お断りします♪お断りします♪

「「は?」」


クリスの発言に対し、思わずそんなことを口にする私達。

...........というか、自分がとんでもないことを言ってる自覚があるのかな?


クリス「どうかしたのかい?」

ココ「クリス.............それは、私達が幸せになると思っている前提に話しているのですか?」

クリス「えぇ、そうですが.................何か?」


うん、こりゃ駄目だな。

完全に私とフレーズの気持ちとかをガン無視してるパターンだわ。

ていうか..........どこをどうすれば、二人まとめて婚約すればハッピーエンドになるって思考になるのよ。


フレーズ「.................ココちゃん、ヴァニラ王国の法律とかで一夫多妻制を認める法律ってあったっけ?」

ココ「そんなの無いに決まってるでしょ!!アレはただ単にクリスが勝手に言ってるだけ。だから気にしなくてもいいわよ」

フレーズ「ホッ」


私の言葉を聞き、安心したような顔になるフレーズ。

一方、クリスはと言うと...........


クリス「ふむ、そうなのですか.................だったら父上に法律を変えるように進言しないと」

「「ファッ!?」」


いやいやいや!!

本当に何言ってんのよアンタは!!


ココ「はぁ...........あなたの言葉を国王陛下が受け入れるとでも?」

クリス「受け入れるさ、だって.......僕は王位継承権なんですから」


怖っ!?

逆に、その自信はどこから出てくるかが気になってきたわ...........


フレーズ「クリスってこんなに怖いキャラだったっけ?」

ココ「それは私も思った」


乙女ゲーの雰囲気で誤魔化されていたとはいえ、ここまでの話の通じない人物だったとは.................

まさにホラーだよ。


ココ「いや、あのですね、さっきも言いましたけど」

クリス「大丈夫ですよ。あなた達は私がまとめて愛しますから!!」

フレーズ「何言ってんの、この人」


クリスの言葉に対し、呆れながらそう言うフレーズ。

..........主人公に呆れられるってことは、相当ヤバい人間ってことが証明されちゃったな。


クリス「ところで.....フレーズ、でしたっけ?あなたからもココに何か言ってください」


フレーズに向け、そう言うクリス。

だから、何言ってんのよアンタは!!

何で、フレーズがアンタの味方になってる前提の!?

内心イライラしながらそう思っていた時、フレーズは笑顔でこう答えた。


フレーズ「お断りします」


この想定外の答えに、クリスは目をパチクリとさせながら、驚いていた。

よく言った!!フレーズ!!


クリス「.........すみません、何を言っているのかよく分からないのですが」

フレーズ「あ、そうですか。なら、もう一度言います。お断りします」

クリス「な、何故断るのですか!!私は、あなたとココのために..........」

フレーズ「私、そんな押し付けがましい提案を飲むのは嫌なんですよ」


言った!!ハッキリ言っちゃった!!


クリス「僕は別に押し付けているつもりじゃ..........」

ココ「フレーズの言う通りですよ。殿下」

クリス「こ、ココ!?」

ココ「そもそも、本人の意思を聞かずにグイグイ行くのはアウトだって散々言いましたよね?」


さっきのイライラを発散するかのように、そう言う私。

そんな私に対し、クリスはまたもや驚いたような顔になった。


クリス「ぼ、僕が思うに」

フレーズ「はい、出ました〜。自分が思っていることはみんなが思っている説〜。何で話を聞かない人って、こういう考えを持っているんだろうね?」


顔を私の方へと向けると、ニコリと笑うフレーズ。

それを見た私も、ニコラと笑うのだった。


ココ「ね〜」


私達がキレないと思った?

残念、ガチギレだよ!!


ココ「と言うわけで、私達はあなたの婚約者にはなりません」

フレーズ「私も断固拒否しま〜す」

クリス「......父上がそのことを許すとでも?」

ココ「許すも何も、既に国王陛下から『息子と婚約しなくてもいい』というありがたいお言葉をいただいているんです」


ま、あんな息子だし、私と婚約して浮気でもしたら王家としたら大問題になりかねないし...........国王が常識人で良かった〜。


クリス「父上が..........そんなことを.....」


私の言葉を聞き、呆然とするクリス。

そして、私達は畳み掛けるようにこう言った。


ココ「そもそも、私達は殿下に好意など持っていませんから」

フレーズ「好きな人は自分で見つける主義だもん」

「「ね〜」」


私達がそう言うと、クリスは手で顔を覆い、フラフラと図書室を後にするのだった。


ココ「あ〜、スッキリした」

フレーズ「論破するって気持ちいいね〜」


背伸びをしながら、そう言うフレーズ。

...........お疲れ様。


ココ「はぁ...........やっぱりフリーだからクリスに何度も絡まれるのかな?」

フレーズ「多分、そうじゃないの?」


フレーズの言葉を聞き、苦笑いする私。


ココ「だけど、中々婚約したいと思える人がいないのよね〜」


私がそう愚痴ると、フレーズはしばらく考えた後............衝撃的な発言をした。


フレーズ「だったらさ、私と婚約しない?」

ココ「.................え?」


こうして、どういうわけか百合ルート入りする私なのだった。

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