。そのホバーバイクに乗るのは、本郷弥生。お前だ。オスプレイの操縦士だけでなく、ホバーバイクのドライバーとして、EITOに入隊させたんだ。お前の弟がフォローアップする予定だったんだ。弥生。お前は、3日間休暇を取れ。命令だ。」

 「横暴です、アンバサダー。」「横暴です、隊長。」本郷と増田は抱き合って泣いた。

 伝子も泣いていた。

 「大文字君、ずるいよ。いいとこ取りして。」と、現れた理事官は言った。

 「取っていない休暇が13日もある。取りあえず3日休め。」

側で、本庄院長と本庄副院長が笑っていた。

 午後1時。EITO本部。会議室。

 「陽動じゃないんですか?おねえさま。」と、みちるは言った。

 「うむ。夕べ、ウチのエーアイとも話したんだが、ブラックスニーカーは案外本気で、あの事故、いや、事件に憤慨しているのかも知れない。」

伝子の言葉に、「邪魔しやがって、というところですか、おねえさま。」と、横からあつこが言った。

 「プライド、って、そういうことですか?おねえさま。」と、今度は、なぎさが言った。

 下條が言った。「でも、嘘つきって・・・。」

 「嘘つきは、自分のこと、嘘つきって言わないわよ、下條。」と、あかりが知ったかぶりで言った。

 「別件だとして、誰がどうして?ってことになるが、『枝葉会(えだはかい)』かね?」と、理事官はマルチディスプレイの高遠に尋ねた。

 「以前、ケンが『幹と幹は重なることはないが、枝や葉っぱは重なる場合もある』って言ってませんでした?あ。テラーサンタだったかな。とにかく、ブラックスニーカーだけでなく、枝葉会も仕掛けて来るかも知れない、と思ってました。確証はありませんが、今回の本郷二尉の当て逃げは、枝葉会の仕業かも知れない。」と、高遠は応えた。

 「夏目リサーチで調べたところ、自衛官の様子を伺う者は、何度か見かけたそうだ。」

 夏目リサーチとは、夏目警視正が密かに経営しているダミー会社だ。ダミー会社ではあるが、『架空』の市場調査はしている。調査員は、いわば黒子のようなモノだ。

目の前を通り過ぎても、誰も注意を向けない。公然と見張って、調査をすることが出来る。カウンターとパイプ椅子さえあればいいのだ。

 「本郷二尉は、姉の弥生に誕生祝いにブローチを買いに行った。それを店員は強引に寝クレスに変えさせ、売りつけた。それを見ていた常連客がいる。そして、自衛官の制服を見た。他の男の客は、物色したが、二尉が出た後、店を出て行った、と証言している。」

 「つまり、夏目さん。本郷二尉は、本郷だから狙われたんじゃなくて、自衛官だから狙われた、と?」伝子が尋ねると、「そうなるね。」と応えた。

 「すると、EITOだから、狙われた、訳ではない、ってことですか。」と、筒井は言った。

 「当て逃げした車やドライバーは?」と、青山が尋ねると、「今朝、東京湾で引き上げられたよ、車ごと死体ごと。漁船の網に引っかかったんだ。」と、マルチディスプレイの久保田管理官が言った。

 馬越が、「始末されたってことですか。ブラックスニーカーに。」と言った。

 「結論は一応出たな。」と、理事官は言った。

 「じゃあ、やっぱり、ブラックスニーカーの出方待ちですか?理事官。」と大町は言った。

 理事官は言った。「高遠君。何か思いつかないかね。」「残念ながら・・・。」

 高遠の言葉に理事官は決意した。「よし。一旦解散しよう。ヒントが無ければ連想も出来ない。但し、各自いつでも出動出来る様にしておくように。」

 「理事官。訓練場、使っていいですか?」と金森は言った。

 「金森は練習熱心だな。いいだろう。」と言った理事官は、「本郷の様子も見てきてくれ。」と、金森に小声で言った。「了解しました。」

 午後3時。伝子のマンション。

 「お花見のシーズンだから、お花見の場所かしら?」と綾子が言った。

 「そうかも知れないけど、場所を特定出来なければ、先回りは出来ないよ。この間の高速道路の事故みたいに、後から追いかけるしかないな。」と、伝子はため息をついた。

 「本郷さんきょうだい、お気の毒ね。ブローチにせよネックレスにせよ、買いに行かなきゃ災難に遭わなかったかも知れないのに。」

綾子の言葉に、「そうだ。無関係かも知れないが、調べよう。」と、伝子はスマホを出して、どこかに電話をした。

 「婿殿。煎餅、もうないの?」「明日辺り、届くと思いますよ。はい。」

高遠は、綾子の前にポテトチップスを置いた。「最近、出没する日が多いですね、お義母さん。」

 「ローテーションでね。夜勤が多いのよ。だから、夕方出勤。今日もね。」

 電話を切った伝子は、「学。当て逃げの件、中津興信所に聞き込みを依頼したよ。」と、高遠に言った。

 「まだ、裏があるかもって?」と、高遠は伝子に紅茶を出しながら言った。

 「うん。確証はないけれどね。」と、ウインクをして見せた。

 その時、伝子のスマホが鳴動した。

 「隊長。海自の先輩に頼んで調べて貰いました。本郷君と同じ体格で、似た感じの自衛官がいました。名前は一門武(いちもんたけし)。年齢も近いようです。本郷君と一日違いで下船しました。茨城の実家の親が亡くなって、2日早めたようですね。昨日の葬儀の後、休暇を取って、今は実家にいます。調べますか?」

 増田の声に、「そうしてくれ。稲森を連れて行け。」と伝子は指示した。「了解しました。」

 電話を切った後、伝子は数秒考えた後、あつこに連絡をした。

話し終えた後、「後は、『果報は寝て待て』だな。」と、呟いた。

 「え?昼間っから?お邪魔しました。」綾子は、そそくさと出て行った。

 「気を利かせた積もりかな?」高遠と伝子は笑った。

 午後4時。茨城。一門の実家。

 「ごめん下さい。」増田と稲森が訪ねた時、出てきたのは、一門本人だった。

 「本郷君ですか。気の毒なことを。実は自衛官として、同期なんです。それで?」

 「実は事故ではなく、事件の可能性が出てきたんです。それで、同期のあなたなら、何かご存じかと・・・。」「それは、警察の仕事ではないんですか?貴方たちはどういう?」

 「海将の命令です。実は、海自の重要書類が無くなっているんです。本郷二尉は、自宅に持ち帰る途中で、当て逃げに遭ったんです。本人は、一命を取り留めたものの、口がきける状態ではないんです。一門さん、何かご存じないですか?誰かがつきまとっていませんでしたか?」「思い当たらないなあ。時間を貰えませんか。今は思い出さないが、思い出す時が来るかも知れない。」

 「よろしく、お願いします。」増田と稲森は言った。

 午後5時。高速3号線。

 増田が運転するマセラティの後をついてくる自動車があった。マセラティは、以前の事件後、泉氏から芦屋三美が譲り受けたモノを、EITOが無料貸与して貰っている。

 「来たわよ、相棒。」「了解です、先輩。」稲森はスマホで、あつこに連絡した。

 「了解。手はず通り、『被害者』になって頂戴。」と、あつこの声が聞こえた。

辺りが少し夕闇になって来た頃、後続車が追い上げて来た。300メートル近く後続 車が近づいた時、突然、マセラティのガルウイングが開いた。

 エマージェンシーガールズ姿の稲森が、車内に命綱を付け、後部ルーフからトランク方向に進み出て来た。後続車は左ハンドルでなく右ハンドルである。稲森の『向かって右』の助手席から顔を出している男の拳銃を投げ縄で捕らえ、弾き飛ばした。

 違う拳銃を出した男は、今度は稲森の鞭で拳銃を弾き飛ばされ、呆然とした。稲森は、運転する男が一気に追い上げ追突しようとした、その瞬間、後続車のルーフに飛び移った。そして、オスプレイから降りて来たロープを掴み、DDバッジを押した。稲森は片手で体を支えていたロープをシューターで切った。シューターとは、うろこ形の手裏剣である。殺傷能力はないが、ロープくらいは切れる。

 DDバッジとは、EITOのオスプレイに直接送れる電波で、位置情報も送れるが、予め決めていた『合図』としても使える。

 マセラティの中に、垂れていたロープが格納され、ガルウイングのドアは閉まった。

 そのドアが閉まる前に、ブーメランが後続車目がけて跳んできた。

 運転していた男は慌ててハンドルを切り、スピンして停車した。

 マセラティは、少し先に駐まった。

 サイレンの音が聞こえて来た。

 ミニパトが2台駐まった。結城、あかり、小坂、下條だった。

 あかりが言った。「どっちのかわい子ちゃんの手錠がいい?希望は聞くわよ。」

 警察官姿の結城が言った。「警察でゆっくり話を聞かせて貰うわ。ご苦労様。エマージェンシーガールズ。」

 「そちらこそ、お巡りさん。」と増田が言い、ウインクをした。

 午後6時。丸髷署。

 取調室から、愛宕が出てきて、スマホで伝子に報告した。「闇バイトで雇われただけだ、と言っています。君たちも暗殺されるよ、って脅かしておきました。」

「1時間前に、ブラックスニーカーから通告、と言うのかな、New tubeにアップロードがあった。署長室で確認してくれ。」と、伝子は言った。

 署長室。愛宕が入ると、既に橋爪警部補、あつこ、みちる、署長がいた。

 橋爪警部補がNew tubeの再生をした。

 《

  お待たせー。ちょっと散髪してたら時間がかかっちゃった。今度ねー。鬼退治することになったよ。どこの鬼?永田町の鬼だよー。いつ?教えてあーげない。エマージェンシーガールズなら守れるよね。やっぱり教えてあげよう。明後日は何の日か知ってる?おやつ食べながら考えよう。

 》


 「やはり、煽り屋は無関係ですかね、警視。」と、愛宕は言った。

 「一門は逃走したわ。庭に麻薬を栽培していたわ。久保田が本郷君に一門の家に行ったことがあるか?と尋ねたら、一度だけあるって応えて、庭を見たか?と尋ねたら、タバコを栽培していた、と応えたそうよ。」と、あつこは言った。

 「素人には、葉っぱ見ただけでは分からないよ。尋ねられた一門は秘密を知られた、と勘違いしたのだろう、と、高遠君は言っている。」と、署長は言った。

 「とばっちり殺人になるところだった、という訳よ。」と、みちるは言った。

 「この動画でも、奴らのことは一切言っていないから、一門一曹の悪事とは無関係ですね、警部。」と、橋爪警部補は言った。

 「一曹?一門は本郷より階級が下ですか。」「詰まり、男の嫉妬って奴も関係しているのね。本郷君は同期生だ、友人だと思っているのに。」とあつこは愛宕に説明した。

 「さ。新展開だ。愛宕君と橋爪君は、明後日のことを大文字君と打ち合わせてくれ。取調中のあの二人は、他の者に担当させる。警視、みちる。そういうことだ。」と、署長は閉めた。

 翌々日。午後3時。小梅党の鬼原代議士宅。

 土木作業員の格好をした、男達がリビングに入って来た。

 「待っていたよ、ブラックスニーカーの葉っぱさん。」エマージェンシーガールズ姿の大町と静音が、胡椒弾を投げた。狭い空間なら効果的だ。胡椒弾とは、カラーボール大の胡椒等を練り合わせた丸薬で、ペッパーガンより前に開発されたものである。代議士も男達もむせた。エマージェンシーガールズのユニフォームは、胡椒弾を多少フィルタリングする。大町と静音は、素早くバトルスティックで倒し、拳銃やナイフを回収した。

 大町がDDバッジを押した。警官隊が突入した。

 午後3時。一心の会の新党首である、鬼怒川代議士の書斎。

 「SPはケチらない方がいいよ、新党首さん。」

 鬼怒川の首に冷たいモノが触れた。ナイフだった。賊はいつ入り込んだのか?

 2人の内、一人が、ナイフで鬼怒川自慢の髭を剃り落した。

 「散髪は終ったかい?後がつかえているんだがなあ。」そう言うと、ナイフを持った、エマージェンシーガールズ姿の馬越は賊の一人の手首を捻り、送襟絞めで落した。

 もう一人の賊は、拳銃を持っていたが、金森は拳銃に水流ガンでグミを撃った。水流ガンから射出した特殊な液は、グミ状になって拳銃を覆い、使い物にならなくする武器だ。

 馬越はDDバッジを押した。警官隊がやって来た。

 午後3時。挙産党の鬼塚代議士の家。

 庭でゴルフの素振り練習をしていたが、急に誰かに掴まれた。その男はボディビルでもやっているのか、屈強な男だった。男はグラブを取り上げると、簡単に捻じ曲げ、しなった弓のように変形させた。

 どこからか、拍手が起こった。エマージェンシーガールズ姿の田坂と安藤は、男に躊躇無く矢を放った。

 男はストップモーションのままだった。近寄った安藤が言った。「先輩。立ち往生です。」「了解。」田坂は長波ホイッスルを吹いた。長波ホイッスルとは、犬笛のような笛で、通常人間の耳には聞こえない周波数の音波をオスプレイ経由で合図を送る。

 間もなく、警官隊が到着した。

 午後3時。シャー民党党首の福原九鬼子の家。

 帰宅して、鍵を開け、玄関から入ろうとすると、そこに現れた福原の右手首をスパナで叩かれ、福原は荷物を落して、しゃがみ込んだ。

 エマージェンシーガールズ姿の伊知地がブーメランを投げ、そのスパナを落した。

 拳銃を持った、男の相棒のつま先は、シューターが突き刺さった

 シューターの先には、痺れ薬が塗ってある。男は動きが鈍った。

 エマージェンシーガールズ姿の葉月と越後が加勢して、男2人は、地面に伸びた。

 「大丈夫ですか、先生。」伊知地が党首に尋ねると、「私、断ったのに・・ありがとう。」と応えた。

 「腕に自信があったのですか?マフィアは挙産党であろうとシャー民党であろうと、襲う時は襲います。六法全書を振りかざし、『憲法』で闘いますか?」

 皮肉を言ったのは、伊知地だった。伊知地はDDバッジを押した。警官隊が駆けつけた。

 午後3時。豊島区雑司ヶ谷。雑司ヶ谷鬼子母神堂。

 野武士のような格好をした一団が、集まっていた。

 リーダーらしき男が手を挙げると、矢が突き刺さった。

男が驚いていると、声が聞こえた。「罰当たりな連中だ。そのペンキで鳥居を全部塗り替える積もりか?」

 男が、その声の方角を見ると、エマージェンシーガールズ姿の5人の女がいた。

 「誰だ?」「人呼んで、エマージェンシーガールズ。見参!」

ペンキを持っていた男数人以外は、拳銃や機関銃を持っていたが、こしょう弾やペッパーガンの攻撃により、男達は怯んだ。

 そこへ、伝子が、なぎさが、日向が、飯星がブーメランを交互に投げ、ブーメランが戻って来ては投げた。工藤と江南はシューターを投げた。

3台のホバーバイクが登場した。青山と高木一曹と本郷弥生が乗っていた。青山と高木は、近くにあった消火栓から本郷のホバーバイクのホースに繋ぎ、ホースをしっかりと支えた。

 本郷は一団に向け、ホースから放出された水を空中から放った。

 伝子達は、縦横無尽に駈け、バトルスティックで100人の敵を倒して行った。

 安定は悪い。だが、30分の激闘を援護するには充分だった。

 闘いは終った。なぎさがDDバッジを押した。

 すぐに警官隊が到着し、一団の逮捕連行を行った。

 「本郷。これでも躊躇するか!」と、伝子は怒鳴った。

「いいえ。隊長に一生ついて行きます!おねえさま。」と、本郷弥生は言って、伝子に抱きついた。

 「やれやれ。また、『妹』が増えたな。」と、青山が呟くと、オスプレイから降りて来た井関が「そうですね。」と笑った。皆も笑った。

 高木は、1人、不思議そうに、たたずんでいた。

 ―完―

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大文字伝子が行く124 クライングフリーマン @dansan01

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