第150話 姉は黙して語らず
少し酒精が入ってハイになっていたと思う。なかなか来ない美鳥を呼びに行って、あの娘の部屋のドアを開けたんだ。
そうしたら、微かに聞こえる吐息。しまった! しかし言葉が止まらない。
「美鳥。何してるの? みんな待ってるよ」
薄明かりの中、ベッドの上に男の背中が見えた。そして膝も。ゆらゆらとシルエットが見えた。
私が呼んだことに気づいたんだろう。2人の体が跳ねた。
背中を向けていた男は仰向けに転がる。下にいる女が跳ね飛ばしたんだろう。
美鳥は、ベットから滑る様に降りると、何もは羽織らないで、こっちにくる。
「おっお姉ちゃん! なんで」
ジェルピンクの先をフルフルと振るらせてくるんだよ。
前に言ってたっけ,サイズはDだって。嘘偽りはなかったよ。疑って悪かった。
「違う、違わないけど、違うの」
動揺して支離滅裂なことを口走っている。まあ、その気持ちわかるよ。よーくわかる。
「美華姉! ちょっと」
一孝のヴァカが、ベッドを降りて,やはり,こっちにくる。
だけど、2人とも下を履いていた。アンバーのショーツに紺色チェックのブリーフ。
私は、ごめん と心の中で呟くと、ゆっくりとドアを閉めた。
私も顔が熱い。胸もジンジンするし、下っ腹からも疼きが上がってくる。
腰に力が入らない状態で階段を降りて、ひとり、リビングに戻る。
「美華ちゃん、美鳥ちゃん,どうでした?」
私1人で戻ったことを訝しんでママが聞いてきた。
「美鳥の部屋に一孝もいたよ。2人して寝てた。あれだけ寝て、まだ寝られるんだ。びっくりだね」
私は、おどけた様に答えた。単語では嘘はついていない。
「声をかけたから、目を覚まして降りてくるんじゃないかな」
「まあ,まあ。お眠なのね、美鳥ちゃん、一孝くん」
そのうちに美鳥が服をきてリビングにやってきた。オフホワイトのタートルネックプルオーバーに深緑のキャミワンピの組み合わせ。
そして、ダイニングにあるテーブルの椅子に座った。しばらくすると、顔を上げて私を睨んでくる。で,また顔を伏せた。
そんな恨めしそうな目で見てくるのやめてくれないかな。
まっ、間が悪かったと諦めてくれ。
この娘の髪の毛から覗く耳は真っ赤に染まっている。湯気でも出ているんじゃないか。
「美鳥、起きたの?、美鳥ちゃん、美鳥ちゃん?」
すると、美鳥の様子がおかしいことに気づいたママは私も見てくる。
私も顔が熱い。真っ赤になっているはずー、それで察したんだろう。
「美華ちゃん…………、デバガメさん⁈」
ごもっともです。その通り。
でも、話せないよ。家族といえど、こんなこと。
黙って俯くことしかできませんて。
年下幼馴染は同級生 〜花開き、綺麗になって行く君に惹かれて行く〜 @tumarun
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