嵐の後に
あの後、私達とクリスの会話が学校中に広まった。
ほとんどの生徒が同情的で、労いの言葉をかけてくれた。
それに加え、今回の騒動を知った両親が王家にクレームを入れたことにより、クリスは国王陛下から大目玉をくらったらしい。
ココ「ま、いきなり女子二人に対して婚約者になれって言ったら、そりゃあ怒られるよね」
フレーズ「それな!!」
食堂にて、そんな会話をする私達。
ちなみに、この学園での食事はビュッフェスタイルだよん。
フレーズ「でも、あの様子だと...........反省はしてないだろうな〜」
ココ「仕方ないじゃない。アイツはそういう奴なのよ」
私がそう言うと、呆れた顔になるフレーズ。
ココ「でも.........まさか、そのクリス対策としてフレーズと婚約するとは.................」
あの後、結局、私とフレーズは婚約した。
婚約した理由としては、クリスのプロポーズを断る口実を作りたかっただけなんだけどね。
私とフレーズが婚約したことはすぐに学校、いや、国中に広まり.............あっという間に祝福モードになった。
意外なことに、親バカである私の両親も喜んでた。
というか、娘である私がドン引きするぐらい、めちゃくちゃ泣いてたけどね。
フレーズ「これで諦めてくれるといいんだけどね〜」
ココ「いや、無理でしょ」
ああいうタイプの人間は超が付くほどに厄介なんだよね...........
だからこそ、気を引き締めて警戒しないと!!
フレーズ「でもさ、こういうのって何か萌えない?」
ココ「そう?」
フレーズ「そうだよ!!ほら!!よくドラマとかである展開じゃん!!」
ココ「ん〜、確かにそうかもしれないね」
そういえば、一時期そんなドラマがあったような...........?
ま、流石にそんな展開は起こらない...........よね?
フレーズ「てか、ココちゃんの方こそ大丈夫なの?」
ココ「え?何が?」
フレーズ「何が?じゃなくて!!ほら、ココちゃんって、クリスとの一件でクリス派の人間からめっちゃ怖い顔で見られてるじゃん!!」
ココ「あ〜」
そう、顔がいいクリスには当然ながらファンがおり、そのファン(主に女子)のことを、私達はクリス派と呼んでいるのだが...........あの一件以降、私はクリス派から目の敵にされているのだ。
ココ「ああいうのは放置するのが一番なのよ。それに......」
フレーズ「それに?」
ココ「もしも、私達に手を出してきたら...........あっちは確実にジ・エンドだからね」
ニヤリと笑いながら、フレーズに向けてそう言う私。
一方、フレーズはその言葉の意味を理解すると
フレーズ「あぁ〜、確かにそれはジ・エンドだね」
私と同じくニヤリと笑い、パスタをパクリと食べるのだった。
ココ「そういえば、話は変わるけどさ.........この世界にはコミケっぽいものがあるらしいよ」
フレーズ「え!?マジで!?」
私の言葉に対し、驚くような声を上げるフレーズ。
うん、大体予想はしてたけど、やっぱいい反応だわ。
ココ「そのイベントは主に小説とかの二次創作とかがメインで、全年齢の本とか、18禁とかの本が売られているんだ〜」
フレーズ「何それ、超行きたい」
ココ「ちなみに、私は今年参戦する予定だよ」
フレーズ「嘘ぉ!?」
私の言葉を聞いたフレーズは、最初はビックリしたような顔になったものの..........すぐに興奮気味な顔となり
フレーズ「え、てことは..........ココちゃんって小説とかが書けるの!?」
顔をこれでもかと近づけながら、そう聞いてきた。
ココ「うん、といっても......あくまで趣味で二次創作の小説を書いてるだけだけどね」
フレーズ「それでも凄いよ!!私なんか絵を描くことしか才能がないんだよなぁ..........」
ココ「へぇ、フレーズの絵かぁ...........ちょっと見てみたいかも」
私がフレーズの顔をチラッと見ながら、そう呟くと.................フレーズは恥ずかしそうな顔をしながら、ノートに書いていた落書きの絵を見せてくれた。
その絵のことを一言で言うなら.................仕事に出来そうなぐらい、ガチで凄い絵だった。
ココ「フレーズ...........あなたは神なの?」
フレーズ「いや言い過ぎぃ!!」
ココ「だってこれ、落書きってレベルじゃないよ!!確実に仕事にできるレベルの絵だよ!!」
フレーズ「そ、そう..........かな?」
いや〜、まさかフレーズが神絵師だったとは.................
ん?ちょっと待って..........これっていわゆる、チャンスってやつなのかも!!
ココ「ねぇフレーズ..........私の小説に絵を描いてくれない?」
フレーズ「.................それってつまり、私もそのイベントに参戦するってこと?」
ココ「..........多分、そうなると思う」
フレーズ「乗った!!」
まさかの即答!?
フレーズ「私、前世の夢はコミケに出品することだったんだよね〜」
ココ「ならよかった」
フレーズの言葉に対し、胸を撫で下ろす私。
...........何でフレーズってこんなにも心強いんだろう?
フレーズ「ちなみにどんな小説を書くつもりなの?」
ココ「全年齢のBL小説」
フレーズ「だよね〜」
一応、私は腐女子だからね仕方ない。
ココ「そもそも、私とフレーズの婚約がありなら、これもありでしょ!!」
フレーズ「ハッ!!確かに!!」
ココ「だからね、今後も力を貸してくれると嬉しいな..........」
クリスがまた何かやらかさないとも限らないし.................それに、フレーズがいるだけで安心できるんだよね。
フレーズ「分かった!!とりあえずは私にドーンと任せといて!!」
自信満々な様子で、そう言うフレーズ。
フレーズが味方で良かったな。
そう思いながら、昼食を食べる私はなのだった。
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