おまけ
ぼくはルース
ルース「
シダラ「南西だってよ」
ルース「だってよ、とはなんですか?」
シダラ「あ?」
ルース「そのようなことばづかいはしりません」
シダラ「南西なんですってよ、お坊ちゃん」
ルース「おぼっちゃんではありません、ルースです!」
シダラ「けっ、つまんねーボンボンだな」
ルース「ボンボンとはなんですか?」
シダラ「お前の事だよ」
ルース「ぼくはルースです!」
シダラ「わかったよ、うーす」
ルース「ルース!! です!!」
ナギ「シダラ、楽しそう……!」
細身のエルフたち
シダラ「しっかしまあ、エルフは線が細い連中ばっかりだったな」
ナギ「そうだねえ。別に肉や魚を食べないわけじゃないだろうけど、羨ましい」
シダラ「そういう体質なんだとさ。身体に蓄えた栄養を少しずつ消化することで身体の中にエネルギーを蓄積して、長寿を保つんだと」
ハサキ「詳しいじゃないか。だが、少し違うな。我々は森と共に生きる民であり、番人だ。多くの殺生を必要としては生態系を崩してしまう。限られた森の資源の中で種を保つために、我等には精霊の加護がある。正しき行いを続ける者に精霊は微笑み、健康と長寿を約束するのだ。即ち、森への感謝と尊敬の念を抱いているからこそ、我らは健康と寿命を保つことができるというわけだ。ヒトとは大違いだな」
シダラ「馬鹿じゃねえの? 何百年前の言い伝えだよ、とっくに解明されてるっつーの」
ハサキ「なんだと!」
シダラ「そもそも森に棲んでないエルフだっているだろうが」
ハサキ「彼等だってその土地の自然に感謝して過ごしているに決まっている」
シダラ「都合のいい感謝だな、何でもいいんじゃねえか」
ハサキ「生まれ持った環境に感謝するのは当然だ! この恩知らず、親の顔が見てみたいぞ!」
シダラ「なんだコラァ!」
ハサキ「やるか!? 森の呪いを受けろ、シダラ!」
シダラ「上等だ、指先くらえ!」
ナギ「あーもー、やめなよ! ……ああ、ファリオさんがいないと私が一人でとめなきゃいけないのね……」
美しき者たちの村
シダラ「うーむ」
ナギ「どうしたの?」
シダラ「俺たちが訪れる直前まで儀式やってたんだろ? どうせなら見学したかったな、と思って」
ナギ「へー、意外。シダラ、そう言うのあんまり興味ないのかと思ってた」
シダラ「ん? まあ、俺だって多少はな……やっぱ、いいもんはいい」
ナギ「お爺様の祈祷、迫力満点だったもんね」
シダラ「いやお爺に興味はねえよ」
ナギ「?」
シダラ「あ、いや」
ナギ「……司祭様の周囲では、美しい踊り子様が祈祷の舞を踊っていらしたそうですね、シダラさん」
シダラ「ら、らしいな」
ナギ「……エルフの皆様は細身で筋肉質、うつくしゅう身体を引き立たせる衣装を着ていらしたものね、シダラさん」
シダラ「ナギ、口調がおかしい、口調が」
ナギ「いつもこの口調でしてよ。さて、線の太いヒトは肉体労働に励みまする。水を汲んできますので、お待ちあそばせ」
シダラ「……いってらっしゃい」
ハサキ「見てたぞシダラ! やったなぁお前! ぎゃーははは!」
シダラ「ハサキてめぇ、笑うな!」
ハサキ「フラれてしまえ!」
シダラ「んだこらぁ!」
ナギ「喧しい! 魔物でも寄ってきたらどうするの!」
二人「す、すみません……」
しだらでん レンズマン @kurosu0928
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眼鏡拭き/レンズマン
★18 エッセイ・ノンフィクション 連載中 446話
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