第12話 組織を作ろう
———5日後。
「お兄ちゃん……これで何度目かな?」
「12度目だな……はぁ……俺達に手出し出来ないと思ったんだがな……どうやらアイツらは思っていた以上にデカい組織なのかもな」
俺達は監視していた『魔神教』の信者を殺しながらため息を吐く。
5日前に、知らない第三者の効果で手出し出来なくなると踏んでいたが、結局そんな事はなく、逆にめちゃくちゃ監視や追手が増えていた。
流石に学校での襲撃はないが、登下校、家にいる時間は大体襲撃される。
まぁ気付いたらすぐに処理しているが、流石に数が多すぎて腹立つ。
姫花も自分のプライベートな時間を邪魔されて激おこである。
「どうしようお兄ちゃん……ごめんね、私のせいでこんなに迷惑かけて」
「いや、姫花のせいじゃないよ。姫花は被害者だろ? 悪いのはあのイかれた宗教組織だ」
俺は姫花の頭を撫でながら言う。
初日は外で撫でると怒っていた姫花だったが、今では気持ち良さそうに少し頬を染めて目を細めていた。
大体姫花がこの顔をする時は、疲れていて誰かに癒しを求めている時だけだ。
なので姫花自身、相当なストレスとなっているのだろう、
ただ……本当に俺もイライラしてきた。
そろそろ手を打った方が良さそうだ。
「よし、姫花、これから行きたい場所があるんだけどいい?」
「うん。どうせ自由に遊ぶなんて出来ないしね」
姫花は若干諦めた様な顔で頷いた。
家の天使な妹にこんな顔をさせる奴らは許せない。
ただ流石に、暗殺者と言う特性上、何万もの人を倒すことには向いていないし、数で攻められたら姫花を守らないかもしれない。
だから———
「姫花、俺達ととある人で対抗できる組織を作ろう」
「…………え?」
俺は驚く姫花を連れてとある場所へと向かった。
▽▲▽
「この前ぶりだな真也さん。時間を作ってくれて嬉しいよ」
「いや全然いい。君との縁は絶対に逃したらいけないからな。それで……其方が君の妹さんか?」
「ああ。俺の唯一の家族だ」
「は、初めまして……鈴木姫花です」
姫花は緊張気味に自己紹介する。
そんな姫花に真也さんは笑みを浮かべて返した。
「初めまして姫花さん。私は野橋真也と言う。一応野橋株式会社の社長をしている」
そう言って握手を求める真也さんに、姫花は恐る恐ると言った風に手を握った。
「ふむ……魔女と言えど私達人間とは変わらんのだな」
「ちょっ———お兄ちゃん!! この人私が魔女って———」
そう言って手を振り解いて魔術を使おうとした姫花を止める。
「大丈夫だ。この人は味方だよ」
「で、でも……」
「安心してくれ姫花さん。私の命は君のお兄さんに握られているから裏切りなんて出来ない」
「そう言う事」
「お兄ちゃんが言うならいいけど……」
俺がそう言うと、姫花は渋々魔術の展開をやめた。
しかし真也さんは姫花をキラキラとした目で見ていた。
「ほう……本当に魔女は初めて見たが……魔術の展開の仕方が我らと違うのだな。是非ともその魔術の展開の仕方をご教授願いたい……!」
相変わらずの魔術バカだな。
まぁ思考が過激派じゃないだけマシか。
「お、お兄ちゃん……何かこの人怖いよ……」
「安心しろ。魔術に目がない以外はいい人だから。———真也さん、そろそろ本題に入りたいんだが……」
「す、すまない……初めて見たもので……」
真也さんが気まずそうに目を逸らす。
しかし一度咳払いをするとやっと訊く気になってくれた。
「それで要件は? 何か用があるから此処にきたのだろう? 大方沢山の魔術師に狙われているとかか?」
この男めちゃくちゃ頭よいじゃん。
来ただけで理由分かってるし。
「まぁそれで間違いない。追手はすぐに処理できるが、相手の数は1万を超えるらしい。流石に俺だけじゃ姫花を守りきれない」
「それは多いな……組織の名前は?」
「『魔神教』とか言う頭のおかしい宗教組織だ」
「魔神教か……」
俺がそう言うと、真也さんが露骨に顔を歪める。
何か魔神教に嫌な思いでてもあるのだろうか?
「どうしたんだ真也さん? 真也さんもそれなりの魔術師を沢山持っているだろう? それでもそんなにやばいのか?」
「ああ。我ら魔術師の間でも『魔神教』には関わるなと言われている程だ」
「あんな奴らには関わりたくないものだな……」としみじみと言う真也さんに俺は笑いかける。
「真也さん……」
「……本気か? あれには触れるべからずだぞ?」
「妹を害した奴はゴミ箱に捨てないと。だから真也さん———俺と組織を作ろうよ」
俺がそう言うと、真也さんはあからさまにガックリと肩を落とした。
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下⇩⇩⇩の☆☆☆を★★★にしてくれると作者のモチベ上昇。
偶に2話投稿するかも。
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