あとがき ヴェーダとハルカの小説談義
「ハルカさん。読んでもらえましたか? 僕が書いた力作です!」
「一応読んでみたが……何だか気に食わない」
「ええ? 何処が?」
「いや、そもそも何でヒロインの名がハルカなのか? しかも赤毛だし」
「もちろん、ハルカさんがモデルだからですよ」
「序盤の暴力行為も私がモデルだと?」
「当たり前じゃないですか。普通の女の子は蹴ったりグーパンしたりしませんから」
「そこはもう少しおしとやかに書くべきではないのか? 可憐な姿だとか、胸元が眩しいとか」
「ああ、ハルカさんがモテモテだったと書いて欲しかったんですか?」
「それが普通の乙女心だ」
「乙女心ねえ。ハルカさんにそんなものがあるとは思えないのですが」
「うるさい。そもそも、その小説はフィクションなんだろ?」
「ええ、そうですが」
「だったら、読者の共感を得るために嘘でも美化して書くべきではないのか?」
「もちろんそのつもりで書いてますよ」
「だったらなぜ、私がイラッとする内容なのだ」
「それはハルカさんをおちょくっているからです」
「(# ゚Д゚)」
「痛い痛い。暴力反対」
「(# ゚Д゚)」
「助けて」
「(# ゚Д゚)」
「えーん」
「(# ゚Д゚)」
「(涙)」
「男のくせに泣くな」
「(このドSのいじめっ子)」
「何か言ったか?」
「言ってません、言ってません」
「ところでヴェーダ。お前の名はナツキだったのか?」
「あ、バレてますね。僕はヴェーダと名乗ってますけど、本名は
「初めて聞いた」
「ですよねえ。僕も初めて言いましたから」
「では、小説の中のナツキはお前がモデルだったと?」
「そうなりますが」
「気に入らん」
「何故ですか?」
「私がお前と恋仲になるなど言語道断だ」
「え? フィクションで恋物語をやって欲しかったのでは?」
「私にも相手を選ぶ権利はある」
「そんなに僕と恋仲になるの……嫌なんですか?」
「当たり前だ。お前は部屋を片付けろとか人のおやつを勝手に食べるなとか野菜は残すなとかトイレを流すときはふたを閉めろとか歯磨きは5分もやれとかゴミは分別しろとかゲームで課金はするなとかとにかく口うるさい。こんなどこぞの姑みたいな輩と恋人関係になるなど有り得んのだ!」
「はいはい。口うるさくてスミマセンねえ。僕は一般常識の範囲でしか言ってませんけど、それはハルカさんが非常識だからではないですか?」
「いや、口うるさいお前の方が非常識だ」
「理不尽な言いがかりだな……」
「ああ? まだやるか? 次は本気を出すぞ」
「止めて。ハルカさんの本気はダメです。周囲の電子機器が全てブッ飛んじゃう」
「ならばあの小説は削除しろ。とにかく気に入らん」
「それはできません。だってもう小説投稿サイトカクヨムにうpしちゃったんで」
「あ?」
「それに、ゆあん様の自主企画に沿って書いてますし」
「自主企画だと?」
「筆致は物語を越えるか……ですね。詳しくは企画ページを参照してください」
「そんな大そうなものに? お前がか?」
「もちろん馬鹿作者……もとい。暗黒先生のお力によるものです」
「あの馬鹿が噛んでいたのか」
「そうですね。今回はとりあえず、2019年10月の『海が太陽のきらり☆【SF編】』の世界観を踏襲し、2020年6月の『雪を溶く熱 — 火星の冬とテラフォーミングの子供たち—』の登場人物、つまり、僕、ヴェーダとハルカさんをモデルに火星における物語として執筆されました」
「つまり『海が太陽のきらり』の続編が火星視点で描かれているが『雪を溶く熱』とは別の物語って事だな 」
「そうです。そして残念な事に『雪を溶く熱』は総文字数16万字を越えてなお完結していないという……」
「それは作者が馬鹿だからだろう」
「まあ作者様の事は置いといて、こんな事をする人がいたせいで今回の筆致企画では字数と話数の制限がかかりました」
「三万字以内。十話以内だな」
「はい。作者様に代わって謝罪します。ごめんなさい」
「スマンな」
「そんなこんなで、僕とハルカさんの新しい火星の物語『春にさよなら』はここに完結しました」
「ここまで読んでくれたみんな、ありがとな」
「ありがとうございます。本当に感謝しています」
「じゃあな」
「さようなら!」
【おしまい。読了感謝です】
春にさよなら 暗黒星雲 @darknebula
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