第1話-② 私の日常

 リビングへ行き、私の起床時間に合わせてお母さんが準備してくれた朝ごはんを食べる。

 咀嚼するごとに目が覚めていくので、朝ごはんを食べることは、私にとって大事な習慣だ。


 朝ごはんを食べ終えると、洗面所へ歯ブラシを取りに行き、リビングで歯を磨く。

 歯磨きには時間をかなり取られてしまうので、テレビに表示されている時計の確認は外せない。


 歯磨きを終えると、制服に着替える。

 中学生のときはセーラー服だったので、ブレザーの手間の多さは少し面倒に感じてしまう。

 スカートの長さは、全体のバランス、校則の「短く着用しない」という曖昧な範疇を考慮し、ウエストで履いたときに膝がギリギリ見えるくらいにしている。この長さだと太ももが見えないので、足が太くも短くも見えず気に入っている。だけど足の露出面積が多いとなんだか落ち着かないので、年中黒いストッキングは欠かせない。その上に黒いスパッツも履くので、完全防備が完成する。

 そして腕には、両親が高校の入学祝いに買ってくれた、ゴールドピンクの腕時計をつける。


 制服に着替え終えると、洗面所へ移動し、顔を洗って髪の毛を結ぶ。

 顔を洗うといっても、私は乾燥肌だし時間も勿体無いので、指に水を少しだけつけ、目やにを取るだけにしている。

 髪型は、私の独断と偏見だが、学生っぽいからという理由で、中学生のときからおさげを貫き通している。前髪は作っていないので、前髪に奮闘することはないけれど、おさげの左右の高さを合わせるのは、何年経ってもそれなりに時間がかかる。


 ───と、私は一息つく間もなく、せかせかと学校へ行く準備を終わらせた。


 これを、月曜日から金曜日まで毎朝行なっている。

 慣れてはいるけれど、ブレイクタイムは設けていないので忙しいし、少しでもどれかに時間を取られすぎてしまえば遅刻してしまう。まあ、今まで学校が始まる時間に遅れたことはないけれど。

 私はギリギリまで寝ていたいタイプなので、一息つく間もないモーニングルーティンからは抜け出すことができない。


 バスの時間まで少し余裕ができたので、自室でスマホを眺めていると、あっという間に時間が過ぎていった。

 浦島太郎みたいに、スマホを見ている時間と現実に流れている時間は違うんじゃないかと思ってしまう。

 私はもう一度、スマホに表示されている時間を確認し、前日の夜に荷物を詰めておいた学校指定のスクールバッグを手に取り、黒いスニーカーを履いて家を出た。

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