第13話 仲間集め①

 昨日休んでごめんなさい。

 普通にほぼ一日中寝てました。

————————————————————————


「お兄ちゃーん、いい加減起きないとベッド壊すからね」

「今すぐ起きます」


 俺は扉の外から聞こえる姫花の若干怒りの篭った声を聞いて直様飛び起きる。

 昔なら無視して寝てただろうが、今は姫花にそれを可能に出来るほどの力を持っていることを知っているので、迂闊に無視できない。

 

 俺は取り敢えず着替えだけすると、一階のリビングに移動して、テーブルに置いてある、姫花特製の朝ご飯に手をつける。

 どうやら今日はホットサンドの様だ。


「いただきます———うまっ」


 ホットサンドを一口食べると、俺は思わず声に出る。

 トマトソースの塗られたパンの中には、チーズと玉ねぎが入っていた。

 ピザみたいで普通に美味い。


「ふふっ、今日は昨日頑張ったお兄ちゃんのために頑張って朝ごはん作ったよ」

「ああ……めちゃくちゃ美味い。それにコーンスープも最高。でも……どうしてインスタントあるのにそっちにしなかったんだ?」

「お兄ちゃん、それは禁句だよ」

「わ、悪い悪い……それにしてもどうして今日は豪華なんだ? いつもはトーストだけだろ?」

「勿論組織が誕生した記念だよ? あと、昨日夜遅くまで組織のこと考えてたから。私は途中で寝ちゃったけど、結局殆ど寝ずに野橋さんと話してたんでしょ?」


 鋭いな妹よ。

 確かに姫花の言う通り、今日は朝の4時まで話し合っていたから3時間しか寝ていない。

 本当は2、3時間で全然終わる内容だったのだが、真也さんの仕事の都合で深夜の12時スタートになってしまったのだ。


 俺は優しすぎる天使姫花をぎゅっと抱き締める。


「ありがとう姫花っ! お兄ちゃん、姫花のために頑張るからなっ!」

「ちょっ、抱き付かないでお兄ちゃん! 他ご飯食べにくいし服にシワがつくからっ!!」


 そう言って姫花は俺を振り解いて少し頬を膨らませながら再び食べることを始めた。

 その姿がリスの様だった事は黙っておこう。






▽▲▽






「それでお兄ちゃん、組織に加入する人は決まってるの?」


 姫花が学校手前ら辺でふとそう言った。

 そう言えば言っていなかったな、とそこで思い出す。


「いや———俺と姫花以外ゼロ。だから姫花も学校に居る魔術師に声掛けてみて」

「ええ……そう言うのはもうちょっと早く言ってほしいなぁ……まぁ探しとくけどね」


 やれやれと言った風な表情と動きで言う姫花は若干ウザいものの、手伝ってくれるんだし、可愛いので許そう。

 まぁそもそも俺が悪いんだが。


「じゃあ頼んだ」

「ん。それじゃあまた放課後ね」


 そう言って俺は姫花と離れ、高校の靴箱に靴を入れ、上靴に履き替えて教室のある3階を目指す。

 

「はぁ……取り敢えずクラスに1人だけ居る魔術師にでも話しかけるかなぁ……」


 まぁそんな暇が俺にあるのか分からないが。


 現在俺のクラスでの立ち位置は、初日の野橋との事があり、最近では野橋が丸くなったので大きく変動している。

 勿論———


「おは———」

「おはよう闇っち! 今日も相変わらずシスコンだねぇ?」

「こらっ! そんな事言っちゃいけないよ、朱里っ! ごめんね闇夜君。いつも朱里が失礼なことを……」

「えぇ〜〜事実なんだからいいじゃん。毎日一緒に登下校してる兄妹なんて闇っちくらいだよ?」

「それでもシスコンって言うのはダメ。せめて『妹さんを大事にしてるね』って言って」

「ええ〜〜めんど〜〜」


 ———俺の立ち位置は物凄く上昇した。


 目の前で話しているのは、一般的にギャルと呼ばれる部類の朱里あかりと、委員長ぽい大和撫子な柚月ゆずきさん。

 このクラスを代表する美少女の2人だ。  


 朱里は髪を金色に染めて、制服も着崩してメイクもしているが、意外にも授業は真面目で成績も良い。

 毎回服装は先生に文句を言われているが、「成績いいですけど何か?」と言って先生でもその服装に触れる事がなくなった。

 まぁ多分成績は柚月さんがいるからか良いのかもしれないが。


 逆に柚月さんは誰からの評判も良く、成績も学年でトップクラスに優秀だ。

 しかし運動は壊滅的で、身長が低いことと童顔も相まって、何か小動物みたいでマスコットみたいと言うのがクラスの総意である。


 この2人が野橋をコケにした次の日に話しかけてきた。

 まぁこの2人はクラスで唯一野橋に反抗してたし、その野橋をコケにした俺が気になったんだろうな。


 だが、今日はこの2人ではなく、別の人に用がある。


「すまん朱里、柚月さんちょっと用事がある人がいるんだ」

「あっなら全然私達放っておいて言っていいよ! 朱里は私が止めとくから!」

「ちょっ柚っちやめて〜!」


 ……柚月さん頑張ってくれ。


 俺は心の中で応援しながら、意識を切り替えて1人の生徒に話しかける。


「おはよう佐藤君。少し話しいいかな?」

「お、おはよう鈴木君……」


 佐藤宏樹———オドオドして自信なさそうだが、このクラスでただ1人の魔術師である。


————————————————————————————

 下⇩⇩⇩の☆☆☆を★★★にしてくれると作者のモチベ上昇。

 偶に2話投稿するかも。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る