第15話 姫花と宏樹の強化①

 佐藤君を組織に加入する事に決めた俺は、早速その日の放課後に佐藤君を姫花に紹介する事にした。


「……この人が新しい仲間?」

「ああ。彼は俺と同じクラスの佐藤宏樹君。佐藤君、彼女は俺の妹の姫花だ」

「は、は、初めましてっ! ぼ、僕は佐藤宏樹と言います! こ、この度鈴木君の組織に入る事にしました! い、一応魔術師やってますっ!」


 佐藤君が物凄く吃りながら自己紹介をする。

 ……あの話し方は作ってたんじゃなかったんだな。


「初めまして佐藤先輩。私は鈴木姫花と言います。私は魔術師ではなく魔女ですが」

「ま、魔女!? は、初めて見ました……! か、感動です……! 魔女は魔術師の間では忌み嫌われていますが、僕はそんなこと思いません! だって魔女の魔術はそこらの魔術よりも優れていますから」

「お、お兄ちゃん……この人も変だよ……」

「コイツも真也さんと同類なんだ、許してやれ」

「う、うん……」


 こうして若干姫花が佐藤君に引かれるものの、初の顔合わせが終わった。






▽▲▽






「さて……これからお前達を俺流で鍛えようと思う」

「よ、宜しくお願いします……!」

「ねぇお兄ちゃん……此処って何処?」


 俺は真也さんに貸してもらった特別訓練室である事を2人に伝える。

 ここは真也さんが魔術師の魔術に耐えられる様に作られた特別な部屋で、俺の上級魔法にも耐えられたので、心配は知らないだろう。


「まずは……佐藤君、今後君のことは宏樹と呼んでもいいか?」

「も、勿論です! 僕はこれからボスとお呼びしますっ!」

「いやボスでなくても普通に闇夜で……」

「ダメですよ! 組織の主が部下に舐められない様に線引きはきちんとしなければなりません!」

「そ、そうか……なら今度からボスでいいよ……」


 多分宏樹って意外と頑固そうだしな。

 

「よし、それじゃあまずは宏樹のステータスから見ていこう。宏樹、今から俺が魔力を流すから、俺の魔力を感じたら『ステータス』と言ってみてくれ」

「分かりましたボス!!」


 俺は姫花にやった様に魔力を流す。


「か、感じました……! 『ステータス』!」


———————————————

佐藤宏樹 17歳 男 異世界人

【職業】魔術師

【身体ステータス】

【体力】900/900

【魔力】2700/2700

【筋力】210

【防御】198

【敏捷】205

【器用】290

【知力】510

【魅力】79

【幸運】89

【スキル】

《魔力操作》《魔力感知》《魔術式》

【魔法】

《水魔法・強(覚醒前)》《氷魔法・強(覚醒前)》

———————————————


「うわぁ……これが僕のステータスですか……! これって結構高いんじゃないですか? 皆がどうなのか分かりませんが」

「佐藤先輩、お兄ちゃんのステータスを見れば自分が高いか分かりますよ」

「そうなんですか? ボス、ステータス見せて下さい!」


 俺は姫花の時同様にステータスを宏樹に見せると……


「…………高いとかほざいていた数秒前の自分をぶん殴りたい気分です」

「大丈夫です宏樹先輩。私も同じ事を思いましたから」

「……これから死ぬ気で頑張れば俺程とは言わないけど全部4、5000位には行くと思うぞ……?」


 俺が若干気まずく思いながら言うと、2人がジト目で言う。


「「……9999が2つもある人が言うと説得力がありますね」」

「やめて姫花! 姫花まで俺に敬語を使わないで!」


 物凄い姫花との壁を感じる……。

 俺は落ち込みながらも話を続ける。


「……取り敢えず今日は2人に魔法を教えよう」

「遂に魔術式を使わない魔術が使えるんですね……!」

「お兄ちゃん、私はもう魔法使えるよ?」


 姫花が首を傾げながら手に小さな消滅の魔法を顕現させる。

 確かに魔女は歴とした魔法を使っているが……異世界の人間に比べれば遥かに練度が低い。


「姫花は魔法を完全に使いこなしているか?」

「使いこなす……?」

「そう。例えばこんな風に———」


 俺は先程姫花がやった様に、手に炎の魔法———【炎球】を顕現させる。

 そしてそれから【炎球】を小さく10等分に分け、それを細く針の様にして合金の的に発射。

 すると10の針が勢いよく的に突き刺さり、炎が上がる。


「———と、簡単にするとこんな感じだ。今回は炎魔法の【炎球】を途中で形と性質を変えてみた。上手い奴は炎球を途中で違う魔法に変えたりできるけど……流石に炎魔法じゃ無理だ———ってどうしたんだ?」


 俺はキラキラとした眼差しでじっと俺を見つめる姫花と宏樹に困惑する。

 俺がイマイチ2人の心情を読み取れないでいると、2人が同時に声をあげた。


「す、すごぉおおおーー!! お兄ちゃん凄いね!」

「初めてみましたよ! まさか魔術が発動されいる途中で形を変えるなんて!!」


 そんな過剰な反応に、俺は異世界で初めて魔法を見た子供の反応を思い出した。



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 下⇩⇩⇩の☆☆☆を★★★にしてくれると作者のモチベ上昇。

 偶に2話投稿するかも。 

 

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異世界帰りの暗殺者が世界を陰から支配する あおぞら@書籍9月3日発売 @Aozora-31

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