第14話 仲間集め②

「ぼ、僕ですか……? 何かの間違いじゃ……」

「いや、お前で合ってるぞ。佐藤宏樹だろ?」

「は、はい……な、なら僕に何の用ですか?」


 佐藤君は一見オドオドしてひ弱そうき見えるが、その瞳は俺の力を値踏みしている。

 自分が勝てる相手なのか、そうでないのか。

 

「少し話があってな? ……そんなに警戒しなくていい。別に佐藤君を殺そうとなんて思ってないから」

「……貴方も魔術師ですか……?」


 瞳に警戒と敵意が混じる。

 魔力もゆっくりだが練成しており、後少しで魔術すら発動出来るだろう。

 しかしその前に1つ訂正しなければ。


「いや、俺は魔法使いだ。決して魔術師じゃない。そこを間違えると死ぬぞ」

「ま、魔法使い……? いえ、分かりました。なら屋上に行きましょう」


 俺と佐藤君は仲良く教室を出た。

 まぁ佐藤君は常に警戒していたが。






▽▲▽






「———此処なら2人なので大丈夫でしょう。ですが……一応防音の魔術も発動させておきますね」

「ああ、ありがとう」


 佐藤君の足下から広がる様に魔術式が展開され、薄い膜の様な結界が発動する。

 やはり魔術は口に出さなくても発動出来るのが利点だな。


「それで……改めてお聞きしてもいいですか? 僕に一体何の様で?」


 佐藤君の先程のオドオドとした様子は鳴りを潜め、何処か殺伐な雰囲気を纏っている。

 

「ああ……その前にちょっとだけ———手合わせしてくれ」


 俺はあまり得意ではないが、無詠唱で炎魔法の中級魔法———【炎槍】を発動させる。

 タイムラグなしに放たれた炎の球が、一直線に佐藤君に襲い掛かった。


「なっ!? 魔術式なしに魔術の展開を!? くっ———【水壁】っ!!」


 ギリギリの所で佐藤君の目の前に厚さ30センチ程の水の壁が出来、【炎槍】に直撃する。

 しかしその程度では中級魔法の威力を完全に消す事は出来ない。

 

 成程……魔術は発動に0.3秒程のタイムラグがあるんだな。

 

「ちょっ———こうなったら僕の魔術式を全部使わないと……【水壁】【水壁】【水壁】っ!!」


 佐藤君は更に3つの水の壁を発動させると、3つ重ねて炎槍に対抗する。

 そのお陰で【炎槍】は威力を完全に失い、煙を上げて消滅した。


「はぁはぁはぁ……いきなり何なんですか!? 突然魔術を発動させて! いえ、それにどうして鈴木君は魔術式が展開されないのですか!?」


 佐藤君が肩で息をしながらも、何処かの社長と同じ様な事を言う。

 ふむ……中級魔法を冷静に対処できるか……魔力量も少なくない様だし。

 佐藤君は思ったよりも強そうだな……よし、採用。


「———聞いていますか!?」

「佐藤君、俺の組織に入る気はないか?」

「…………はい?」


 俺の問いに佐藤君はポカンと口を大きく開けて呆けた顔を晒した。


 ……俺ってコミュ症だな。 

 と言うか今思えばこの話をしてから手合わせすれば良かったかもしれん。

 側から見ればただの頭おかしな襲撃者だよな。

 異世界ではこれが1番手っ取り早かったんだが……うん、次からは先に話をしてから手合わせしよう。


「組織……ですか?」

「そうだ。さっきのは少し佐藤君の実力を測りたかったんだ。ごめん、せめて事情を話してからにすればよかった」

「い、いや、そんな事よりその組織は鈴木君が作ったのですか?」

「ん? ああ真也さん……野橋父と共同でな。一応俺が主をやらせて貰っている」

「ならその組織に入ればあの不思議な魔術も使うことが出来るのですか!?」


 キラキラとした目で俺を見る佐藤君。

 前回の野橋父でも思ったが、魔術師は皆魔術に目がないのか?

 

「あ、ああ……使える魔法の属性は人それぞれだが……」

「———入りますっ! 是非入らせてください! そして僕に魔法? を教えて下さい!!」


 こうして俺の組織に新たな仲間が加わった。

 


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 下⇩⇩⇩の☆☆☆を★★★にしてくれると作者のモチベ上昇。

 偶に2話投稿するかも。

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