第10話 雨に光るネオンに渚
白のカローラのフロントガラスに強い雨が叩くー。
行き交う人の足元の水溜まりにはネオンが光り、泣き疲れて寝ている渚の頬の涙も乾いている。
ナミは狐面の女が渚の父親の組が雇ったと調べていた。昨日突き止めたが渚が先に暴走してしまったのである。
そして、目の前の一階がガレージになった建物に潜伏しているのが解った。
激しい雨の中ー。
白いベンツが戻ってきた。ナミは車を降りてピストルをコートに隠しながら白いベンツへ足早に近づいた。
降りてきた男が雨の中こちらへ近づくナミに気付いた。
ナミは無表情にその男の頭を撃った。続いてまだ車内に居る男に数発撃ち込んだ。運転席から逃げようとするデブにも数発撃った。
建物内へと続く扉を警戒していると渚も雨に濡れながら合流した。
「ナミさん!」
「渚!エンジンはつけてから来たの?」
「つけてない!」
「早く戻ってエンジンかけてきて!奴を仕留めっ!!」
言葉途中で扉が少し空いてナミは撃たれた。
「ナミさん!?」
「いいから!エンジンかけてきて!!」
「でも!?」
「いいから!」
パンッ!
ナミは太股を撃たれて倒れた。
直ぐに斜角を取って白いベンツの影へと隠れた。
渚は車へ戻ってエンジンをかけてから散弾銃を持って建物へと戻った。
扉から出てきた狐面の女へ散弾銃を放った。
狐面は一瞬怯んだが渚にも撃ってきたがナミが狐面の首を撃ち抜く方が速かった。
狐面は首から噴き出す血飛沫を押さえながら路上へと出た。激しい雨の中で藻掻く狐面へ渚は近づいて散弾銃で狐面ごと撃ち抜いた。
狐面は砕けて路上へ脳症が飛び散った。
渚は撃たれたナミに駆け寄って担ぎ上げてカローラへと戻った。助手席へナミを乗せてその場から発進させた。
新宿のネオンは雨に輝き何事も無いように騒いでいる。四車線は車でごった返してなかなか進まないー。
「渚……」
「ナミさん」
ナミは太股と脇腹を撃たれていて顔が青ざめている。
「飯田に……向かってくれる?」
「飯田?」
「うん……アタシ……そこで産まれたの…」
「解った」
ナミはハンドルを握る渚の手を軽く触れて眠りについたー。
渚はハンドルを握り治して首都高速に乗った。
終わり
石井隆監督に捧ぐ
GONINを観て小説を書きたいと思った十代
黒の天使を知り、コミックを知り、人生において石井隆作品にはかなりの影響を受けた。
勝手に石井監督に捧ぐ作品を書いて申し訳ないです。
でも、書きたかったのです。
夜 ネオン 渚 門前払 勝無 @kaburemono
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