第1話-③ 私の日常

 私は、最寄駅へ行くために、バス停へと向かう。家からバス停までは、五分もかからない。

 私は、来たバスにあぶれて乗れなくなるのが嫌なので、なるべく前の方に並べるように逆算してきている。

 私がバス停に着くと、先客が二人いた。

 時間が経つにつれて、狭い歩道にどんどんと人がやってきて、自転車に乗った人は通りにくそうにしている。

 腕時計の針を確認すると、バスの定刻は過ぎていた。時計の針と、バスがやってくる方向を何度も交互に見て、やっと、毎度時間内にはこないバスが姿を現した。


 狭い歩道に人がキレイに整列できるスペースがないので、バスに乗車しようとしている人たちはまあまあ散らばっている。だが、みんな自分がどれくらいにきたのか把握しており、揉めることなく順番にバスへ乗車していくことに、私はこの地域の治安の良さを感じている。


 私は定期券をかざし、三番目にバスへと乗車した。


 私の乗車したバス停は、駅に近い方なので席は完全に埋まっていて、立たなければならない。

 私は中央の方で立って、重たいスクールバッグを左右の脚に挟んで、左右の足をくっつけた上に置いた。

 中学生のときはバッグが自由だったのでリュックを背負って行っていたけれど、距離が遠い高校で大量の荷物を入れてのスクールバッグは大変すぎる。指定のバッグにするのはいいけれど、せめてリュックにしてくれと毎日思ってしまう。

 今日は晴れだからまだいいけれど、雨の日だと乗客が増えて、ぎゅうぎゅうな中濡れた傘たちに押されるので大変だ。さらに、バス停での列が最後尾の方だと確実に乗れなくなるので、雨の日はいつもより早く家を出発しなければいけなくなる。


 先生たちは、生徒の大変さを分かっていないんじゃないかなと思う。

 車の免許を取れる年齢が引き下がって、車で登校できたら楽なのに。


 しばらくバスに揺れると、乗客が乗ってきて、その度に私は後ろの方へと追いやられていった。


 今日は道が順調なようで、最寄駅まで二十分で着くことができた。

 酷いときは一時間近くかかるし、前に家族で夜中に最寄駅から家までタクシーに乗ったときは全然車が通っていなくて、タクシーの運ちゃんが飛ばしまくって五分くらいで着いたから、家から最寄駅まで何分かかるのかが未だによくわからない。


 私はバスを降りて、電車に乗るために地下へと下りた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る