図書室にて

さて、同じ転生者であるフレーズと協力関係を築いた後.................私とフレーズは図書室にいた。

まぁ、作戦会議をするのもあるけど..........一番の目的は、他や生徒達からの質問攻めから逃れることなんだけどね。


ココ「にしても、フレーズが来ただけでここまで騒がしくなるなんて..........転校生効果って凄いね」

フレーズ「まぁ、それもあるだろうけど.................多分、私がってこともあるんだろうな〜」


【ハニー・ハニー・ハニー】の世界では、魔力を持った人間には、必ず魔法属性を持っているのだ。

ちなみに私は水属性なのだが..........ゲーム内では、自身が水魔法を使えることを利用し、嫌がらせなどに活用していた。

一方、主人公であるフレーズの属性は光。

そう、めちゃくちゃレアな属性なのである。

そのため、フレーズが質問攻めにされるのも無理はなかったってわけ。


フレーズ「はぁ..........私はただの乙女なのになぁ」

ココ「そもそも、この学校に転校してくる時点でフツーじゃないでしょ」

フレーズ「あ、確かにw」


フフッと笑いながら、そう返すフレーズ。


フレーズ「ところでさ、学校内でのクリスはどうなのよ」

ココ「うーん..........そうね。とりあえずは付き合っている人がいるっぽい」

フレーズ「え!?マジで!?」


わたしの言葉を聞き、驚くような顔になるフレーズ。

うん、その気持ちはすごーく分かる。

分かるよ。


ココ「でも..........」

フレーズ「でも?」

ココ「何か『ときめいた』とか、『一目惚れした』とか言って他の女子を口説いてるってさ」

フレーズ「はぁ!?何それ!!クズじゃん!!」


...........フレーズが乙女ゲー脳じゃなくて良かった〜


ココ「ちょっ!?声デカい!!」

フレーズ「あ!?ご、ごめん.......」

ココ「でも、フレーズがそう言ってくれると.............何といういうか、心強いわ」

フレーズ「お?もっと褒めてもいいんだよ」


ドヤ顔をしながら、そう言うフレーズ。

そんな私達に対し、図書室にいる生徒達は何だ何だと注目し始めた。


フレーズ「...............流石に目立ちすぎたかな?」

ココ「そりゃあ、公爵令嬢と噂の転校生が二人きりで図書室でおしゃべりしてたら、嫌でも目立つでしょ」

フレーズ「だね」


私の言葉に対し、フレーズは納得したように言うのだった。


ココ「でね、さっきの話に戻るけど................タチが悪いことに、そのことをクリスは悪いことだと認識していないのよ」

フレーズ「え!?てことは...........」

ココ「.................そういうこと」


私の口から語られたクリスの情報に対し、明らかにドン引きするフレーズ。

この世界に転生してから、クリスがヤバいとは思っていたけど............フレーズの反応を見て、改めてクリスはヤバさを再確認する私なのだった。


フレーズ「..........私、クリス推しじゃなくて良かった〜」

ココ「ね〜」


そんな会話をしていると、私達の話の内容を理解したのか、巻き込まれるのはごめんだと言わんばかりに、こっそりと図書室を後にしていく生徒達。

.................なんかごめんね。


ココ「てか、クリス推しでも流石に幻滅するでしょ」

フレーズ「うーん、そうでもないと思うよ」

ココ「というと?」

フレーズ「私の友達...........もちろん、前世の友達だけどさ、クリス推しの子がいたんだ。んで、その子に何でクリスが好きなのかって聞いたのよ。そしたらね..........その子はこう言ったんだ『そういう人を見たら、なんか貢ぎたくなる』って.......」


............何となくクリスが人気な理由が分かったかもしれない。


ココ「クリスを好きになる人ってさ.................もしかしたら、クズ男に引っかかる人間なのかもね」

フレーズ「かもしれないね。現にその友達もろくでもない男に引っかかったし」


う、うわぁ...........


ココ「とにかく、クリスはヤバい!!だからこそ、あまり関わらないようにしなくちゃね」

クリス「僕のどこがヤバいんですかね?」


その声を聞いた瞬間、背筋が凍り、鳥肌が一瞬で立った。

間違いない、この声は............


ココ「く、クリス!?」


嘘!?何でこのタイミングなのよ!!


クリス「僕のことをヤバい人扱いするなんて...........酷いじゃないですか。僕はただ好きな人がたくさんいるなんですよ?」


話を聞いただけで分かる、これは確実にアウトだわ。

そもそも、誰か一人のことが好きになるのはともかく、何で大勢の女性と恋愛をする前提なのよ!!

しかも、本物クリスを生で見ちゃったもんだから、フレーズがめちゃくちゃ引いてるし!!


ココ「..........あのですね、そもそも浮気と不倫は法律云々の前に人としてアウトなんですよ?クリストファー殿下、そこは理解してますよね?」

クリス「なら、妾と側室はいいんですよね?」

ココ「それもアウトです!!ていうか、そういう制度はこの国には存在しません!!」


あ〜、疲れる。

だからクリスとは話したくなかったのに〜。

そんなことを思っていたら、クリスはおもむろに私の髪を触り...........こう言った。


クリス「そんなことはどうでもいい。それより....................ココ、それにフレーズ、だったかな?二人とも、僕と..........婚約してくれないかい?」

「「..........は?」」


..........何言ってんの?コイツ。

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